1日8組限定!日本初・日本酒テーマのホテル「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」【すみずみ宿泊ルポ】
「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち(にっぽにあ ほてる なら ならまち)」は、日本初の日本酒をテーマにした “SAKE HOTEL” です。明治時代創業の蔵元、「豊澤酒造」の伝統的な日本家屋や蔵をリノベーションし、奈良と日本酒を楽しめる宿によみがえりました。古くて新しい全8室の客室は、どの客室も個性的で魅力的! 奈良の食材を使った、日本酒とのマリアージュが楽しめるフレンチも絶品です。日本酒発祥の地奈良で、おいしい日本酒と料理を堪能するスペシャルな旅情報をお届けします。
Summary
古民家の趣を残した酒蔵 “SAKE HOTEL”
「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」があるのは、近鉄奈良駅から徒歩約8分の場所。元興寺の旧境内で、いまも風情ある町並みが残る「ならまち」にあります。東大寺や春日大社など、多くの寺社に日本酒を納める老舗「豊澤酒造」の創業の地で、どっしりと趣のある、元蔵元の日本家屋が迎えてくれます。
のれんがかかった門を入り、そのまま進むと奥がホテルの正面入り口です。お屋敷に入っていく気分ですね。
昭和10年(1935)に移転するまで、酒蔵として使われていた建物は歴史の重みが感じられます。日本酒をつくるための米を保管していた米蔵や、蔵元家族の住居として使われていた母屋、お茶室だったところなど、さまざまな用途で使われていた場所を、特長のある8つの客室によみがえらせた“SAKE HOTEL”。どんな空間が広がっているのか、ワクワクします。
いろいろな奈良を感じられる旅をサポート
まずは正面入り口を入って、すぐ横のフロントでチェックイン。旅の目的や、どういう奈良の楽しみ方をしたいかなどを、チェックインのときにスタッフさんが丁寧に聞いてくれるのもうれしいところ。歴史が好き、古民家建築が好き、日本酒が好き、かき氷が食べたい、カフェ巡りをしたい、などなど奈良の楽しみ方はたくさん。詳しく話をするなかで、興味のあるおすすめスポットも紹介してもらえます。
ウェルカムドリンクは、大和ほうじ茶と甘酒。フロント前のソファに座っていただきます。香り高い大和ほうじ茶と、飲む点滴ともいわれる栄養たっぷりの甘酒に、思わずほっこり。「奈良と日本酒を楽しみ、その魅力を発見する宿」というコンセプトを、チェックインと同時に感じられる心遣いです。
歴史ある古民家に泊まる贅沢
103 KINOE
もともと客間として使われていたという「103 KINOE」。 伝統的な古民家のしつらえを満喫できる、贅沢な空間です。和室と板間がひと続きになった、段差のないフラットなつくりで、広々としています。美しい庭が見える縁側は、晩酌にぴったり!
板間のベッドルームには、寝心地にこだわった上質なサータ社製のベッドが並んでいます。セミダブルなので、ゆったり寝られそうです。
天上と鴨居の間に設けられた松と鶴の美しい欄間は、日本家屋のよさを当時のままに残しています。職人の技が感じられますね。
昔ながらの味がある縁側廊下は、お寺などでよく見られる「うぐいす張り」。歩くと「きゅっきゅっ」と音が鳴ります。庭に面した窓ガラスは、よく見ると微妙な歪みがあって、ガラス越しの景色が少しゆらめいて見えるレトロな大正ガラス。建物が重ねてきた時間に、ふと想いを馳せました。
お風呂は職人さん手づくりの檜風呂。木の香りに包まれて、リフレッシュできそうです。
ゆったりした檜風呂では、保温効果・美肌効果のある酒粕風呂が楽しめます。もちろん、用意されている酒粕は、豊澤酒造のもの。酒粕風呂は、ほんのり日本酒の香りがするにごり湯で、体の芯から温まって、お肌もすべすべになります。酒粕風呂用の酒粕は、滞在中であれば追加オーダー(無料)もOKです。
昔ながらの趣を残しつつも快適に過ごせる工夫が凝らされており、お風呂や洗面、トイレなどの水回りは、現代的で使い勝手がいいのもうれしい。
ハンドソープやボディーローション、シャンプーやコンディショナーなどは、純国産天然シルク由来のスキンケア「SILMORE」シリーズが用意されています。
