飛鳥文化の史跡をサイクリングでめぐり、 登録有形文化財の古民家でのんびり過ごそう【ブランシエラ ヴィラ 明日香(奈良県 明日香村)】
6世紀末から約100年続いた飛鳥時代、都が置かれたことで知られる奈良県明日香村。いまの暮らしの基盤となる社会制度や万葉文化などが作られた「日本のはじまりの地」ともよばれています。極彩色の古墳壁画で知られる高松塚古墳、日本最古の仏教寺院の飛鳥寺などの国指定史跡も多く、村全域が古都保存法の特例(通称明日香法)により美しい自然風景も守られています。点在する史跡をサイクリングでめぐり、快適にリノベーションされた古民家でのんびり過ごす、明日香村で古き良き日本を体験してみませんか?
Summary
築150余年、登録有形文化財に指定された
古民家で“のんびり”と過ごそう
ブランシエラ ヴィラ 明日香(宿泊)
飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)の参道筋、1870年に建てられた農家の住宅をリノベーションした「ブランシエラ ヴィラ 明日香」。推古天皇4年(596)に建立された飛鳥寺跡の国指定史跡内にあります。客室は「茜の間」と「山吹の間」の2部屋。メインゲートを入ると左右に客室が分かれていてます。チェックインは事前に送られてくる案内に沿って行う、リモートセルフチェックインシステムです。
右手に進んだ「茜の間」は以前、母屋だった建物。扉を入った土間はミニバーになっていて、コーヒーメーカーやドリンクセット、電子レンジ、IHコンロなどが用意されています。ソファに座り見上げると、煙出しの高い天井が。かつてかまどがあり、ここが台所であったことがわかります。奥には明日香村の文化や伝統にまつわる本が並び、ワークデスクやWi-Fiも完備されているのでワーケーションとしても利用可能です。翌日の滞在プランを練るのにもぴったりの場所です。
雪見障子をあけると、整形四間取(せいけいよつまどり)とよばれる22.5畳の和室が広がります。居室部分が田の字型でその四間が綺麗に合っている間取りのことで、近畿地方の農家住宅によく見られたスタイルとのこと。太い梁や建具に歴史が感じられ、掘座卓に座りホッとひと息つくと、心が和んできます。
整形四間取のひとつ、土間を背にした右手が寝室。畳に大きなベッドが置かれています。ベッドの手前側にも4.5畳ほどのスペースがあり、居間を合わせて「茜の間」は最大6名まで宿泊可能。今は上がることはできませんが、以前使われていた箱階段も置かれていて、懐かしい雰囲気を醸し出しています。
「茜の間」の湯船は信楽焼で作られており、そのサイズは幅2.2m、奥行き1.1mという日本最大級のもの。手足を思いきり伸ばして、リラックスできます。さらに浴室内ミストサウナも設置されています。
メインゲートを左手に進むともうひとつの客室「山吹の間」です。こちらは離れだった部分で、奈良県吉野産の杉板をふんだんに使った和モダンな空間。昔の米蔵の古材を再利用した階段を上ると、秘密基地風な屋根裏部屋があり、子ども連れのファミリーにおすすめです。こちらは8名まで宿泊できます。
2つの客室には、それぞれ専用の庭が付いています。使われている石は全て飛鳥の石。花崗岩で黒玉斑点が多いのが特徴です。客室の庭にある池の水は井戸水。昔から井戸は生活用水であり、池の他にもエアコンや床暖房などに使われています。庭に出て朝の清々しい空気に触れたり、虫の声を聞いたりするのも贅沢な時間です。
素泊まりも可能で、食事や飲み物の持ち込みOKですが、宿を満喫するためにも食事付きプランがおすすめです。夕食には、基本夜の営業をしていない創業100年を超える老舗料理店「めんどや」の飛鳥鍋がいただけます。飛鳥鍋とは、鶏肉や野菜を牛乳とだし汁で煮込んだ郷土料理。18時ごろまでに客室に届けてくれ、作り方を教えてもらうこともできます。朝食はお弁当が8時頃に客室前に配達されます。朝夕の食事を届けてくれるので、自分たちのペースで、のんびりと過ごせます。
