【HIGH RAIL 1375】天空に一番近い列車で絶景を満喫

JR佐久平駅から列車に乗車

旅の始まりは長野県の東側に位置するJR小海線・佐久平（さくだいら）駅。ここから、観光列車「HIGH RAIL 1375」に乗車します。地方って行きづらいのでは……？という心配はご無用。小海線のなかで最も新しい駅であるJR佐久平駅は北陸新幹線の接続駅にもなっているため、東京からのアクセスも便利なんです。

「HIGH RAIL 1375」という列車の名前は、標高の高い小海線から見上げる「天空」「星空」を楽しんでほしいという想いから付けられたもの。この列車は日本一標高の高い地点を走ることから、“天空に一番近い列車”といわれているのだそう。どんな景色を楽しめるのか、ワクワクしながらさっそく車内へ！

車内に足を踏み入れると、広がるのは窓側を向いてずらりと並ぶゆとりある座席。進行方向を向いて右側が斜め向きのシングルシート、左側が窓に対して横向きに並んだペアシートとなっています。シングルシートも斜めの向きを変えられるので、おひとりさまだけではなくお二人でも顔を向き合わせて利用できます。

車内のインテリアにもこだわりが。車窓から望める星空や天空を思い起こさせるように、座席には四季の星々があしらわれています。窓枠は金属風の質感をベースにしたリベット調のものになっていたり、壁面はアート調の装飾を施した黒板風のものになっていたりと、随所に意匠を凝らしたデザインが見られます。

長野県小諸（こもろ）駅～山梨県の小淵沢（こぶちざわ）駅間を走る2両編成の列車。車窓からは雄大な八ヶ岳連峰や南アルプスの山並みを眺めることができます。移り変わる景色を堪能しながら、移動の時間も楽しめるのが素敵♪

今回のツアーでは、列車旅のお供にワインとチーズ、そして小海線の途中駅・中込（なかごみ）駅近くにある「Cake Boutique PETERS」のケーキを特別に用意いただきました。赤ワイン「葵 マスカット・ベーリーA 2022」と白ワイン「宝結 シャルドネ バレルセレクション2022」は、翌日訪れるワイナリー「八ヶ岳グランヴェールヴィンヤード」のもの。ワイン片手に外の景色を眺める、優雅なおとな旅の始まりです。

また、2号車の後方には、星に関連する書籍などを置いた「ギャラリーHIGH RAIL」が。合間に列車の中を探検するのも楽しみの一つです。1号車の先頭には、おみやげやドリンクを販売しているカウンターもありますよ。

JR線で一番標高が高い駅？！「野辺山駅」に停車

列車が進んでいくと、終盤にはJR線で最も高い場所にある駅といわれる「野辺山駅」にも停車。標高1345.67mの地点にあり、駅名看板の横には“JR線最高駅”を示す標柱も。停車時間は列車により少し異なりますが、10～20分ほど停車するのでぜひ降り立ってみて。

JR野辺山駅の駅舎内の天井にも注目です。一見何もない普通の天井に見えますが、フラッシュをたいて写真を撮ると……このように星座が浮かび上がるんです！　スマホで撮影可能なので、訪れた際はチェックしてみてください。

ふたたび列車に乗り込み、進むこと4駅。終点のJR小淵沢駅に到着です！

バスで5分
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【リゾナーレ八ヶ岳】気分は海外！ワインリゾートステイ

今回の宿は星野リゾートが手がける山梨県北杜市のリゾートホテル「リゾナーレ八ヶ岳」。標高約1000mの山麓に位置し、八ヶ岳の雄大な自然が360度にわたって広がります。小淵沢駅からは無料のシャトルバスに乗って約5分でアクセスできますよ。

ホテルの顔ともいえるのが、世界的な建築家、マリオ・ベリーニ氏が築いたヨーロッパのような街並み「ピーマン通り」。ピーマン通りの1階にはレストランやカフェ、雑貨店が並んでいて、滞在中に買い物などを楽しむことができます。

客室は、何とそんなピーマン通りの上層部にあるんです。てっきりピーマン通りとホテル客室は別のエリアにあると思っていた私はそれを知ってビックリ！　街とホテルが一体化しているようです。窓からはピーマン通りの街並みを眼下に眺めることができ、気分はまるで海外。

今回宿泊したお部屋は、ピーマン通り沿いのテラス付きルーム。室内はワインを想起させるボルドーカラーで統一されたおしゃれな空間で、壁には八ヶ岳の山々が描かれています。コルクをモチーフにしたスツールがあったり、オリジナルのワインタンブラーが備えられていたりして、まさに“ワインリゾート”を体感できるお部屋です。

