目黒「カトリック碑文谷教会」の荘厳な天井画やステンドグラスの建築美に心酔

目黒「カトリック碑文谷教会」の荘厳な天井画やステンドグラスの建築美に心酔

おでかけ 教会 フォトジェニック 東京都 るるぶ&more.編集部
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目黒区碑文谷の閑静な住宅地にある「カトリック碑文谷教会(かとりっくひもんやきょうかい)」(通称「サレジオ教会」)は、イタリアのピサ大聖堂でも知られるロマネスク様式で建てられた教会です。ぜいたくに大理石が使用された聖堂、天井の緻密なフレスコ画、壁面を彩る数々の装飾、キリストの生涯を描いた色鮮やかなステンドグラスなど、数々の建築美を体感できます。

Summary

閑静なサレジオ通り沿いに突如現れる荘厳な教会

「カトリック碑文谷教会」は、東急東横線学芸大学駅と都立大学駅のちょうど中間あたりに位置します。どちらの駅からも歩くと15分ほどかかるので、目黒駅からバスを利用すると好アクセス。「目黒駅前」から東急バスに乗り、「サレジオ教会」停留所で降りた目の前です。ベージュの装飾がアクセントになった白壁のレトロな教会はひときわ目を引き、あたりは凛とした空気に包まれています。


建てられたのは昭和29年(1954)のこと。カトリック東京大司教区からサレジオ会に委託された教会であることから、「サレジオ教会」ともよばれています。サレジオ会は、青少年の教育に力を注いだイタリアの司祭である聖ヨハネ・ボスコにより19世紀にイタリアで創立され、青少年を導く目的で活動している男子修道会です。

「カトリック碑文谷教会」が面した通りは、教会にちなんで「サレジオ通り」という名前が付けられています。
ミラノから寄付されたという鐘を納める塔は、約36mの高さ。周辺は閑静な住宅街で周りをさえぎる建物はなく、付近のランドマーク的存在です。鐘はミサや行事がある際に鳴らされ、運がよければその美しい音色に耳を傾けることができます。

目を見張る美しさ。荘厳なロマネスク様式の建築

正面玄関から眺める聖堂の姿は圧巻。ここだけ時が止まったような不思議な感覚に陥る
正面玄関から眺める聖堂の姿は圧巻。ここだけ時が止まったような不思議な感覚に陥る

「カトリック碑文谷教会」は、聖堂の建築の美しさでも知られています。建築様式は、石造りの壁や半円アーチが見られる、中世西ヨーロッパのロマネスク様式。平常時は400名程度の着席が可能で、結婚式会場としても利用されます。

ステンドグラスの美しさをぜひ実際に見てほしい
ステンドグラスの美しさをぜひ実際に見てほしい

聖堂正面のまわりや両サイドの窓には、計21枚の美しいステンドグラスが設置されています。ステンドグラスに描かれているのは、キリストの誕生から復活までの物語。

正面入り口から見て左側の窓に並ぶステンドグラスのうちの一つ。「聖霊降臨」を表す
正面入り口から見て左側の窓に並ぶステンドグラスのうちの一つ。「聖霊降臨」を表す
北側の入り口にある「放蕩息子の例え」を表すステンドグラス。よく見ると手の表情など細かい部分まで表現されている
北側の入り口にある「放蕩息子の例え」を表すステンドグラス。よく見ると手の表情など細かい部分まで表現されている

聖堂の後方には、立派なパイプオルガンが設置されています。ミサや結婚式の際などに演奏されるため取材時はその音を聞くことができませんでしたが、この荘厳な聖堂内に深みのあるパイプオルガンの音が響き渡ることを考えるだけで、心が穏やかに。天井から吊るされたシャンデリアも、燭台のようなデザインで素敵です。

高さ36mのアーチ状の天井に、ぎっしりと描かれた緻密な日本最大級のフレスコ画も圧巻。こちらは地上で絵を描いてから天井に吊り上げられたのではなく、天井まで組んだ足場に仰向けになって描かれたものだそう。なんとすべて一人の修道士が描き上げているというから、驚きです。規則的に織りなされる模様に、ただ見惚れてしまいます。

