【長野県】「儘に(ままに)」でフレンチの技巧を尽くした常識を超える絶品おやきを味わう
長野県の伝統食といえばおやき。素朴な味わいに県外のファンも多くいます。そこに革命を起こしたのが「儘に(ままに)」。店主の白澤岳士さんは元はフランス料理などのシェフでした。その技が「儘に」のおやきには惜しみなく注がれているのです。そのこだわりをご紹介します!
フレンチレストラン元オーナーからおやき専門店に!
2021年に安曇野で開業した「儘に」が、2024年2月に大町へ移転。白澤さんの友人が経営するハードサイダー工場のタップルームを間借りして、週4日昼のみ営業しています。
おやきは、小麦粉・蕎麦粉などを水で溶き、練って伸ばした皮の中に、小豆や野沢菜、ナスなどの野菜で作った餡を包んで焼く、おやつにも食事にもなる長野のご当地フード。米作に向かない寒冷地の北信地方、また中信の安曇野地方が発祥といわれています。
「おやき」といっても、焼いたり蒸かしたり、揚げたりと調理法もさまざま。中に入れる具材も山菜やカボチャ、切干大根など多種多様で実に自由な料理。そこに目をつけたのが「儘に」店主の白澤岳士さん。
白澤さんは調理師学校を卒業し都内各所で修業した後、故郷の長野県・松川町でカジュアルフレンチの店を開業。自分の培った技量を「もっと気軽にお子さんからご年配にまで楽しんでもらおう」と模索した結果、おやきの専門店「儘に」を開くことを決めたのです。
白澤さん自身、おやきは子どもの頃から食べてはいましたが、さほど好きでもなく、当初はイタリアンの包みピザ、カルツォーネ風に作ってみてはどうだろうと考え、皮も初めはピザ用の小麦粉で試作したそう。しかし、「おやきは信州のソウルフード」との思いから地粉にこだわることにし、いろいろと試し、現在使用する粉に辿り着きました。
洋のエッセンスが主体となった具材も絶妙
粉だけでなく具材にもこだわり、フレンチやイタリアンで作る餡をどうおやきにアレンジするか試行錯誤。洋の要素が強いと、菓子パンや総菜パンのようになってしまい、おやきらしさも失せてしまうのだとか。
だから、味付けを思い切り洋に寄せているようでも、醤油や味噌など和のテイストを必ず加え、逆に和スイーツの王道・小豆を使用する際にはカシスリキュールを垂らし、皮にもほのかに香るようバターを加え洋のテイストが感じられるよう工夫を凝らしているそう。
どのおやきも具材がごろっとたっぷり入っていて、一つのおやきから得られる満足感が従来のおやきとはまるで違います。
食事として楽しめる、進化するおやきのロールモデル
「儘に」の調理法はおおむね2タイプ、焼きと揚げになります。焼きはフライパンでの調理後、オーブンで焼き上げ、皮の表面はサクッとして内側はもっちり。揚げは下焼きのあとに揚げているので、表がカリッとして中はさらにムチっとしています。どちらも、具材のおいしさを引き立てる調理法が光ります。
定番商品は6種。よく売れるのは看板の「味噌モッツァ」380円、ボリューミーな「テリヤキチキンとサワークリームオニオン」420円、そして、洋菓子のような「レモンアーモンドクリーム」400円。いずれも焼きおやきです。
お店に足を運ぶのが難しいという人は、オンラインショップでも購入可能なのでぜひチェックを。
白澤さんの自信作は、“里山に暮らす私たちのソウルフード”がコンセプトの期間限定の揚げおやき、「里山のめぐみ」。具材の中には、選び抜かれた地元の産直野菜がたっぷり。期間毎に材料が少しずつ変わりますが、取材時は松川産の夕顔に空芯菜、しめじ、ナス、トマトなどに加えてモッツアレラが入っていました。※10月取材時の情報です。
おやきだけでは物足りない! という人には、自家製のパテドカンパーニュなども用意。地元産素材を使ったノンアルコールカクテルなどを傾けつつ、店内のテーブルや屋外のテラス席で休日のカフェタイムを過ごすこともできます。
大町ののんびりした里山の光景とともに、ゆったりとおやきを味わってみてはいかがですか?
■儘に/mamani(ままに)
住所:長野県大町市平9316サノバスミス内
TEL:050-1720-0808
営業時間:11~16時(売り切れ次第終了)
定休日:火~木曜
アクセス:JR信濃木崎駅から620m
Text:鈴木 隆祐
Photo:松本 千尋
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