■ブランシエラ ヴィラ 明日香
住所:奈良県高市郡明日香村飛鳥660
TEL:06-6203-2565
交通:近鉄橿原神宮前駅から車で約7分
チェックイン:15~22時(夕食付の場合は18時まで)
チェックアウト:11時
料金:1泊素泊まり2万3100円~(大人2名利用時)※1名での宿泊は不可
築200余年の古民家カフェで、
地元の食材をたっぷり使ったランチ&パフェを味わって
café ことだま(食)
「日本最初のやくよけ霊場」といわれる岡寺の参道沿い。古い住宅が建ち並ぶ一角にあるのが「café ことだま」。築200年を超える元造り酒屋の松村邸の母屋を、昔の風情をそのまま残してリノベーションしたカフェです。
店内は昔ながらのアンティーク調。懐かしい雰囲気の調度品が並びます。この落ち着いた空間でいただくランチとパフェが評判です。
人気は「ことだまランチ」1600円。店主自らが毎日直売所に出向いて選ぶ、明日香村の旬を詰め込んだランチです。内容は仕入れによって異なりますが、常に20種類ほどの野菜を料理のジャンルにこだわらず、一番おいしい調理法で提供してくれます。白米にのせた「自家製おかず味噌」は、これだけでご飯が進むとリピーターにも評判です。
季節のフルーツをたっぷりと使ったパフェも名物メニューの一つ。写真は7月初旬から8月中旬にいただける「桃パフェ」1550円。ランチにはもう少し小ぶりのミニパフェを付けることもできます。
パフェを提供した時に「予想以上に大きい!」と驚いてほしいと店主の加藤さん。「桃パフェ」は桃が1玉丸ごと使われていて、さわやかな甘さでランチの後でもペロリといただけます。10月からは奈良県産の栗、11月からは明日香村特産のイチゴ「あすかルビー」を使ったデザートを提供。実際に見て、その大きさを実感してみてください。
■café ことだま
住所:奈良県高市郡明日香村岡1223
TEL:0744-54-4010
交通:近鉄飛鳥駅から車で約6分
営業時間:10時~16時30分(土・日曜、祝日は~17時、ランチは11時~13時30分LO、ティータイムは14時~)
定休日:火曜、第3水曜
明日香村を熟知したガイドと一緒に
サイクリングで史跡を訪ねよう
飛鳥時代の歴史を体感するサイクリングツアー(体験)
明日香村に点在する、古墳や史跡を飛鳥地域の認定プロガイドと一緒にめぐるのが「飛鳥時代の歴史を体感するサイクリングツアー」。日本の原風景ともいえるのどかな風景の中を自転車でめぐります。秋には稲穂も黄金色になるなど、四季折々の景色が楽しめるのもポイント。歴史ある文化財を訪ねるだけでなく、明日香村のさまざまな表情を見ることができます。
集合は近鉄飛鳥駅。まずは自転車をレンタルします。アップダウンがあるので、利用するのは電動自転車です。使い方の説明を受け、サドルの高さを調節したら出発です。
聖徳太子をはじめ、さまざまな有力者が律令国家を目指し尽力した飛鳥時代。その舞台となった明日香村には、歴史にまつわる場所が点在しています。未だに謎に包まれている部分も多いので、ガイドと一緒に訪ねるのがおすすめ。サイクリングツアーでは、高松塚古墳や天武・持統天皇陵などのスポットを、村内にも5人しかいないというプロガイドの中島茂弥さんが案内をしてくれます。石舞台古墳では、なぜ蘇我馬子の墓というのが定説となっているのかも解説してくれました。