部屋の奥には広々としたソファスペースとベッドスペースも。足を伸ばしてゆったりくつろげる広さなので、寝る直前まで語らいを楽しめそう。

訪れた日はあいにく雪が積もっていましたが、テラスデッキに出ることも可能です。部屋から、朝の気持ちよい空気や輝く夜空を眺めることもできますよ。

ホテルにはワインを楽しめるコンテンツがさまざまありますが、その一つがこちらの「八ヶ岳ワインハウス」。本を読みながらコーヒーを楽しめる「BOOKS&CAFE」に隣接しています。
ここには、山梨・長野の24種類のワインをテイスティングできるワインサーバーが用意されています。少量の25mlからテイスティング可能なので、飲み比べて好みのワインを探すことができます。ワインの特徴が書かれたハンドブックも用意されているので、ワイン初心者でも気軽に試せますよ。
なおこちらで購入したワインは、ホテル内のレストランに無料で持ち込みOKなんです！

■八ヶ岳ワインハウス（やつがたけわいんはうす）
営業時間：10～22時（21時30分LO）
料金：グラスワイン200円～

夕食と朝食は、ビュッフェ＆グリルレストラン「YYgrill（わいわいぐりる）」でいただきます。ブドウが描かれた壁画とブドウ棚をモチーフにしたデザインの内装で、ここでもワインリゾートの雰囲気を感じられます。

ずらりと並ぶ料理はどれも魅力的で目移りしてしまいますが、マリオ・ベリーニ氏がイタリアの山岳地帯をイメージして街並みを作ったこともあり、ワインに合うイタリア料理がおすすめだとか。前菜の「カプレーゼ」や「カポナータ」をはじめ、ローズマリーで和えた香り豊かな「トスカーナ風ポテトフライ」などがラインナップしています。
また、新鮮な高原野菜の「彩り野菜のインサラータ」もぜひ味わってほしいメニューです。野菜にかける「大葉ソース」がとてもおいしく、普段はなかなか食べない珍しい野菜をたっぷりいただくことができました。

ビュッフェとは別に、グリル料理のメインも提供されます。メインは「牛リブロースのグリル」と「真鯛のグリル」の2種類からチョイスが可能。それぞれ、シャリアピンソース、香草のオイル、ガーリックバターの3種のソースが付くので、味変をしながら楽しめます。熱々の鉄板で提供されるので、できたてをいただけるのもうれしいポイント。

翌朝のモーニングもビュッフェスタイル。ずらりと並ぶ種類豊富なパンもおいしそうで手を出したくなりますが、ここはぐっとこらえてこの地ならではの料理をピックアップ。

写真手前の「甲斐宝丼」は、お椀にご飯、錦糸卵、海鮮、薬味をのせて作る丼ぶり。海宝丼ではなくて“甲斐” 宝丼なんですね。味わってみると、サーモンのねっとり感と貝のコリコリした食感が特徴的。薬味でさわやかさもプラスされ、朝でも重くなくいただけます。そのほか、「鳥もつ煮丼」や私の大好きな信州の郷土料理「ほうとう」も。おかず系には「山賊揚げ」もラインナップしていました。
自分の好きな量を盛れるので、ちょっとずついろいろな料理を試せるのがいいですね。

■YYgrill（わいわいぐりる）
営業時間：夕食17～21時（最終入店17時45分）、朝食6時30分～10時（最終入店9時30分）
料金：【夕食】6200円、7～11歳4340円、4～6歳3100円、3歳以下無料
　　　【朝食】2800円、7～11歳1960円、4～6歳1400円、3歳以下無料
　　　※夕食は要予約、朝食は予約不要
TEL：0551-36-5200

朝からおいしい食事を堪能し、ホテルをチェックアウト。2日目は北杜市内のスポットを巡り観光を楽しみます。

■リゾナーレ八ヶ岳（りぞなーれやつがたけ）
住所：山梨県北杜市小淵沢町129-1
TEL：050-3134-8093（リゾナーレ予約センター）
チェックイン：15時～
チェックアウト：～12時
料金：「テラス付きルーム」2万5000円～（食事なし・プールあり、2名1室利用時の1名あたりの料金）

タクシー（車）で6分
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【中村キース・ヘリング美術館】作品から感じるメッセージ

まず訪れたのは、四季折々の美しい自然と豊かな文化が息づく小淵沢町のおすすめスポット、「中村キース・へリング美術館」。JR小淵沢駅からはタクシーで約8分、「リゾナーレ八ヶ岳」からはタクシーで約6分でアクセスできます。

建物は、国際的な建築家である北川原 温（きたがわら あつし）氏が設計したもの。傾斜した地形に沿って、「闇から希望へ」というテーマのもと、ヘリングのアートが放つメッセージを体感できるよう造られています。

キース・ヘリングは、1980年代のアメリカ美術を代表するアーティスト。そんなへリングの作品を紹介する美術館として、2007年に自然豊かなこの小淵沢の地に誕生しました。館長の中村和男さんが集めた約800点のヘリングの作品を公開し、ヘリングの遺志を受け継ぐ社会的活動にも取り組んでいます。

