
春の京都へおでかけ♪ 自然もグルメも大満喫できる「竹の里・乙訓」で行ってみたいとこ6選
春のおでかけシーズンが到来!京都には観光名所がたくさんありますが、定番の中心部からちょっと足をのばして、京都市の西隣の「竹の里・乙訓(おとくに)エリア」へおでかけするのはいかがでしょうか。これから見ごろを迎える桜はもちろん、まるでタイムスリップしたかのような風情ある竹林やご当地グルメまで、乙訓のみどころをたっぷりご紹介します!
Summary
春の京都観光にぴったり!「竹の里・乙訓」って?
歴史的な神社仏閣やグルメ、かわいいおみやげなど、京都府内はみどころがいっぱい。定番の京都市内だけでなく、日本海側には天橋立などの絶景を望める「海の京都」、日本の原風景が残る山あいの「森の京都」、宇治茶の産地でお茶の文化が息づく「お茶の京都」、そして京都府の南西にあるのが、今回ご紹介する「竹の里・乙訓」です。
竹の里・乙訓エリアへのアクセスは?
「竹の里・乙訓」があるエリアは、向日市(むこうし)と長岡京市、それに大山崎町(おおやまざきちょう)の2市1町からなっています。京都市に隣接するので、京都市内が生活圏。JR東海道本線と阪急京都線が通っているため、京都に行くにも大阪に行くにも便利な立地なのです。
◎JR東海道本線の最寄り駅---向日町駅、長岡京駅、山崎駅
◎阪急京都線の最寄り駅---東向日駅、西向日駅、長岡天神駅、西山天王山駅、大山崎駅
◎車の場合---名神高速道路大山崎ICまたは、京都縦貫自動車道長岡京ICから一般道へ
歴史と文化が息づく竹の里・乙訓エリア
784年に桓武天皇が平城京から遷都したのが竹の里・乙訓エリアの「長岡京」です。10年間にわたって都が置かれ、平安京に遷都された後も数々の歴史の舞台になりました。
三方を山に囲まれた京都盆地では、それぞれの山のふもとを東山、北山、西山地域とよんでいます。乙訓のある西山地域は竹林が多いのが特徴。鎌倉・室町・江戸時代に旅人が行き交った西国街道の町並みや、古墳、長岡京跡など、歴史ロマンを感じられる街でもあります。
豊かな自然と古都らしい風情を体感できる「竹の里・乙訓」で、春の京都を思いっきり満喫しましょう♪
自然もグルメも! みどころいっぱいの「竹の里・乙訓」で行ってみたいとこ6選
まるでタイムスリップしたみたい! 風情ある写真をパシャリ【竹の径】
竹の里・乙訓エリアのシンボルともいえるのが、向日丘陵にある「竹の径」です。竹林の間を通る約1.8kmの竹林道は風情たっぷり。「竹取物語」の舞台ともいわれる美しい竹林を撮影しながら歩いてみました。竹の径に入ると、竹の葉がさやさやとふれあう音や幹が揺れてぶつかりあう音、鳥の鳴き声といった自然の音がとても心地よく感じられます。
細い道の両側はさまざまな竹垣で竹林との境界が区切られています。竹垣は8種類あり、地元の寺戸町に由来する「寺戸垣」、寺戸大塚古墳の前にある「古墳垣」、竹の枝のボリュームを生かした「竹穂垣」、地元の深田川由来の「深田垣」。さらには中世の物集女城(もずめじょう)をイメージした「物集女垣」、海をイメージした「海道垣」、竹筒の長短で十二単衣を表した「かぐや垣」、地元のお寺にちなんだ「来迎寺垣」があります。
道の両サイドに、竹がそそり立つ景色は圧巻! 竹林の美しい風景や清々しい空気のなかを散策する竹林浴で、心身ともに癒やされました。
■竹の径
住所:京都府向日市寺戸町芝山~物集女町長野 他
TEL:070-1765-5398(向日市観光協会/平日8時30分~17時15分)
料金:無料
アクセス:
【電車】阪急洛西口駅から徒歩約15分、阪急東向日駅から徒歩約25分
【バス】洛西口駅前から京都市営バスまたはヤサカバスで約3分、バス停向日回生病院前下車すぐ。または、阪急東向日駅から阪急バスで約6分、バス停東山下車徒歩約7分
【車】隣接する京都市洛西竹林公園駐車場(20台/有料)
地元民にも人気! 竹の里・乙訓エリア随一のお花見スポット【向日神社】