十字架にかけられたキリストが掲げられる聖堂正面には、聖母と聖ヨハネの壁画がモザイクで描かれています。主祭壇に上がることはできませんが、天井の柄やモチーフが織りなす美しさは、遠くからでも十分に感じられます。

至る所にある柱や装飾にもふんだんに大理石が使用され、何とも美しい! 全体的に聖堂を眺めるのもいいですが、一つ一つ細かく建築物を眺めていくと、その緻密さに圧倒されます。長い歴史のなかで築かれてきた伝統に思いを馳せると、心が穏やかになるのを感じますよ。

「江戸のサンタマリア」ほかみどころはさまざま

北側の入り口正面にある小祭壇には、聖母画『悲しみの聖母(親指のマリア)』のレプリカが掲げられています。

『悲しみの聖母(親指のマリア)』は、「カトリック碑文谷教会」の聖堂が完成した昭和29年(1954)に、東京国立博物館で発見されました。これは約280年前、禁教下の江戸時代に最後の宣教師として上陸したシドッティ神父がイタリアから持ってきた聖母画といわれています。

聖母画『悲しみの聖母(親指のマリア)』のレプリカ
聖母画『悲しみの聖母(親指のマリア)』のレプリカ
聖堂の正面のアーチには「EDO NO SANTA MARIA」の文字が
聖堂の正面のアーチには「EDO NO SANTA MARIA」の文字が

祭壇前部のアーチ部分には、美しい天使の姿が描かれています。主祭壇を前に右側には聖堂をささげる姿が、左側にはキリストの御体と御血をささげる姿が描かれています(写真は左側の装飾)。

主祭壇の右側にあるパウロ・ファローニ神父作の白大理石で作られた彫像は、サレジオ会を設立した聖ヨハネ・ボスコの像。混沌の19世紀のイタリアにおいて、貧しい青少年への教育支援に尽力したという人物像を称え、サッカーボールを携えた少年たちと一緒に立っています。

聖ヨハネ・ボスコ像と対になるようにして主祭壇の左側に掲げられているのは、イタリアの彫刻家・モンタユティ作の白大理石で作られた『ピエタ』。十字架から降ろされたキリストを抱く悲しみの聖母の姿が表現されています。

主祭壇右側の手前には、木彫の被昇天の聖母マリア像が掲げられています。救世主の母としてその生涯を終え、身も心も栄光のうちに天国に上がった姿を表しています。

聖母マリア像と対になるようにして主祭壇左側の手前には、キリストが人々をどれほど愛しているかを表したイエス・キリストのみこころの木彫があります。

内陣には、イエス・キリストと12使徒による『最後の晩餐』が描かれた祭壇があります。すべてモザイクタイルで作られていて、その繊細さに目を奪われます。

両サイドの窓のステンドグラスをはさむようにしてある大理石の柱には、キリストが十字架を担って歩んだ受難の道のりを描いた 「十字架の道行き」を見ることができます。一つ一つ見ていきながら、祈りましょう。

聖堂の左側前方にある小聖堂の入り口の上に描かれているキリストは、白い着物を着ています。この絵の物語は日本が舞台となっており、「カトリック碑文谷教会」ならではの表現だそうです。

聖堂の脇には、告解室があります。告解室はカトリック教会の秘跡の一つで、司祭のもとで自分の犯した罪を告白し、神様のゆるしを願う場所。告白を聞く司祭の部屋と、ゆるしを求める人の部屋に区切られ、司祭と告白者の間は格子で仕切られています。

「碑文谷カトリック教会」の聖堂は、毎日10~17時に一般開放されています。土曜は結婚式、日曜はミサが行われていることも多いため、平日に訪れるのがおすすめです。どこを切り取っても素敵ですが、ほかの人の迷惑にならないようモラルのある写真撮影をしつつ、建築美を味わいたいですね。


Text:松崎愛香
Photo:yoko

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