【兵庫・姫路】世界遺産「姫路城」白亜の名城の歴史とみどころを徹底解説!
世界中から観光客が訪れる姫路城(ひめじじょう)。天守群がまるで白鷺が羽ばたく姿のように見えたことから、白鷺城とも呼ばれます。日本の国宝であり、世界文化遺産でもある名城に残る数々の伝説や見どころを紹介していきます!
Summary
映画やドラマのロケ地としても知られる姫路城の場所は?
兵庫県姫路市のシンボルであり、映画やドラマのロケ地としても登場する姫路城。実は駅からのアクセス抜群な、観光にピッタリなお城でもあります。
スタート地点は、JR姫路駅。駅を降りると姫路城へ向かうメインストリート・大手前通りが広がります。お城までは徒歩約20分。真正面に望む天守閣を眺めながら、のんびり歩いてきましょう。通りにはご当地グルメなどが楽しめるショップもあり、お散歩にもぴったり。
駅からバスを利用するのも便利です。その場合は、姫路駅北口から神姫バスに乗り、「姫路城大手門前(西もしくは東方面)」で下車を。バスの乗車時間は5分程度なので、サッとアクセスできます。
入場ゲートを入って、まずは城内で最大の門である「菱の門」へ。歴史に思いをはせながら、じっくり見学していきましょう。
姫路城ってどんなお城? 見逃せないポイントをチェック
姫路城が現在の姿となったのは江戸時代のはじめ。当初は出城と呼ばれる小規模な城でしたが、天正9年(1581)に秀吉が3層の天守を築き、慶長14年(1609)に池田輝政が秀吉の天守を取り壊して、今に残る連立式天守を築き上げました。大天守をはじめとする5つの国宝がある姫路城は、17世紀初めの城郭建築の代表として高く評価され、平成5年(1993)に法隆寺とともに日本で初めての世界文化遺産となりました。
日本の城郭建築の傑作といわれる姫路城。外壁だけでなく屋根瓦の間まで白漆喰で塗り籠める白漆喰総塗籠造により、美しい白壁が広がることから、白鷺城の愛称で呼ばれることも。あまりに白く輝くため、第二次世界大戦では敵機の標的にされないように、黒い網がかけられたという歴史も残っています。
国の重要文化財に指定されている「はの門」へと続く長い坂道は、テレビドラマ『暴れん坊将軍』に登場したことから、“将軍坂”と呼ばれて親しまれています。坂の下から城を見上げると、まるで天守閣がすぐ近くだと錯覚するようになっており、敵を油断させる効果がありました。
西の丸には、播磨国姫路藩の初代藩主となった本多忠政の妻となった千姫が休息所とした「化粧櫓」、千姫に仕えた侍女たちがいた「西の丸長局(百間廊下)」があります。
実は空襲にも遭っていた「不戦・不焼の城」の波乱万丈な歴史
姫路城は一度も戦火に巻き込まれることがなかった「不戦・不焼の城」として知られています。しかし、その歴史は決して平坦な道ではありませんでした。
築城後はたびたび修理工事が行われ、江戸時代には大天守の軸部の補強修理だけでも19回あったとか。明治維新には、陸軍が兵舎や訓練場にするために城の周囲の建物を取り壊してしまい、天守閣など残された建物は保護されなかったことから荒れ果ててしまいます。この状況に声を上げたのが陸軍の大佐で、「陸軍の費用で一日も早く永久保存すべき」といった意見書を提出し、毎年補修費が出るようになりました。しかし支給額はわずかだったため、姫路城の腐朽は進んでいきました。これに危機感を持った姫路市民による熱心な保存運動を受けて、ついには国会が動き「明治の大修理」に繋がったのです。
第二次世界大戦時には、姫路市も空襲に遭いました。アメリカ軍が姫路城を市街地として認識しなかったために攻撃されなかったという説もありましたが、実際には三の丸西高台(千姫ぼたん園)にあった鷺城中学校が焼失し、西の丸にも焼夷弾が2発落とされています。
そして、実は大天守にも焼夷弾が落とされていたことがわかっています。ただこの弾は不発弾で、空襲の翌朝に無事処理されたため大天守が傷つくことはなく、今日の姫路城があるのです。
美しさだけじゃない! 実用性を兼ね備えた姫路城の戦対策
