【京都】祇園に立つ「八坂神社」は強力パワースポット。美と縁結びにご利益あり!?
京都・四条通の東の端に荘厳な朱塗りの門を構え、祇園のランドマークとして鎮座する八坂神社。「祇園さん」とも親しまれ、観光客はもとより、地元で商売をする人や芸舞妓さんも日常的に参拝に訪れます。祇園祭起源の神社としても有名ですが、実は意外なみどころやエピソードがたくさん。京都の寺社を代表する八坂神社を、より味わい深くお詣りするポイントを解説します!
Summary
八坂神社の歴史をご紹介
八坂神社は全国にある八坂神社や素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祭神とする約2300社の総本社ですが、その創祀は定かではありません。斉明天皇2年(656)に高麗(こうらい)からの使いである伊利之(いりし)が牛頭山に座した素戔鳴尊をお祀りしたといいう説と、貞観18年(876)に僧侶の円如(えんにょ)がお堂を建立し天神(祇園神)が降り立ったことに始まるという説の2通りがあります。
歴史の授業で習った記憶がある人も多いと思いますが、江戸時代まで神社と寺は密接な関係にあり、明治政府による神仏分離政策まで神道と仏教の両方の建物が同敷地内に共存していました。八坂神社もその一つで、明治元年(1868)までは「祇園社」、「祇園感神院(ぎおんかんしんいん)」の2通りでよばれていたそうです。
その名残を確認できるのが、西楼門から入ってすぐの場所にある手水舎。石がめに「感神院」と彫られているのが分かります。また境内にある石灯籠には「祇園社」の文字も刻まれています。
本殿の下には青龍が棲む池があった!?
八坂神社は国宝の本殿のほか、境内外29棟の建造物が重要文化財に指定されています。本殿は「祇園造(ぎおんづくり)」と称され、社殿建築としての面積は国内最大規模。「又庇(またびさし)」という建築様式が特徴で、大きな屋根の下から隣り合う部屋にも小さな庇が付いた八坂神社独自の構造です。
この造りは境内の摂末社にも見られ、他の神社にはない八坂神社ならではの景観を成しています。
また、東山の麓であるこの土地は古より青龍の棲む龍穴があるという言い伝えがあり、本殿の下には大きな池が掘られていました。現在は漆喰で固められていますが、ここは「気」が貯まる龍穴であり、開運のパワースポットであるとされています。それも念頭に置いて、しっかりお詣りしましょう。
実は四条通に面した大きな門は「正門」ではない!
皆さん、四条通に面した朱塗りの門が八坂神社の「正面入口」であると思っていませんでしたか?実はこの「西楼門」は正面ではなく、南側(清水寺方面)の「南楼門」が八坂神社の正門なのです。祇園祭などの祭礼時も、この南楼門から神輿が出発します。
西楼門にも面白いエピソードがあります。門自体は明応6年(1497)築で、境内最古の建造物とされています。四条通を見守るように建てられていますが、大正2年(1953)以前は今より西南側にありました。市電開通時に四条通の道幅が北に拡がったことにより、門も移築されたのだそうです。
対して南楼門は、慶応2年(1866)に火災で焼失し明治12年(1879)に再建された幅14m・高さ9mの建物。四条通にドーンと構える西楼門より小ぢんまりと感じられますが、西楼門は幅7.9mなので、南楼門の方がはるかに大きいんです。
女性必訪!「縁結び」と「美」の2つの神様
八坂神社が女性の参拝者に人気である理由の一つは、社務所の前にある「大国主社(おおくにぬししゃ)」が「縁結びの神様」とされること。島根県の出雲大社と同じ祭神である「大国主神(おおくにぬしのかみ)」を祀り、鳥居のすぐ右側に大国主神と白うさぎの石像も建っています。
境内にはハート形の絵馬がたくさん結ばれており、社前にも願い事が祈願された「願掛けうさぎ」がズラリと奉納されています。
これらは社務所で授与(500円)しており、願掛けうさぎは持ち帰ることもできるそうです。
本殿の北側に位置する「美御前社(うつくしごぜんしゃ)」は、芸舞妓さんなどの芸能関係をはじめ、美容や化粧品関係者からの崇敬を集める「美」の神様。
ご祭神が「多岐理毘売命(たぎりびめのみこと)」「多岐津比売命(たぎつひめのみこと)」「市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)」が容姿端麗で有名な宗像三女神であることから美容の神として崇められるようになりました。
社前に湧き出るご神水「美容水」を肌につけると身も心も綺麗になるという言い伝えがあるので、しっかりたっぷり染み込ませましょう!
祇園祭は、八坂神社に始まり八坂神社で結する
京都の夏の風物詩である祇園祭は、平安初期の貞観11(869)年に国内で疫病が流行した際、66本の矛を立てて神輿を神泉苑に送ることで疫神の祟りを祓うために始まりました。7月1日の「吉符入」にはじまり、鱧を奉納する「はも道中」、15日の「宵宮祭」、17日の「神輿渡御出発式」など主要な儀式は全て八坂神社で行われます。
祇園祭で三基の神輿が奉安される場所がこの「舞殿」です。普段は神楽舞の奉納や結婚式が行われる舞台で、周りの提灯は花街の置屋や料亭などから献灯されたもの。
他にも八坂神社の祭事・行事は、1月の「初能奉納」「かるた始め式」「祇園のえべっさん」、2月の「節分祭」、大晦日の「をけら詣り」などが代表的。どれも京都の歴史や文化を継承し、あらためて日本人の神様への信仰心を思い起こさせる神事です。ぜひ行事に合わせて参拝し、独特な建築美や歴史の深さにもふれてみてくださいね。
八坂神社へのアクセスは?
JR京都駅から八坂神社へは市バス100系統か206系統に乗車、「祇園」で下車すぐです。電車を利用する場合は、京阪祇園四条駅から徒歩約5分、阪急の場合は京都河原町駅から徒歩約8分のアクセスです。
■八坂神社(やさかじんじゃ)
住所:京都府京都市東山区祇園町北側625
TEL:075-561-6155
営業時間:境内自由(24時間参拝可)
アクセス:京阪祇園四条駅から徒歩8分またはバス停祇園すぐ
駐車場:なし
Photo:道海史佳
Text:猫田しげる
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