贅を尽くしたレトロ建築!「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」で、特別な1杯を。
残暑が続くこの時期。夏らしく、ちょっと特別感を味わえる場所に出かけるならレトロなビヤホールはいかが? 2024年に90周年を迎えた「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」は、建築好きをはじめ多くの人を魅了する店。こだわりの生ビールを片手に、素晴らしい壁画や照明などを堪能しましょう。
Summary
90年前から銀座にたたずむビヤホール。いざ、風格あふれる店内へ
華やかな銀座通りでも、ひときわ存在感を放つ「銀座ライオンビル」。その1階にあるのが「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」です。創建は昭和9年(1934)。2022年には「登録有形文化財(建造物)」に登録され、世代を超えてますます多くの人に愛されています。
店内に一歩足を踏み入れると、そこは非日常を感じる空間。高いところで約6mあるという天井やアールを描く梁が、ヨーロッパの古い教会を訪れたかのような気分にさせてくれます。設計を手がけたのは菅原栄蔵(すがわらえいぞう)氏。「豊穣と収穫」をコンセプトに作られた内装の必見ポイントをご紹介します!
歴史や意味を知るともっと楽しめる! 壁画や照明のみどころ
「豊穣と収穫」をもっともよく表現していると言えるのが、正面奥のガラスモザイク壁画。一見するとギリシャ美術のようですが、描かれているのは日本人。大麦を収穫しているのは女性やおかっぱ頭の女の子で、奥に見える煙突はかつて恵比寿にあったビール工場だといわれているそう。古代と近代、そして日本と西洋がひとつの世界に閉じ込められたような謎めいた壁画。見れば見るほど、その奥深さに魅了されてしまいます。
この壁画に使われた色は全部で約250色。ガラスモザイク特有の透明感あるピースが、照明に反射するときらきらと輝いてとってもきれい!
店内をやさしく照らす照明は、ビールの泡やぶどうをモチーフにしたもの。
ぶどうのシャンデリアは7粒で1セット。中の電球が透けて見える照明は創建当時から使い続けているもので、7粒すべて揃っているのは2カ所だけ。大空間のどこにあるのか、席から探してみても楽しいでしょう。
教会のような荘厳さは、左右に配された柱や天井のデザインによるもの。大麦をイメージした柱は天井に向かって太くなり、穂を模した矢じり形の装飾へとつながって梁と天井へ。この一連の造形が、囲まれ感や落ち着きを生み出しているのです。
さらに、梁や天井に使われた抗火石は吸音性があるのが特徴。そのため、280もの席が満席になっても周囲の音が騒がしく感じにくいのだとか。「にぎやかだけど心地よい音」はビールと好相性ですよね。さて、肝心のビールを注いでいただきましょう!
銀座ライオンといえば「一度注ぎ」。そのおいしさの秘密とは?
「ビヤホールライオン」の名物が生ビールの「一度注ぎ」。ビールが苦手な人も「なぜか飲める」という雑味のないクリアな味わいになる注ぎ方です。よく冷やしたグラスを11~12度に傾け、サーバーから勢いよく出るビールをグラスの中へ! このとき、グラスの底で液体が回転して泡が生まれるのですが、余分な炭酸ガスが抜けて雑味が泡の中に閉じ込められるのだそう。
熟練の技術が必要な「一度注ぎ」。注ぎ手のひとり・角谷さんは常連さんにファンがいるほど。
表面の粗い泡をさっと払うと、軽やかな泡だけを残した見た目にも美しい1杯が完成します。
一度注ぎの生ビールに合わせていただいたのは、「生チョリソーの鉄板焼き」と「トマトのカルパッチョ」。生チョリソーは粗挽き肉の食感がよく、ほどよい辛味でビールが進む味。「トマトのカルパッチョ」は湯むきしてスライスしたトマトに、タマネギ、生ハム、オリーブのみじん切りをトッピング。シンプルにオリーブオイルでいただく塩気控えめのひと皿です。
どこから何を眺めるか? お気に入りの席を見つけよう!
みどころいっぱいの「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」。昼夜を問わずお客さんで賑わっていますが、運よく席を選べるとしたら? おすすめの席を「銀座ライオン」広報担当の方に聞いてみました。
「常連さんに人気なのが、正面のカウンター近く。壁画を間近で見られますし、注ぎたてのビールをすぐにいただけます。逆に、壁画を含め全体を見渡すなら入り口横のテーブルがおすすめです」
「おひとりでいらっしゃる方には、壁際のテーブルが落ち着けると好評です。壁際にもガラスモザイクの壁画があって、それぞれデザインが違うんですよ」。
友人や同僚と、ひとりでも。夏の終わりに、ぜいたくな時間を過ごしてみてくださいね。
■ビヤホールライオン 銀座七丁目店
(びやほーるらいおん ぎんざななちょうめてん)
住所:東京都中央区銀座7-9-20銀座ライオンビル1F
TEL:03-3571-2590
営業時間:11時30分~22時(金・土曜、祝前日は~22時30分)
定休日:年中無休
Text:藤屋翔子
Photo:日高奈々子
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