デザートだけのコースは、まるで大人のラブストーリー
デザートだけで展開される夢のようなコース「アシェットデセール」。ひと皿ひと皿にストーリーがあり、まるで映画のように美しい世界が繰り広げられます。できたてのデザートをいただく甘美な体験。さぁ、「アシェットデセール未完」のある日のコースを体験してみましょう!
Summary
1皿目 日々の雑音を消し去ってくれる「ゆり根のスープ」
北海道産のゆり根を真っ白になるまで剥き、隠し味のハチミツと塩だけで素材の甘さを引き出したゆり根のスープ。スープのうえには、山椒を隠し味にしたシュトロイゼルがたっぷり。サクッとした舌ざわりと不意をつく甘み。おろしたての柚子の皮の香りが心をすっとほぐしてくれます。
2皿目 “未完”なイチゴのショートケーキ
続いてメインディッシュ。7種類のパーツで構成された苺のショートケーキは、まさに「未完」そのものです。鮮やかな苺は奈良県さんの「飛鳥ルビー」。ピスタチオといちごのメレンゲ、ミルクのジェラードに苺の生搾りエスプーマ…さまざまな味が口のなかで融合し、ショートケーキが完成します。自然の素材がもつ色、風味だけを生かした味は、舌に幸せな記憶を創ってくれます。
メインディッシュは常時3種類。季節や気候、入荷する果実により、その日の内容は変わるそうで、何度訪れても新しい楽しみがあります。
3皿目 ひと口の変調、塩味のスワン
甘いメインディッシュの次にくる3皿目は、変調。いっさいの砂糖を使いません。フランス伝統菓子、スワン型のシュークリームをひと口大にして再現。スワンのお腹には、アボカドとビーツのムースが詰まっています。口の中に広がっていた甘い世界が、このひと口で塩味にとって変わります。
4皿目 焼き菓子と生チョコの4重奏
最後は、3つの焼き菓子と生チョコレートの贅沢なひと皿。生チョコレートにはシャンパンが練りこまれ、甘さとともにシャンパンの香りが口中に広がります。
10分ほどで焼きあがるという生姜のマドレーヌは、焼きたてを提供。口に広がる生姜の刺激がたまりません。作りたての味を楽しめるのも、アシェットデセールの魅力です。お昼のメニューはコースのみ。全4皿で1800円です。(ワンドリンクオーダー制)
贈答にぴったりの木箱にはいったパウンドケーキのほか、テイクアウトできる焼き菓子がいろいろ。「お菓子作りに向かない天候なら作らない」「よい食材が入らなければ作らない」といったこだわりのもと作られる焼き菓子は、お店に足を運ばなければ手に入りません。ネットや他の場所では買えない、価値のあるおみやげです。
これからの未完—デセールのワインペアリング
オーナーシェフの大村さんが考える今後の展開は、いま4皿からなるコースを、6〜7皿に増やすこと。そして、ワインとのペアリングを紹介していくこと。
泡、白、赤にデザートワイン。季節の果実やお菓子に合うものをソムリエの指導のもと取り揃えて提供しはじめているところだそう。「未完」のまま進化し続けるデザートと、素敵なワインのマリアージュ。これからますます目が離せません!
text:小西尋子
photo:野村純子
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