石選びから夢中に! 伝統工芸の金継ぎ技術で作る「Makers’ Base」の天然石ピアスづくりワークショップ【ご褒美の新定番】
目黒区にある「Makers’ Base」は、創作意欲をかき立てるユニークなワークショップを開催する制作工房。今回ご紹介のワークショップは、カラフルな天然石を自分で選び、形もサイズも違う石を“金継ぎ”という技法でつなぐピアス作りです。それぞれに色や形、パワーの異なった天然石を丁寧に選び、繊細な作業に没頭して世界に一つだけのピアスを作る時間は、思い出に残る貴重な体験です。
本格的な機械や道具を揃えた貸し工房とユニークなワークショップ
東急東横線都立大学駅の近くにある「Makers’ Base」。ものづくりをしている人の間では以前から話題になっている場所で、6階建てのビル1棟がすべてものづくりのためのシェア工房になっています。シェア工房には、大型のレーザーカッターや溶接機器などプロ向けの機械や工具が揃う充実ぶり。会員に登録すると利用できます。
1階手前のスペースはアクセサリーや食器などが並ぶショップになっていて、気軽に足を運んでみやすい雰囲気です。お店に並んでいる商品についてはのちほどゆっくりご紹介しますね。
ワークショップの受付は、1階の奥にあるこちらのレセプションで行います。予約者の名前を伝えて、お支払いを済ませると、体験する工房の階数を案内してくれます。さっそく工房へ移動して、天然石ピアスづくりをはじめましょう。
つなぎ目の金が美しさのポイント! 金継ぎアクセサリー
ではいよいよワークショップの始まりです。今回体験するのは、「金継ぎしてつくる天然石ピアス」(5500円。所要2時間。要予約)。自然界で時間をかけて結晶化した美しい石を、日本の伝統工芸の一つ、金継ぎという技法でつなぎ合わせます。作る人の気持ちや願望を天然石に込めて、この世に一つしかない自分だけのアクセサリーを作ることができます。
講師はMakers’ Baseのスタッフ・吉田凪佐さん。服飾の学校に通っていた時にアクセサリーとバッグを制作していたそうで、Makers’ Baseに就職してアクセサリーづくりの体験講師として抜擢されたそうです。
まずは石選びからスタート。「ガーネット」や「アクアマリン」など12種類の天然石から好きな形や色の石を選びます。1つの石のなかで、比較的大きな石と小粒な石を分けてくれているので、石が選びやすいです。
とはいえ同じ石でもサイズだけでなく、形や色の濃さなどが全く違うので迷います! 純粋に色や形で選んでもいいし、それぞれの天然石には意味があるので、その意味を交えながら選ぶのもいいですね。
「丸い石同士はその間のくぼみを埋めて金粉を載せるので、埋める作業が多くなり、金の部分が大きくなります。初心者は、辺と辺がある石を選ぶと作りやすいです」と吉田さん。ほかにも、裏面にはピアスの土台をつけるので、透明な石を選ぶときはピアスの土台がくる位置も考慮する、などアドバイスを聞きながら25分間で石を選びます。
こうして選んだ石がこちらです! 色の濃い石×色の薄い石の組み合わせにして、4つとも違う天然石を選びました。左側から上の赤い石が「ガーネット(友情、勝利)」、白い石は「ホワイトムーンストーン(直感、柔和)」、右側は青い石が「ブルーアパタイト(健全、伝達)」、透明な石は「アクアマリン(勇敢、沈着)」です。
色や形を優先したので、意味の組み合わせまでは考慮することができなかったのですが、選んだ後にじっくり意味を見てみると、天然石からのメッセージのようにも感じられました。
次は石同士をつなぐ作業に入ります。使う材料や道具はこちら。左上の青と透明の液体は二剤式接着剤、右上の茶色の液体は工芸用漆、真ん中の丸い容器が金粉。それと、つまようじ、筆を使います。
二剤式の接着剤をよく混ぜて、
①石同士をくっつける
②裏面の隙間を接着剤で埋め、ピアスの金具を付ける
③表面の隙間を埋めて、表面を完成させる
の3つの工程を順に行っていきます。この二剤式の接着剤は5分ほどで固まるので、その間に作業をします。接着剤は薄い白色なので塗ったところがやや見えにくく、かなり細かい作業になるので集中して行いましょう!