波乱の歴史を刻んできた姫路城。名城と呼ばれる理由は、美しさだけではありません。防御の拠点として様々な仕掛けを持ち、江戸時代には「西国の押さえ」として活躍しました。
調和のとれた美を誇る大天守は、地下1階と地上6階の7階建て。日本に現存する天守の中でも最大で、外から全体を眺めるのはもちろん、最上階からの景色も必見です。
天守閣の内部に目を向けると鉄砲や槍などを掛けておく武具掛けがあり、常に戦いに備えていたかつての内情が透けて見えます。
絶好の撮影スポットのひとつである「二の丸」は、門や櫓が多く配置され、敵の侵入を阻むことに優れていたという防御壁でもありました。敵が侵入してきたら狭い道や入り組んだところに追い込み、自分たちに有利な戦いに持ち込んでいたのです。
土塀に開けられた丸、三角、四角の穴。これは飾りなどではなく、矢や鉄砲を放つために開けられた狭間というものです。身を守りつつ、敵の死角から攻撃することを可能にしていました。城内に1000個近く残っている狭間は、姫路城が防御についても考えて築かれた軍事施設だったということを表しています。
あの有名な怪談「播州皿屋敷」も! 姫路城にまつわる数々の伝説もチェック
実は姫路城にはさまざまな伝説が残っています。今回は、その一部を抜粋してご紹介します。
「1枚、2枚、3枚…」井戸から響く、皿を数える物悲しい声…。「お菊井戸」は、有名な怪談「播州皿屋敷」に出てくる井戸だといわれています。
室町時代後期、城の乗っ取り阻止のためにお菊という女性が女中として送り込まれるも、あえなく失敗。何とか逃れた味方に情報を送り続けますが、敵側の家臣・町坪弾四郎にばれてしまいます。お菊に好意を寄せていた弾四郎は、見逃すことを条件に結婚を迫りますが、彼女は頷きませんでした。業を煮やした弾四郎は、お菊が預かっていた家宝の10枚の皿のうち1枚を隠し罪をなすり付け、切り殺した上、古井戸に投げ込んでしまいました。それから、夜中井戸に近づくと皿を数える女性の悲愴な声が聞こえるようになったのだとか。
天守閣の最上階には、宮本武蔵にゆかりのある刑部神社(おさかべじんじゃ)があります。
安土桃山時代、姫路で偽名を使い足軽奉行となっていた武蔵は、夜中に城に現れると噂される妖怪の退治を命じられ、天守閣を登っていきました。すると、すさまじい炎と轟音とともに足元が揺れ出しましたが、武蔵が腰の太刀に手をかけると、異変はたちまち収まりました。そんな現象を繰り返しながら武蔵は天守を登り詰め、無事明け方まで番を勤めると、刑部明神と名乗る美しい姫が現れます。姫は、妖怪は武蔵を恐れて立ち去ったと言い、お礼に名刀を置いて姿を消しました。
姫路城にまつわる伝説を知ってから見学すると、知らなかった魅力が見つかるかもしれません。
専用アプリを活用して楽しく学びながら散策しよう
昨今、あちこちの城で、AR(拡張現実)やVR(フルCG)を使って見どころを紹介するなど、便利なサービスが行われています。姫路城もそのひとつ。専用アプリ「姫路城大発見アプリ」を活用すれば、まるで博物館の展示を見ているような体験ができます。今はもう現存しない向屋敷・御殿の3D復元を見ることができたり、兵士が狭間から攻撃している動画を視聴できたりと、姫路城について深く、楽しく、学ぶことができます。
iOSとAndroidどちらにも対応しているので、ぜひ出発前にダウンロードを。スマホやタブレットを城内のARポイントにかざして、姫路城に詳しくなっちゃいましょう。
春は薄桃色の桜と真っ白な城壁のコントラストが美しく、夏は瑞々しい緑に恵まれ、秋は紅葉と季節によって姿を変えていく姫路城。ぜひ何度も訪れて、さまざまな魅力を発見してください。
■姫路城(ひめじじょう)
住所:兵庫県姫路市本町68
TEL:079-285-1146
料金:大人1000円(18歳以上)、小人300円(小学生・中学生・高校生)
営業時間:9~17時(最終入城受付16時)
定休日:12月29・30日
Text:白湯猫
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