【京都】永観堂(禅林寺)で「みかえり阿弥陀」に出会う。見事な紅葉にも注目

【京都】永観堂(禅林寺)で「みかえり阿弥陀」に出会う。見事な紅葉にも注目

京都府 寺社 紅葉 紅葉ライトアップ 散歩 おでかけ
るるぶ公式Twitter るるぶ公式Facebook るるぶ公式LINE はてなブックマーク Pocket

紅葉の名所としても有名な永観堂(禅林寺)。秋には約3000本ものイロハモミジやオオミモジが境内を彩り、美しい赤や黄色のグラデーションが参拝者の心を虜にします。ほかにも、「みかえり阿弥陀」で知られる本尊の阿弥陀如来像や京都市内を一望できる多宝塔など、永観堂のみどころやアクセスをご紹介します。

Summary

禅林寺が「永観堂」とよばれるようになった理由

天皇の使いが出入りする時に使われた勅使門「唐門」
天皇の使いが出入りする時に使われた勅使門「唐門」

「永観堂」の歴史は古く、平安時代にまでさかのぼります。仁寿3年(853)、藤原関雄(ふじわらのせきお)が若い頃に住まいとしていた邸宅を、空海の弟子・真紹僧都(しんじょうそうず)が譲り受け庵を結んだことが始まり。貞観5年(863)には時の清和天皇から寺院建立の許可と「禅林寺」という名を賜りました。

ご本尊の「みかえり阿弥陀」を安置する阿弥陀堂
ご本尊の「みかえり阿弥陀」を安置する阿弥陀堂

禅林寺が「永観堂」とよばれるようになった理由は、平安時代後期に住持を務めた永観律師(ようかんりっし)に由来します。元々、禅林寺は真言宗の寺院でしたが、永観は自らを「念仏宗永観」と名乗るほど弥陀の救いを信じ、念仏の教えに従い、たくさんの病人や貧しい人に救いの手を差し伸べました。そんな永観律師の人柄を慕う多くの人々が、いつの頃からか禅林寺のことを「永観堂」と呼ぶようになったといわれています。

鎌倉時代に住持となった静遍僧都(じょうへんそうず)も永観律師と同様に念仏の教えに深く帰依し、浄土宗の開祖・法然上人の弟子である証空上人(しょうくうしょうにん)を次の住職として招きました。のちに永観堂は、法然上人を宗祖に、証空上人を派祖にいただく、浄土宗西山禅林寺派の総本山としての歴史を今日まで歩んでいます。

古の都びとが愛した景観と国宝の「みかえり阿弥陀」は必見!

それでは「永観堂」でぜひ訪れたい場所をご紹介します。境内では東山を借景に、「阿弥陀堂」をはじめとする古建築が、緑と水に恵まれた庭に調和した景色を楽しみましょう。古来、都びとに愛された優美な景観のなかで、心安らぐ時間を過ごすことができます。

阿弥陀堂
阿弥陀堂

本堂の「阿弥陀堂」には、数多くの寺宝が祀られています。建物は慶長12年(1607)に大阪・四天王寺から移築されました。この移築に関わったのが、豊臣秀吉の息子である豊臣秀頼。秀吉は永観堂を支援したことで知られ、彼の肖像画が堂内の南側壁に掛けられていたという記録が残されています。

堂内の中央に祀られている本尊の阿弥陀如来像は、左後方を振り向いているその姿から「みかえり阿弥陀」として知られています。時は永保2年(1082)の2月15日早朝。永観律師は底冷えするお堂で念仏を唱えながら行道していました。すると、須弥壇に安置されていた阿弥陀仏が永観律師を先導し始めたのです。思わず息を呑む永観。すると阿弥陀仏がひと言「永観、遅し」。その姿を形に表したのが、こちらの阿弥陀如来像なのです。

首を左にかしげ、ほんの少し口を開きながら振り向く「みかえり阿弥陀」。「永観、遅し」と言ってはいますが、お顔全体は穏やかな微笑みを湛え、永観を励ましているように見えます。これほど具体的に阿弥陀如来の慈悲の姿が現されている仏像はあまり例がないそうです。永観堂を訪れたら、ぜひそのご尊顔を拝したいものです。