③の表面の完成のさせ方ですが、例えば左のように隙間を埋めるだけにして凹んだ状態にするのと、右のように多めに接着剤を塗ってぷっくり仕上げるのとで、金の見え方が変わってくるので、仕上がりをイメージしてデザインしていきます。
隙間だけでなく、石の上にも金粉をのせたい場所があれば接着剤を付けておきます。逆に、接着剤が付いているところには金粉が付いてしまうので、余計なところに接着剤を付けてしまわないように注意しましょう。
接着剤の作業が終わった状態です。私は土台の石に小さい石を載せるデザインにしたので、つなぎ目の金の部分が見えるように小さい石の縁に盛り上がるように接着剤を塗ってみました。どんなふうに金粉がつくのかまだちょっとわかりにくいけど、金粉を載せるのが楽しみ!
続いて接着剤の上に漆を塗っていきます。本来、金継ぎでは接着剤ではなくこの漆を使うのですが、固まるまでに時間がかかるため、ワークショップでは金継ぎの仕上げ部分にのみ使います。ワークショップで使う漆は工芸用なのでかぶれる心配はありません。
漆は厚く塗ると、中まで乾くのに時間がかかりふれるとヨレるので、接着剤の上に薄く載せていきます。ここもかなり細かい作業ですが、漆は茶色でさらに金粉を少し混ぜているので、色があって塗った部分が分かりやすいです。
ここで5~10分ほど乾かします。
いよいよ仕上げです。筆の先に金粉をつけて漆の上にポンポンと載せてから、擦るように筆を滑らせると金色のラインが輝いてきました! 漆以外の部分についた粉を練り消しで丁寧に取って完成です。
こうして出来上がった私のピアスがこちらです。金継ぎのラインが入ると、大人っぽく豪華な印象ですよね! 天然石の不揃いな感じがいいアクセントになって、思った以上の仕上がりになりました。
作ったピアスと使った石を並べて記念に写真を撮ってもいいそうです。ひとりで参加しても、一緒に制作をしていくうちにほかの参加者の方とも自然に仲よくなれましたよ。
ピアスは台紙にはめて持ち帰ります。まだ漆が完全に乾いてないので、持ち帰るときはピアスを強く圧迫しないように気をつけましょう。
家に帰ったら袋から出して3日間陰干しすると完成です。完全に乾いているので、水洗いすると練り消しで取りきれなかった金粉が取れて、よりきれいに仕上がります。
独自のセンスで集められたおしゃれな雑貨にも注目
帰りがけに1階のショップをのぞいてみましょう。ショップには、ワークショップなどで作るものとはひと違う、「Makers’ Base」のオリジナル商品や、海外で買い付けた韓国のアクセサリー、パリのアンティークグッズなどが揃っています。
商品は1100円~5500円の手ごろな商品が中心。「Makers’ Base」のバイヤーが選んだ商品は生活やファッションのアクセントになるような素敵な商品ばかりです。
「Makers’ Base」では、今回紹介の「金継ぎしてつくる天然石ピアス」以外にも、「貝から取り出してつくる真珠のアクセサリー」(5500円。所要1時間30分。要予約)や陶芸体験の「マーブル柄のマグカップ」(5500円。所要2時間。要予約)など、芸大や美大を卒業したスタッフが講師として指導する専門性の高いワークショップがたくさん開催されています。比較的お手頃なので、定期的なご褒美にしていろんな手作りアイテムをコレクションしてみるのもいいですね。
■Makers’ Base(めーかーず べーす)
住所:東京都目黒区中根1-1-11
TEL:03-6421-1571
営業時間:10~19時(ワークショップの開催日時は公式HPで確認)
定休日:不定休
アクセス:東急東横線都立大学駅から徒歩3分
Text:山下あつこ(アトリエshiRo)
Photo:笹野忠和
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