【福井県】三国湊レトロ街さんぽ!「三国提灯 いとや」で江戸時代から続く伝統の提灯作りにふれる

【福井県】三国湊レトロ街さんぽ!「三国提灯 いとや」で江戸時代から続く伝統の提灯作りにふれる

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北陸三大祭のひとつ「三国祭」に代表される、三国湊の祭り文化に欠かせない工芸品「三国提灯」。竹ひごと和紙を用いてひとつひとつ手作りされていて、提灯の図柄や文字も手作業で描かれています。三国提灯の伝統の技を守る提灯工房「三国提灯 いとや」では、工房の見学のほか、明治時代に建てられた蔵で提灯作り体験やカフェも楽しめます。風情ある三国湊の町並みを散歩しながら、伝統の提灯作りを見にきてみませんか。

Summary

三国湊の祭り文化を支える「三国提灯 いとや」

江戸時代に荒物雑貨屋として開業し、戦後から提灯店になりました
寛政3年(1791)の江戸時代に荒物雑貨屋として創業。戦後から提灯店を営むようになりました

江戸時代中期から明治時代にかけ、北前船の寄港地として栄えた三国湊。今も豪商の邸宅などの歴史的建造物が見られ、情緒あるレトロな街並みが残っています。毎年5月に三國神社で開催される「三国祭」では、勇壮な武者人形を乗せた山車(だし)が町を練り歩き、山車や家の軒先に町内会ごとに異なる提灯が吊るされ、祭りの夜に華を添えます。三国湊の祭り文化を支える提灯は「三国提灯」とよばれ、「三国提灯 いとや」が守り伝えています。

江戸時代と同じ技法を受け継ぐ伝統の提灯作り

昔ながらの技法で、寺社仏閣の提灯を中心に制作や修繕を行っています。作業風景の見学は自由
昔ながらの技法で、寺社仏閣の提灯を中心に制作や修繕を行っています。作業風景の見学は自由
提灯ごとに木型を作るため、店先にはたくさんの木型が置かれています
提灯ごとに木型を作るため、店先にはたくさんの木型が置かれています

「三国提灯 いとや」の提灯は、竹ひごと和紙を使い、江戸時代と同じ製法で手作りしているのが特徴です。まず、木型を組み立て、目とよばれる溝に沿って竹ひごをかけ、型にかけた竹ひごに糸を固定して骨組みを作ります。次に、骨組みにまんべんなく糊を塗り、表面に和紙を2度貼り付けた後、提灯から木型を外して自然乾燥させます。

提灯の内側に型紙を当て、写し取った下書きに沿って絵付けをしていきます
提灯の内側に型紙を当て、写し取った下書きに沿って絵付けをしていきます
電球を入れるのは、品質を追求した提灯店初代の正吉氏のこだわり。技法だけでなく、正吉氏が自作した道具類も大切に受け継がれています
電球を入れるのは、品質を追求した提灯店初代の正吉氏のこだわり。技法だけでなく、正吉氏が自作した道具類も大切に受け継がれています
店がある石畳の小路を歩くと、提灯を天日干しする風景に出会えることも
店がある石畳の小路を歩くと、提灯を天日干しする風景に出会えることも

提灯に描く図柄や文字は、型紙を作って写し取り、一つひとつ手描きしていきます。この際に提灯の内側に電球を点け、塗りムラがないか確かめながら丁寧に作業するのが「三国提灯 いとや」の絵付け方法です。屋外で使用する提灯には、防水効果を高めるために表面に油を塗り、最後に天日干しをして仕上げます。

女性職人が発信する三国提灯の新しい魅力

病院の調理師から提灯職人になった小島さん。父である2代目の畑峰雄さんに師事し、出産や育児と仕事を両立させながら腕を磨いてきました
病院の調理師から提灯職人になった小島さん。父である2代目の畑峰雄さんに師事し、出産や育児と仕事を両立させながら腕を磨いてきました

「三国提灯 いとや」の3代目である小島まりやさんは、「230年以上も続く『いとや』を途絶えさせたくない」という思いから、25歳で家業を継ぎ、夢中で提灯作りに打ち込んできたそう。「江戸時代と同じ形、同じ技法が受け継がれ、今も使われていることに日本の伝統の奥深さを感じます。提灯のある風景を通して、三国提灯の魅力を伝えていきたい」と語ります。

