【京都】豊臣秀吉も愛した桜の名所、世界文化遺産・醍醐寺は自然美と建築美の宝庫!

【京都】豊臣秀吉も愛した桜の名所、世界文化遺産・醍醐寺は自然美と建築美の宝庫!

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豊臣秀吉の「醍醐の花見」が開かれたことで知られる醍醐寺(だいごじ)。令和6年(2024)に開創1150年を迎えた古刹は、京都府下最古の木造建築物である国宝の五重塔をはじめ、なんと10万点以上の文化財を保有しています。世界文化遺産にも登録されている醍醐寺の巡り方やおすすめのスポットをご紹介します。

Summary

皇室や秀吉に愛された一大寺院

薬師堂(提供:醍醐寺)
国宝 薬師堂(提供:醍醐寺)

山科盆地の東側、標高約450mの醍醐山一帯に約200万坪の広大な境内を誇る醍醐寺。山頂一帯を「上醍醐(かみだいご)」、山裾に広がるエリアを「下醍醐(しもだいご)」と呼んでいます。平安時代初期の貞観16年(874)、仏法興隆の地を求めて醍醐山(笠取山)に入った開山の聖宝理源大師(しょうぼうりげんだいし)は、自らの手で彫った准胝・如意輪の両観音像を安置する2棟のお堂を建立しました。ここから醍醐寺の歴史が始まります。延喜7年(907)には、醍醐天皇の御願による薬師堂が建立され、続いて五大堂が落成すると上醍醐の伽藍(がらん)が完成しました。

五重塔
国宝 五重塔

さらに下醍醐に釈迦堂が建立されると、伽藍は山上から山裾へと広がっていきます。醍醐寺に深く帰依していた醍醐天皇が没すると、朱雀天皇、村上天皇にその思いが受け継がれ、五重塔などが建立され、山上・山下にわたる寺院の姿が整いました。

三宝院庭園
特別名勝・特別史跡 三宝院庭園

下醍醐は応仁・文明の乱による戦災に遭い荒廃しますが、醍醐寺第80代座主の義演准后(ぎえんじゅごう)は、豊臣秀吉の帰依のもと「醍醐の花見」を通じて一山の復興を果たします。秀吉は、歴代座主が居住する三宝院の庭園設計を手がけたり、和歌山・湯浅からの金堂移築をはじめ、戦禍で荒廃していたお堂の修理や再建を指示したり、醍醐寺の復興に貢献しました。また、江戸時代には 戦乱のない世の中となり、庶民による社寺参詣が盛んになります。西国三十三所札所の上醍醐准胝堂への巡礼など、参詣者が増え、醍醐寺は広く民衆にも開かれていきました。

霊宝館
霊宝館

明治に入ると、神仏分離令、廃仏毀釈、修験道廃止令によって、醍醐寺も大きな打撃を受けますが、一つの寺宝も外に流出させないことを旨として困難な時期を乗り越え、平成6年(1994)には世界文化遺産に登録。10万点以上の寺宝(うち国宝7万5,537点、重要文化財430点※2024年10月現在)の多くは、霊宝館で保管され、順次公開されています。

「建築美」をテーマに伽藍(がらん)を巡ろう

西大門(仁王門)
西大門(仁王門)

約200万坪もの広大な寺域を誇る醍醐寺。境内には、数多くの堂宇が建ち並びます。その美しい建築美を観賞しましょう。まずは、下醍醐の中心となる伽藍へと向かいます。総門から広々とした桜馬場を通り、西大門(仁王門)へ。慶長10年(1605)に豊臣秀吉の息子、秀頼によって再建された門です。

門の両脇でにらみをきかせる金剛力士像(重要文化財)は、元々醍醐寺南大門に祀られていた尊像で、平安時代後期の長承3年(1134)に、仏師・勢増、仁増によって造立されたもの。現存する平安後期の仁王像が少ないため、貴重な作例なんです。

西大門を抜けると、広大な伽藍が広がります。金堂(国宝)は、もともと釈迦堂として醍醐天皇の御願により延長4年(926)に創建されましたが、2度にわたり焼失。現在の金堂は豊臣秀吉の命で和歌山・湯浅から移築が計画され、秀吉の没後の慶長5年(1600)に完成しました。堂内には、醍醐寺の本尊・薬師如来坐像(重要文化財)が安置されています。

清瀧宮本殿
重要文化財 清瀧宮本殿

金堂の向かいに鎮座する清瀧宮本殿(重要文化財)/清瀧宮拝殿は、醍醐寺の総鎮守・清瀧権現を祀る鎮守社です。最初に勧請された上醍醐から分身を移し祀られました。現在の社殿は永正14年(1517)に再建されたもの。朱塗りの社殿には鮮やかな文様が描かれ、当時の姿を今に残します。