「永観堂」には古くから「七不思議」が伝えられていますが、開山堂へと向かう急勾配の階段状になった回廊「臥龍廊」もその一つ。山の斜面にそって巧みに木を組み合わせてつくられた廊下は起伏が激しく、まるで龍の胎内を歩くような不思議な気分を味わえます。ちなみに、この「臥龍廊」は1本の釘も使われていないというから驚きですね。

「臥龍廊」の近くにそびえる「三鈷(さんこ)の松」も、永観堂の七不思議に数えられている古木です。葉先が3つに分かれた珍しい松で、三鈷は「智慧」「慈悲」「真心」を表しているのだとか。この松の葉を持っていると3つの福が授かるといわれています。(松の葉は、境内にある売店で授かれます)

「永観堂」の麓から山道を登ること10分程の場所にあるのが「多宝塔」。上部は円形、下部は方形の二重塔で、五十塔のように屋根の上に伸びる心柱に九輪と水煙が付いているのは珍しいそう。ここから京都の街並みを一望できるので、ぜひ訪れたいです。

「もみじの永観堂」紅葉時期のみどころや空いている時間は?

画像提供:永観堂
画像提供:永観堂

京都随一の紅葉の名所「永観堂」。例年11月中旬~下旬にかけて見ごろを迎えます。境内には約3000本の紅葉が植わり、鮮やかな赤や黄色のグラデーションで訪れた人を出迎えてくれます。

画像提供:永観堂
画像提供:永観堂

「放生池」には紅葉が映え、その景観の美しさは言葉に表せないほど。色づく紅葉を眺めながら、ゆっくりと境内を散策したいものです。

画像提供:永観堂
画像提供:永観堂

「多宝塔」や「阿弥陀堂」などの古建築と紅葉が重なる景色もみどころです。紅葉が色づく頃から散り紅葉(ちりもみじ)の世界が広がる初冬の頃まで、「永観堂」はたくさんの人で賑わいます。

また藤原関雄が詠んだ歌にも登場する「岩垣紅葉」も、風情があって素敵ですよ。開門時間は行列に並ぶことが多いそうですが、境内に入れば比較的移動しやすいので、できるなら開門時間を目指して行きましょう。また昼食時の12時頃に訪れるのもおすすめですよ。

画像提供:永観堂
画像提供:永観堂

毎年紅葉の時期に行われる紅葉ライトアップでは、昼とは違った幻想的な景色に圧倒されます。特にライトアップが始まる夕方頃は混雑が予想されますが、19時以降であればまだ比較的人の流れも緩やかなのだとか。寒さに備えて暖かな服装で訪れましょう。

永観堂へのアクセスはバスまたは地下鉄で

JR京都駅から「永観堂」へ向かう場合は、市バス5系統「国際会館駅・岩倉」に乗車して、「南禅寺・永観堂道」で下車しましょう。徒歩約3分で「永観堂」に到着できます。京阪を利用する場合は、神宮丸太町駅から市バス204・93系統に乗って「東天王町」で下車、徒歩8分です。

また地下鉄の場合は、蹴上駅から徒歩15分のアクセス。途中、南禅寺界隈の別荘群が並ぶ静かな道をゆっくりと歩きながら「永観堂」に行くのもおすすめです。紅葉時期はバスの混雑が予想されるので、地下鉄を利用するとスムーズに参拝できるでしょう。

■永観堂(えいかんどう)
住所:京都市左京区永観堂町48
TEL:075-761-0007
拝観時間:9~17時(最終受付16時)
拝観料:大人600円(秋の寺宝展期間中は1000円)

京都へのおでかけに!
『るるぶ京都を歩こう '25』もチェック

最旬から定番まで厳選モデルコースを紹介!取り外せるバス&地下鉄乗りこなしガイドも便利です。


Photo:橋本正樹
Text:津曲克彦

●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

るるぶ公式Twitter るるぶ公式Facebook るるぶ公式LINE はてなブックマーク Pocket
記事トップに戻る

この記事に関連するタグ

編集部のおすすめ

ページトップへ戻る

検索したいキーワードを入力してください