手作り提灯キット「湊灯」6050円。ハンドクラフトが好きな人へのギフトにも人気です
手作り提灯キット「湊灯」6050円。ハンドクラフトが好きな人へのギフトにも人気です
「恋みくに」の手ぬぐい各1760円。左下の猫と干しカレイ柄は店舗限定商品
「恋みくに」の手ぬぐい各1760円。左下の猫と干しカレイ柄は店舗限定商品
手ぬぐいと同じデザインで作った全6種類の越前和紙のレターセット各1430円
手ぬぐいと同じデザインで作った全6種類の越前和紙のレターセット各1430円

近年では、自宅で三国提灯作りが楽しめるキット「湊灯(みなとび)」、三国町の文化や風土をお洒落なデザインで表現した和雑貨ブランド「恋みくに」といった、おみやげ品の開発にも力を入れています。また、カフェなどのショップの目印として使えるデザイン提灯も積極的に手がけていて、今後は女性に向けた室内照明など、新しい分野にも挑戦していくそうです。

■三国提灯 いとや(みくにちょうちん いとや)
住所:福井県坂井市三国町南本町2-3-29
TEL:0776-81-3574
営業時間:9~20時
定休日:水曜

明治時代に建てられた蔵で提灯作りを体験

職人気分を味わいながら自分だけの提灯作りが楽しめます。所要時間は約2時間
「三国提灯づくり体験」では、職人気分を味わいながら自分だけの提灯作りが楽しめます。料金は1個4500円、所要時間は約2時間です
写真は絵付け体験用の提灯。オリジナルの絵柄で型紙作りからチャレンジできます
「提灯絵付け体験Pro」は1個3500円。オリジナルの絵柄で型紙作りからチャレンジできます。こちらも所要時間は約2時間です
スタンプやインクもたくさん揃っているので、絵心がなくても安心
スタンプやインクもたくさん揃っているので、絵心がなくても安心です

店のすぐ近くには、明治時代から続く蔵を利用した「三国提灯 いとや工房」があり、歴史を感じる空間で三国提灯作りの体験(要予約)ができます。コースは、骨組みを作り、絵付けした和紙を張る「三国提灯づくり体験」コース、和紙の型紙作りから職人と同じ方法で絵付けができる「提灯絵付け体験Pro」コースの2つ。福井の観光名所や草花をモチーフにしたオリジナルスタンプや切り絵用の色紙が用意されているので、絵を描くのが苦手な人でも簡単にお洒落な提灯を作れます。

■三国提灯 いとや工房(みくにちょうちん いとやこうぼう)
住所:福井県坂井市三国町北本町4-4-46蔵2階
TEL:0776-81-3574
営業時間:11~16時
定休日:水・土・日曜

土・日・月曜限定!蔵カフェで味わう手作りランチ

落ち着いた雰囲気の中でゆっくり食事が楽しめる店内
落ち着いた雰囲気の中でゆっくり食事が楽しめる店内
手作りの総菜が種類豊富に並ぶ、一番人気の「灯ランチ」1540円
手作りの総菜が種類豊富に並ぶ、一番人気の「灯ランチ」1540円

体験工房がある蔵の1階には、毎週土・日・月曜限定でオープンするカフェ「三国湊・食の蔵 灯(とう)」があります。三国町や福井県産の食材を取り入れた手作りの「灯ランチ」は、少しずついろいろな料理が味わえる看板メニュー。近隣のフレンチレストラン「S'amuser(さみゅぜ)」とコラボしたパンランチや濃厚なチーズたっぷりの焼きバターチキンカレーも人気です。

「三国提灯いとや」がある場所は、古い港町の風情が残り、石畳の小路に格子戸が連なる町家や歴史ある商家が並ぶ、散策にぴったりのエリアです。三国湊の歴史や文化を感じながら、三国提灯の魅力にふれてみませんか。

■三国湊・食の蔵 灯(みくにみなと・しょくのくら とう)
住所:福井県坂井市三国町北本町4-4-46蔵1階
TEL:0776-65-4083
営業時間:11~16時(ランチタイムは~14時)
定休日:火~金曜

Text:佐藤公美恵
Photo:高橋良典

●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。


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