ルームウェアは、ゆったりしたデザインで、着心地のいいシャツ+パンツ型。ごろんと畳に寝転がってリラックスするのにも最適です。
客室のかたわらには、冷蔵庫や金庫、カップやグラス、電気ポットなどが用意されています。
オリジナルの珈琲、紅茶なども。
冷蔵庫には、さまざまな種類のドリンクが用意されています。なんと、冷蔵庫のドリンクはすべて無料! ビールやソフトドリンク、もちろん豊澤酒造の日本酒も入っています。
こちらが冷蔵庫に入っていた豊澤酒造の日本酒。豊澤酒造を代表する銘柄「豊祝」もスタンバイ! 冷酒に最適なすっきりした淡麗辛口です。手づくりにこだわる豊澤酒造のお酒は、おいしさがちがいます。幅広い層に楽しんでもらいたいと、いろいろなテイストのお酒を造られているそう。きっと自分好みのお酒がみつかります。
フロントに電話をすれば、「おつまみセット」のルームサービス1210円もお願いできます。奈良の食材や特産品を使ったぜいたくなおつまみを、客室にある日本酒と一緒に楽しめるなんて、至福のひとときですよね。ちょっと小腹が…というときは「ちょっとお夜食」お茶漬けセットのルームサービス1200円もありますよ。
108 KANOTO
もともと茶室だった「108 KANOTO 」は、茶室と水屋の意匠をそのまま残した、素敵な空間を楽しめます。炉の切られた和室からプライベートガーデンを眺めると、心安らぐ時間が過ごせそう。外の廊下に出ると、プライベートガーデン沿いに水回りがある非日常な雰囲気が味わえます。
蔵に泊まるワクワク体験
101 HINOTO
こちらは正面玄関の奥にある101 HINOTO。入り口の引き戸を開けると、なんと目の前に蔵の壁がどーんっ!
くつを脱いで中に入ると、さらに重厚な漆喰の扉が待ち構えていて、「うわー」っと思わず声をあげてしまいます。扉を開けると蔵がある!という衝撃。蔵の外観をそのまま建物の中に閉じ込めたような、おもしろい造りに感動します。大事にされてきた蔵をそのまま生かしているところが素敵です。
1階は居間と水回り、2階にベッドルームがあります。2階へは梯子階段で上がります。かなり急なので、注意が必要です。飲みすぎにも気をつけて!
2階は、屋根裏部屋を思わせるロフトのベッドルームです。なんだか秘密基地のよう。
重厚な壁も当時のままで、蔵の中にいることを実感できる、不思議な空間。ほかでは味わえない空気感です。
105 KANOE
「105 KANOE」は、もともと米蔵として使われていた建物で、ベッドルームは高い天井が特長的。格子戸から明るい光が差し込む、開放的な雰囲気が素敵です。窓の外には、緑や周囲の瓦屋根が広がっていて、見晴らしも最高。床がじゅうたん敷きで、歩きやすい和モダンなスタイルも人気だそうです。
この客室を外から見ると、もともとは「蔵」だったことがよくわかります。
こだわりのフレンチは、日本酒と奈良の食材のマリアージュ
おしゃれなカウンターダイニング(レストラン ルアン)は、かつて酒蔵の土間だったところ。太い梁がかかる高い天井、焼杉の壁など、古民家のぬくもりに包まれています。カウンタースタイルで、シェフが目の前で料理する姿が見られるので、ライブ感たっぷり。スタッフさんとの距離も近いので、料理や日本酒についての質問も、気軽にすることができます。
夕食付きのプランの場合、ダイニングにて「日本酒とのマリアージュ」にこだわった創作フレンチのコースをいただけます。大和野菜や大和牛、大和ポークなど、奈良の食材をふんだんに使った、季節ごとに変わるコースは、ここでしか食べられないものばかり。料理にも、豊澤酒造の日本酒や酒粕が使われています。夕食付のプランでない場合も、空き状況によっては追加で夕食をオーダーすることが可能。
「日本酒に合う料理」をコンセプトにしているので、バターを使わないこともシェフのこだわりです。和のテイストに合うように、味噌やしょうゆを使うなど工夫されたフレンチは、“SAKE HOTEL”ならでは。酒粕や甘酒などを使ったデザートも絶品です。
1番のおすすめは、日本酒とお料理のマリアージュを楽しめる、コース料理のペアリング(ディナーペアリング4400円)です。ディナーペアリングの日本酒は、乾杯酒+4杯(4銘柄)。1杯は約0.5合なので、全体で2.5合ほどです。豊澤酒造の蔵元・シェフ・唎酒師・スタッフが厳選した、季節のお料理に合うお酒が楽しめるなんて、究極の贅沢! ワイングラスで提供される日本酒は、キラキラととてもおいしそうです。