数ある注目スポットのなかでも、日本初の本格仏教寺院の飛鳥寺は、明日香村を知るのに欠かせません。当時は今の20倍もの広さがあり、3つの金堂が塔を囲む伽羅配置の大寺院でした。現在の本堂は江戸時代の再建ですが、本尊の銅造釈迦如来坐像は飛鳥時代作で国の重要文化財にも指定されています。
■飛鳥時代の歴史を体感するサイクリングツアー
集合場所:近鉄飛鳥駅
連絡先:info@kotomirai.sakura.ne.jp(明日香村商工会)
体験時間:水・金・土・日曜、祝日の13~16時 ※3日前までに要予約
料金:8800円(レンタサイクル・ガイド代・保険代・飛鳥寺拝観料込み。その他の入場料・拝観料は別途)
大正時代から続く醤油蔵で
自分だけのオリジナル醤油を作ろう
醤油蔵見学とマイ醤油づくり(体験)
大正7年(1918)創業の徳星醤油。三代続く天然醸造の醤油店で、明日香の人たちの食卓に欠かせない味を作り続けています。蔵に入ると醤油のいい香りに包まれます。そんな蔵の中でまずは醤油についてビデオを見ながら学びます。
蔵人風の衣装に着替えたら、醤油搾りを体験しましょう。杉桶で熟成させたもろみを、布に入れてふわっと包んだら、圧搾機でゆっくりと体重をかけて搾ります。思ったより力のいる作業にびっくり!
搾った醤油は瓶詰めにして、自分で作ったラベルを貼り持ち帰ることができます。
明日香村の老舗豆腐店の豆腐で、自分で搾った醤油、もろみ、徳星醤油の3つを味くらべも可能です。明日香村の井戸水を使った醤油は少し濃い目で口当たりがいいのが特徴。めったに食べることがないもろみは、その味の濃さに驚きました。
醤油づくり体験の後は近くのカフェ「明日香スタンド」に移動して、みたらし団子をいただきます。地元で人気の今西誠進堂のお団子を自分で焼いて、徳星醬油を使ったオリジナルのたれをたっぷりとつけました。お団子の焦げた部分が香ばしくて、みたらし団子のたれとの相性が抜群。醤油の奥深さがわかるおいしい体験です。
■醤油蔵見学とマイ醤油づくり(みたらし団子付き)
集合場所:明日香村商工会(奈良県高市郡明日香村島庄5)
連絡先:info@kotomirai.sakura.ne.jp(明日香村商工会)
体験時間:金・土曜の13時~16時30分 ※7日前までに要予約
料金:1万2000円
精米業を営んでいた建物で
米粉を使ったスイーツでコーヒーブレイク
明日香スタンド(食)
江戸時代から大正時代まで、精米を商いとしていた岡本邸。戦後は貝ボタン工場としても栄え、エントランスとなる門屋の2階には、お手伝いさんが住み込みで働いていたそうです。そんな岡本邸が2023年、地域の人も観光客もふらっと立ち寄れる「明日香スタンド」に生まれ変わりました。
店内のショップスペースでは、地域で生産されている古代米や醤油、地元産のフルーツを使ったジャムなど、明日香村のおみやげが並びます。古墳をモチーフにデザインされたタイルや手ぬぐい、巾着も人気だとか。
テイクアウトメニューのイチオシは、米粉を使ったどら焼き。この場所に縁のあるものを提供したいと、奈良県産の米粉を使い、店内で丁寧に焼き上げています。しっとり、モチモチの食感で、あんこもたっぷり。コーヒーとの相性も抜群なので、ぜひ「米粉と葛粉のどら焼きドリンクセット」700円で味わってください。
明日香村名産のイチゴ「あすかルビー」とショウガを使ったクラフトコーラ、「明日香村産あすかルビーのクラフトコーラフロート」600円もおすすめです。ショウガのパンチとイチゴときび砂糖の甘みに、散策の疲れも吹き飛びそう。
■明日香スタンド
住所:奈良県高市郡明日香村岡7
TEL:0744-55-0473
交通:近鉄飛鳥駅から車で約6分
営業時間:公式SNSサイトを要確認
定休日:公式SNSサイトを要確認
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