「明神さん」とよばれて親しまれている向日神社の創建は養老2年(718)。明治神宮のモデルになったともいわれる本殿は、室町時代の建造物「三間社流造(さんげんしゃながれづくり)」で、国の重要文化財指定を受けています。ほかにも境内の建物13棟が国の登録有形文化財という由緒ある神社です。
桜の名所としても知られ、4月の開花期に合わせて開催される「桜祭り」では、祈願祭や生け花展、琴・太鼓の演奏などの催しが行われます。また、日が暮れるとかがり火に灯がともり、幻想的な夜桜が楽しめます。昼夜ともに多くの人が訪れて賑わいます。
■向日神社
住所:京都府向日市向日町北山65
TEL:075-921-0217(社務所/9~16時)
料金:無料
アクセス:阪急西向日駅から徒歩約10分
ご当地スーパーで旬のタケノコに舌鼓【神崎屋】
竹林の多い乙訓はタケノコの名産地。3月中旬から5月上旬頃までのお楽しみです。手入れされた竹林で育つタケノコは「白子筍」とよばれ、えぐみが少なく軟らかいのが特徴。なかでも「朝掘り筍」は、地表に出る前のタケノコを早朝に掘り出して、すぐに店頭に並べたもの。地元ならではの新鮮なタケノコを買って帰れるお店を訪ねました。
スーパーマーケット「神崎屋」は、大正時代に八百屋として開業した店で、地元の農家とのつながりもあって、新鮮で上質なタケノコが店の一角にずらりと並びます。大きさはさまざまなので、家族の人数や作りたい料理によって選びましょう。
手軽に食べたい人やおみやげに、加工品も買えます。アク抜きをしなくても食べられる「ゆがき筍」、「焼き筍」、さらには日持ちのする水煮缶や佃煮なども。竹籠に入った贈答品を地方発送で春の贈り物にするのもよさそうです。この日は帰ったらすぐに糠ととうがらしを入れた鍋で煮てアク抜きをし、若竹煮、タケノコのお吸い物、タケノコごはんで春の味覚を堪能しました。
■神崎屋
住所:京都府向日市寺戸町東ノ段4
TEL:075-935-3577
営業時間:10~18時
定休日:隔週水曜日
アクセス:阪急西向日駅から徒歩約11分
キリシマツツジに桜……春の花を楽しむならここ!【長岡天満宮】
長岡天満宮の創建は不明ですが、少なくとも500年以上前から地元の氏神様と信仰を集めていたと考えられます。現在の本殿・祝詞舎(のりとしゃ)・透塀(すかしべい)は、昭和16年(1941)に平安神宮の社殿を移築したもので、本殿は京都府有形文化財、祝詞舎・透塀・手水舎は長岡京市有形文化財に指定されています。敷地面積2万坪という、広大な天満宮です。
境内の「キリシマツツジ」が有名で、4月中旬から下旬頃に見頃を迎えます。樹齢約170年、樹高2.5mを超えるキリシマツツジが、中堤の両側約70mに咲き誇る景色は圧巻。キリシマツツジは長岡京市の天然記念物に指定されています。
正面大鳥居を入ってすぐ目に入る「八条が池」は、寛永15年(1638)、八条宮智忠親王によって築造された外周約1㎞の灌漑用の溜め池です。池の中央にある中堤が参道で、池の上の水上橋や六角舎が風情ある景色を作り出しています。3月下旬から4月上旬頃には、池の東堤のソメイヨシノが満開になり、桜のトンネルを歩きながら花見を楽しむ人たちで賑わいます。
■長岡天満宮
住所:京都府長岡京市天神2-15-13
TEL:075-951-1025(社務所/9~17時)
料金:無料
アクセス:JR長岡京駅西口から阪急バス1系統で4分、バス停長岡天満宮前下車すぐ。または、阪急長岡天神駅から徒歩約10分
江戸時代のお屋敷でちょっと休憩【おばんざいとお酒 なかの邸】
阪急長岡天神駅から大阪方面へひと駅、西山天王山駅から徒歩6分の場所にある「おばんざいとお酒 なかの邸」。旧西国街道沿いに建つ風格ある建物は江戸末期に建てられたもので、国の有形登録文化財に登録されています。当主だった中野種一郎は、酒造業を通じて伏見酒造業界の発展に尽力する一方、伏見市長などを経て衆議院議員になった人。現在は障がい者支援団体「一般社団法人暮らしランプ」が運営し、障がいのある人もスタッフとして働いています。