お酒があまり強くない人、少量ずつ楽しみたいという人は、「おちょこで楽しむ少量の飲み比べ」もおすすめです。もちろん単品のオーダーもOK。ソフトドリンクも用意されています。
「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」で飲める日本酒は、こだわりの豊澤酒造のお酒です。5種類ほどの定番銘柄のほか、ホテルのためだけに造られた10種類ほどの季節限定酒もあります。伝統の手造りの製法で作られた豊澤酒造のお酒は、日本酒好きの人はもちろん、普段あまり飲まないという人にも飲みやすく、「日本酒がこんなおいしいなんて知らなかった!」と発見する人も多いそう。
朝日が差し込むダイニングでいただく、自慢の和朝食もはずせません。やさしく体を目覚めさせてくれるのは、奈良の郷土料理として有名な、大和ほうじ茶をつかった茶粥。あたたかい汁物は、豊澤酒造の酒粕を使った「粕汁」です。朝から “SAKE HOTEL” ならではのおいしさがたまりません。
日本酒と奈良の魅力に酔いしれよう
こちらは昔、正面玄関として使われていた、現在のレストランの入り口です。昔のまま「豊澤」の表札がかけられ、軒先には酒蔵のシンボルである杉玉がつり下げられています。「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」のあちこちに見られる、日本酒とともに歴史を刻んできた名残を、ぜひ探してみてください。
周辺のおすすめ観光スポット&リアルなおすすめタイムスケジュール
【ホテルから徒歩約7分】猿沢池
奈良公園内にある池で奈良八景のひとつとなっています。池の周囲の柳と興福寺五重塔が水面に映り込む風景は美しく、人気の記念撮影スポットです。
【ホテルから徒歩約20分】浮見堂
奈良公園の鷺池に浮かぶ八角堂形式(六角形)のお堂です。現在建っているのは、平成3年(1991)から平成6年(1994)にかけての修復工事でよみがえったもの。水辺の憩いの場です。
【ホテルから徒歩約20分】奈良国立博物館
奈良公園の一角に位置する博物館で、仏教美術では国内随一の質と量を誇り、なら仏像館では100体近くの仏像が常時展示されています。正倉院展が開催されることでも有名。
リアルなおすすめタイムスケジュール
今回のホテルは、奈良市の中心ともいえるならまちにあり、奈良市内観光にピッタリの場所です。数々の歴史ある寺社や博物館、趣ある街並み、自然の雄大な風景などをたっぷりと楽しめます。日本らしさを感じられる個性豊かな空間で過ごし、日本酒を楽しめるのもこのホテルに滞在するお楽しみのひとつ。
【1日目】
10:30 JR京都駅に到着。近鉄京都線で近鉄奈良駅に移動しホテルへ
11:30 荷物を預けて、ホテル真向いの「奈良水晶」でランチと水晶餅を堪能
13:00 奈良国立博物館や東大寺を訪れ仏教美術などを鑑賞
17:30 チェックイン。客室で荷物を広げてほっとひと息
18:00 「レストラン ルアン」で奈良の美酒と美食を楽しむディナー
20:00 客室でのんびり晩餐
23:00 就寝
【2日目】
6:30 猿沢池や浮見堂へ奈良公園をお散歩
7:30 ホテルで和朝食を堪能
10:00 荷物を預けてチェックアウト後、春日大社方面へ観光、ならまち散策
16:30 ホテルで荷物をピックアップして、みやげ物店をチェックしながら近鉄奈良駅へ
17:00 近鉄京都線でJR京都駅へ移動し帰路へ
ホテルの庭には、よく鹿が遊びに来ます。客室のすぐ近くまで入って来て、間近で見えることもあるそうです。ちょうど3匹の鹿が庭の木陰で休んでいるところに遭遇しました。かわいい小鹿もいました。鹿を見ると、やっぱりテンションが上がりますね。
■NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち
(にっぽにあ ほてる なら ならまち)
住所:奈良県奈良市西城戸町4
TEL:0120-210-289(VMG総合窓口)
チェックイン:15~20時
チェックアウト:~12時
料金:1泊1室2名 5万円~
アクセス:近鉄奈良駅4番出口から徒歩8分。JR奈良駅東口から徒歩10分
Text&Photo:砂野加代子(ウエストプラン)
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