下醍醐清龍宮本殿(提供:醍醐寺)
下醍醐清龍宮本殿(提供:醍醐寺)

桜が美しく咲く時期には、「清瀧権現桜会(せいりゅうごんげんさくらえ)」が開かれ(3月15日~4月15日)、醍醐の花見を現代に再現した「豊太閤花見行列」なども行われます。

清瀧宮拝殿の先にそびえる五重塔(国宝)は、京都府下で最も歴史のある木造建築物です。醍醐天皇のご冥福を祈るために、朱雀天皇が承平6年(936)に着工。村上天皇の天暦5年(951)に完成しました。高さ約38mありますが、屋根の上の相輪が約13mと約1/3を占め、塔の美しさと安定感を演出しています。初層内部(非公開)には両界曼荼羅や真言八祖が描かれており、日本密教絵画の源流をなすものといわれているそうです。

伽藍をさらに奥へと進むと、観音堂があります。醍醐天皇一千年御忌を記念し、昭和5年(1930)に建立されたもので、御朱印はこちらでいただけます。

こちらでは、醍醐寺本尊(真言宗十八本山、神仏霊場ともに同じ)・薬師如来、西国三十三所観音霊場第11番札所・准胝観音、近畿三十六不動尊霊場第23番札所・五大力尊、西国四十九薬師霊場第39番札所・薬師如来、役行者霊蹟札所・神変大菩薩と、たくさんのご朱印が受けられます。

醍醐寺開創1150年記念切り絵御朱印(提供:醍醐寺)
醍醐寺開創1150年 特別限定切り絵御朱印(提供:醍醐寺)

醍醐寺開創1150年を記念した特別な切り絵の御朱印などもあります。限定1150枚となっています。ぜひいただきましょう。授与は2024年11月1日から開始です。

池の畔に立つ弁天堂
池の畔に立つ弁天堂

観音堂と同じ時期に建てられた弁天堂は、音楽などの学芸や知識の女神として広く知られた弁才天が祀られたお堂です。池に映るお堂の姿が幻想的ですね。この辺りは、紅葉が多く、晩春から夏にかけてはさわやかな青紅葉の光景に包まれた姿を眺めることができます。

秋の弁天堂(提供:醍醐寺)
秋の弁天堂(提供:醍醐寺)

秋は紅葉の名所として多くの人が参拝に訪れます。朱塗りの弁天堂と赤く染まる紅葉が美しいですね。フォトジェニックな光景をぜひその目で確かめてみてはいかがでしょう。

上醍醐 清瀧宮拝殿(提供:醍醐寺)
上醍醐 国宝 清瀧宮拝殿(提供:醍醐寺)

弁天道の先は、上醍醐へと続く参道となります。入山口の女人堂から険しい山道を歩くこと約1時間。醍醐寺発祥の地である山上には、平安時代後期に再建された薬師堂(国宝)や室町時代に再建された清瀧宮拝殿(国宝)、開山堂(重要文化財)、如意輪堂(重要文化財)などが建ち、辺りは神聖な空気が漂います。

上醍醐からの眺望(提供:醍醐寺)
上醍醐からの眺望(提供:醍醐寺)

上醍醐からは遠く大阪の街が一望できます。自然の中に身を置いて一体感を味わってみるのもいいですね。上醍醐の入山受付は、夏期は15時まで、冬期は14時までとなっています。時間に余裕を持って、歩きやすい服装や靴で訪れるようにしましょう。

秀吉設計の庭園が見事な三宝院は必訪!

三宝院大玄関(重文)
重要文化財 三宝院大玄関

下醍醐の桜馬場まで戻ったら、醍醐寺の本坊的な存在である三宝院へ。第14世座主・勝覚僧正により創建され、国宝の表書院や唐門、重要文化財の大玄関や奥宸殿、純浄観(じゅんじょうかん)、本堂といった貴重な文化財が集まっています。ぜひ訪れましょう。

葵の間
重要文化財 葵の間

大玄関を入って進み、葵の間へ。襖絵(複製)には京都三大祭のひとつ、葵祭の様子が描かれています。下鴨神社から上賀茂神社へ向かい列をなす様子が細かく描写され、その美しさに圧倒されます。隣には秋の七草が襖絵に描かれた秋草の間(重要文化財)、長谷川等伯一派の作といわれる竹林花鳥図が襖絵に描かれた勅使之間(重要文化財)が続きます。

国宝 表書院のうち上段・中段の間
国宝 表書院のうち上段・中段の間

国宝の表書院は、平安時代の寝殿造りの様式を取り入れているのが特徴的。上段・中段・下段の間が設けられ、下段の間は畳をあげると能舞台に変わることから「揚舞台の間」とも呼ばれています。