昭和時代に屋敷全体が改築された際には、町屋棟梁として有名な北村傳兵衛が関わり、額には小説家・吉川英治直筆の書が掲げられるなど、みどころもたくさん。美しい庭園に面した座敷のほかにテーブル席や個室もあります。ランチやカフェでゆっくりできるのはもちろん、ディナーでも京都を中心とした各地の地酒やクラフトビールとともに、手作りの料理をゆっくりと味わえます。
ランチに伺った日のメニューを紹介しましょう。自家製ローストビーフ、インカのめざめのマッシュポテト、おでんだしに一晩浸けたブロッコリー、おばんざい3種は酢の物、マヨネーズ和え、ゆずみそ大根。カツオだしの風味が香るお吸い物と茶碗蒸し。自家製ぬか漬けと本日の炊き込みごはん。どれも丁寧に作られて滋味あふれる味わいでした。
デザートの「宇治抹茶テリーヌ」は、上質な京都産の抹茶をふんだんに使って甘さ控えめ。コーヒーは、京都市内の「海ノ向こうコーヒー」が産地で直接選んだ生豆を仕入れて自家焙煎したもの。さらに欠損のある豆を手作業で取り除くため、雑味がなく、よりまろやかな味に。焙煎した豆の販売もあるので、おみやげにどうぞ。
■おばんざいとお酒 なかの邸
住所:京都府長岡京市調子1-6-35
TEL:075-959-2877
営業時間:11時30分~22時(ランチ・カフェ11時30分~15時、ディナー18~22時)※ランチ、ディナー共に要予約
定休日:日・月曜
アクセス:阪急西山天王山駅から徒歩約6分
庭園の景色は必見! レトロかわいい美術館【アサヒグループ大山崎山荘美術館】
最後にご紹介するのは、「アサヒグループ大山崎山荘美術館」。関西の実業家、加賀正太郎が大正から昭和初期に建てた山荘を修復し、建築家・安藤忠雄氏設計の『地中の宝石箱』を新築して平成8年(1996)に開館しました。印象派の巨匠であるクロード・モネの『睡蓮』や、民藝で知られるバーナード・リーチらの作品が展示されています。
ゆっくりと散策したいのが、約5500坪の広さを誇る庭園です。初夏には加賀氏が住んでいた頃から池に植えられている睡蓮に花が咲き、木々の緑とあいまって美しい景色を見せてくれます。澄んだ空気のなか、流れる水音や鳥の声を聞きながらの散歩を楽しめます。
加賀氏がこだわりぬいて建てた山荘は、晩年は家族との住まいでもありました。展示された美術品だけでなく、食堂やリビング、寝室などの意匠にも注目! どことなくぬくもりを感じるのは、住んでいた家族の思いが伝わってくるからかもしれません。
本館2階にある喫茶室では、クラシカルな雰囲気のなかで、コーヒーやアルコールを楽しむことができます。熟成したワインの風味が豊かな「ワインケーキ」550円のほかに、展示作品をイメージした期間限定オリジナルスイーツがあることも。チーズをつまみながら、ビールやワインを嗜むのも素敵です。テラス席からは、桂川・宇治川・木津川の3つの川に、対岸の男山といった雄大な景色が見え、春には桜堤、秋には山々の紅葉も楽しめます。
■アサヒグループ大山崎山荘美術館
住所:京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3
TEL:075-957-3123(総合案内)
開館時間:10~17時 ※入館は16時30分まで
休館日:月曜(祝日の場合は翌火曜)
入館料:一般は企画展ごとに異なる(公式サイト要確認)、高・大学生500円、中学生以下無料
アクセス:阪急大山崎駅、JR山崎駅から、それぞれ徒歩約10分
※阪急大山崎駅前~JR山崎駅前~美術館まで無料送迎バスが定期運行(高齢の方優先)
京都らしい風情を感じる自然や、歴史ある建物、クラシカルな雰囲気のカフェなど、魅力が盛りだくさんの竹の里・乙訓エリアは、知る人ぞ知る穴場です。何度訪れても、毎回新しい発見があるので目が離せません。みなさんもぜひ行ってみてくださいね♪
Text・Photo:松田きこ
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