
【福井県・越前市】越前打刃物の「柄」と漆芸の「蒔絵」の新たな出会い、ギャラリーショップ「柄と繪(えとえ)」
約700年の歴史を持つ越前打刃物発祥の地、福井県越前市。打刃物作りがさかんな二大産地のひとつ池ノ上地区には、和包丁の柄を作る「山謙木工所」のギャラリーショップ「柄と繪」があります。蒔絵工房を併設した店内では、和包丁の柄と蒔絵という二つの工芸にふれ、自分にぴったりの包丁を見つけたり、オリジナルの包丁をオーダーしたりすることができます。越前打刃物の産地で、お気に入りの包丁を探してみませんか。
Summary
福井県で唯一、和包丁の「柄」の専門工房「山謙木工所」
福井県が誇る7つの伝統工芸品のひとつ、越前打刃物。薄く美しい刃と鮮やかな切れ味が特徴で、越前打刃物の包丁は海外からも高く評価されています。その越前打刃物の工房が集まる越前市池ノ上地区にある「山謙木工所」は、和包丁の柄を製造する福井県で唯一の会社です。
和包丁の柄は、刃のハンドル部分を柄の中に差し込む構造をしています。「山謙木工所」の柄は、刃と柄に負担をかけずに真っ直ぐに取り付けられるのが特徴です。これは、柔らく加工しやすいホオノキの芯を固い木地の柄に差し込み、口輪で固定する独自の二重構造によるもの。使い心地の良さと品質の高さに定評があり、日本各地の刃物工房で用いられています。
「山謙木工所」直営のギャラリーショップ「柄と繪」
「山謙木工所」の敷地内には、自社のものづくりを発信する拠点となるギャラリーショップ「柄と繪」があります。ショップには越前打刃物の各工房が制作した刃に自社の柄を取り付けた品が豊富に並び、包丁選びを楽しむことができます。
商品は三徳包丁やペティナイフなど、家庭で使いやすい定番が中心。柄には丈夫で光沢が美しい紫檀(したん)や黒檀(こくたん)、温かみのある風合いのアメリカンチェリーなど、多彩な木材が使われています。店内では、柄を作る工程や木材のサンプルを見ながら、職人からいろいろな話を聞くことができます。木材の種類や柄の形によっても握り心地が違うので、ぜひ手に取って感触を確かめてみてください。
女性蒔絵師が生み出す新しい柄のかたち
「柄と繪」は、蒔絵の工房が併設されているのも特徴です。和包丁の柄を作る木工職人である社長の山本卓哉さんと蒔絵職人の由麻さんが出会い、人生と仕事の良きパートナーになったことで実現したもので、一つの工房で和包丁の柄の制作から蒔絵まで手がけるのは、非常に珍しいそう。ここでは、木目を生かした拭き漆や伝統的な蒔絵はもちろん、イラスト感覚で描くモダンなデザインの蒔絵まで、幅広いデザインを見ることができます。「蒔絵ってこんなに可愛いの?」と驚く人も多く、若い職人の感性やチャレンジ精神を体感する場にもなっています。
オリジナル蒔絵をオーダーして作る、世界に一つだけの和包丁
「柄と繪」では、展示されている商品の購入のほか、好みの刃と柄を組み合わせるセミオーダーも可能です。柄はオリジナルデザインの蒔絵のオーダーもできるので、職人と話しながらイメージをふくらませ、自分だけの包丁や特別な贈り物を作るのもオススメです。
和包丁は柄を交換して長く使い続けられるので、手持ちの和包丁の柄の取り換えや、絵付けの相談にも応じてくれます。製造とショップの運営を兼ねているので、オーダーを希望の場合は、事前に予約して来店しましょう。
マイ包丁作りに挑戦できるワークショップ
「柄と繪」では、ショップから徒歩圏内にある越前打刃物の工房「龍泉刃物」とコラボしたワークショップも定期的に開催。「龍前刃物」で包丁研ぎ、「柄と繪」で柄の拭き漆を体験し、包丁を作ることができます。職人から技を教わりながら自分でマイ包丁を作ってみたいという人にオススメです。
包丁の「柄」と漆芸の「蒔絵」、二つの工芸から生まれる越前打刃物の新たな魅力にふれられる「柄と繪」に足を運んでみてはいかがでしょう。
■柄と繪(えとえ)
住所:福井県越前市池ノ上町46-1-10
TEL:090-5686-1658
営業時間:平日13~17時(土曜は~16時)
定休日:日曜、不定休(HPまたはSNSの営業カレンダーを確認)
Text:佐藤公美恵
Photo:高橋良典
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