秀吉が花見をしたときの建物を移築したといわれるのがこちらの純浄観。襖絵の桜・紅葉は、現代日本画の巨匠・浜田泰介が描いたもの。襖一面に描かれたダイナミックな桜や紅葉の絵に思わず圧倒されます。

そして三宝院でぜひ観賞したいのが、こちらの三宝院庭園です。豊臣秀吉が醍醐の花見を契機に自ら設計したといわれ、歴史的価値も高い庭園ですが、庭園が完成したのは慶長3年(1598)5月。同年8月に亡くなった秀吉は、庭の完成を見ることはできませんでした。秀吉没後は、当時の座主・義演が作庭を引き継ぎ、その過程は、『義演准后日記』に克明に残されています。

鶴島(左)と亀島
亀島(左)と鶴島

歴代の武将によって受け継がれたことから天下の名石とよばれる「藤戸石」や躍動感あふれる「鶴島」、樹齢600年以上といわれる五葉松が島全体を覆い静寂を表現した「亀島」、賀茂川の流れを表した「賀茂の三石」など見るべきポイントも多く、桃山文化の華やかさを今に伝える庭園となっています。

三宝院の太閤しだれ桜(提供:醍醐寺)
三宝院の太閤しだれ桜(提供:醍醐寺)

桜が咲く頃に三宝院を訪れると、秀吉が「醍醐の花見」で愛でた桜の子孫といわれる「太閤しだれ桜」を観賞できます。優雅な花を眺めながら、天下を取った秀吉に思いを馳せるのも素敵ですね。

霊宝館で文化財鑑賞した後は、カフェでひと休み♪

最後に訪れるのが、昭和10年(1935)に開館した霊宝館。約10万点以上に及ぶ、彫刻や絵画、工芸、古文書など、日本の仏教史や美術史上貴重な寺宝を収蔵・展示。例年、春と秋に特別展が開かれテーマに沿って寺宝の一部が公開されます。
春と秋以外は、霊宝館(本館・平成館・仏像棟)のどこか1箇所を開館しています。開館場所・展示内容は、醍醐寺まで問い合わせてみてくださいね。

広い境内を散策して少し疲れたら、霊宝館の向かいにあるフレンチカフェ「ル・クロ スゥ ル スリジェ ~桜の樹の下で~」で、ひと休みするのはいかが。しだれ桜が並ぶ芝生を望む開放的な空間内は、明るく開放的でリラックスできそう。醍醐寺関連の書籍、雑誌なども揃い、ゆったりとした時間を過ごせます。

パンペルデュ1150円
パンペルデュ1150円

おすすめは、開創1150年を記念した新メニューのパンペルデュ。卵液にじっくりと浸したバゲットを焼いたフレンチトーストにひんやりバニラソフトをのせていただけば、甘じょっぱさが口の中に広がり、幸せな気分に。醍醐寺開創1150年のロゴが入ったマカロンもかわいいですね♪

京都駅から直行便も!醍醐寺へのアクセス

桜と国宝の唐門(提供:醍醐寺)
桜と国宝の唐門(提供:醍醐寺)

醍醐寺へは、京都駅八条口から乗車できる「京都醍醐寺ライン(京阪バス301系統)」を利用すれば乗り換えが不要。約30分で到着できます。1時間に1~2便出発しているので、時刻表をチェックしましょう。

日月門へと続く、青紅葉に囲まれた参道
日月門へと続く、青紅葉に囲まれた参道

また路線バスを利用する場合は、山科駅から京阪バス22・22A系統に乗って約15~20分。「醍醐寺前」で下車すればすぐに醍醐寺に行けます。JR・京阪六地蔵駅からの場合は、22・22A系統で約15~20分で、「醍醐寺前」に到着します。地下鉄を利用する場合は、醍醐駅で下りて徒歩約10分のアクセスです。

■醍醐寺(だいごじ)
住所:京都市伏見区醍醐東大路町22
TEL:075-571-0002
HP:https://www.daigoji.or.jp/
拝観時間:下醍醐と上醍醐で時間が異なります。
【下醍醐】
9~17時
※冬期(12月第1日曜日の翌日〜2月末日)は9時~16時30分
※受付は閉門時間30分前まで
【上醍醐 入山受付】
9~15時
※冬期(12月第1日曜日の翌日〜2月末日)は9~14時
拝観料:期間により拝観料が異なります。また下醍醐・上醍醐それぞれ拝観料が必要となります。
【下醍醐】
三宝院・伽藍 大人1000円(霊宝館庭園無料)
※春期は三宝院・伽藍・霊宝館庭園 大人1500円
三宝院御殿特別拝観 大人・中高生500円
霊宝館特別展(春期・秋期) 大人・中高生500円以上(文化財維持寄付金として)
【上醍醐】
大人600円
駐車場:約100台(有料)

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Photo:鈴木誠一
Text:津曲克彦

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