2025年5月18日（日）まで開催中の「Keith Haring: Into 2025 誰がそれをのぞむのか」は、反戦反核のメッセージを発信し続けたへリングが、ときにユーモラスに、ときに鋭く社会を描写し、その行く末を大衆に問いかけた姿を紹介する展覧会です。「闇へのスロープ」「闇への展示室」から始まり、“希望”“自由”がテーマの展示へと進んでいきます。へリングが時代ごとに感じた思いを知ることで、ひとつひとつの作品の見え方も変わってくるようです。

エントランス横にはミュージアムショップとオープンスペースも併設されています。せっかくならぜひおみやげも購入したい！

気軽に買えるグッズの一つは、1枚220円～で購入可能なポストカード。ヘリングらしいポップな色合いと力強いラインが特徴的です。パステルカラーのものやハートをモチーフにしたものなどさまざまなテイストのカードがあるので、自分にはもちろん、贈る相手に合わせて選んでもいいですね。

■中村キース・ヘリング美術館（なかむらきーす へりんぐびじゅつかん）
住所：山梨県北杜市小淵沢町10249-7
TEL：非公開
営業時間：9～17時（最終入館16時30分）
定休日：無休
料金：1500円、学生（16歳以上） 800円、小人（15歳以下）無料

タクシー（車）で6分
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【八ヶ岳グランヴェールヴィンヤード】絶景ワイナリーでテイスティング

山梨といったら外せないのがワイン。山梨県北杜市は、日本を代表するワイン産地の一つでもあるんです。
そこで続いて訪れたのは、北杜市に2024年オープンしたワイナリー「八ヶ岳グランヴェールヴィンヤード」。もともと山梨県内で醸造用のブドウを中心に栽培していた農業法人が、醸造工程を見学できるワイナリーとして立ち上げました。
実は私、2年ほど前からワインを勉強しよう！と思い興味を持ち始めたところだったので、今回のツアーでワインの魅力にふれられるのを楽しみにしていました。

新設された展望デッキからは、敷地内に広がる広大なブドウ畑と、その背後にそびえる八ヶ岳や富士山を一望できます。今度は冬ではない時期に訪れて、ブドウ畑の絶景をぜひ見てみたい……！

醸造所の見学では、瓶内二次発酵の様子や、ずらりと並んだワイン樽を間近に見ることができます。目の前にあるタンクや樽の中で、私たちが飲むワインが作られているのか……と感慨深い気持ちに。

醸造所の2階へ進むと、有料のテイスティングを楽しむことができるスペースも。グラス1杯から注文でき、3つのワインのセットも提供されています。

なかでも窓際のカウンター席は、ブドウ畑と八ヶ岳の絶景を見下ろしながらワインを楽しめる特等席です。

今回いただいたのは、写真左から白の「淡路結」、ロゼの「桜」、赤の「花菱」の3種のワイン。白はシャルドネ品種で、レモンのような香りを感じる、果実味のある酸味は控えめのワインです。ロゼはメルロー品種で、ラズベリーやクランベリーのような酸っぱい果実を思わせる酸味のある味わい。赤はカベルネ・ソーヴィニヨン&メルローを50％ずつブレンドして作られたワインで、奥深いタンニンと樽の香りを感じます。

テイスティングメニューの料金は種類によって変動しますが、グラスワインは1杯（50ml）600円～。白・ロゼ・赤ワインのセットは1800円、3種の赤ワインセットは2500円で提供されています。
ワイナリーの訪問は予約制。事前に公式サイトの予約フォームから予約をして訪れてくださいね。

■八ヶ岳グランヴェールヴィンヤード（やつがたけぐらんゔぇーるゔぃんやーど）
住所：山梨県北杜市小淵沢町1270
TEL：0551‐36‐6611
営業時間：10～16時（15時30分LO）
定休日：火・水曜
※ショップへの来店およびテイスティングの予約は、参加希望日の3日前まで

タクシー（車）で7分
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【Contrast Cafelys】森の中のレストランでフレンチに舌鼓

アートとワイナリー巡りを楽しんだら、ワイン×グルメを楽しめるランチスポットへ。訪れたのは、八ヶ岳南麓古杣川沿いにある森の中のフレンチレストラン＆カフェ「Contrast Cafelys（こんとらすと かふぇりす）」です。

店名の末尾にある“LYS”とはデンマーク語で“光”を意味するといいます。大きな窓から木漏れ日が差し込む、自然に囲まれた空間で優雅にフレンチをいただくことができます。

「Contrast Cafelys」では地元食材を中心に使ったフランス料理を提供しており、シンプルな盛り付けながら、食材の組み合わせに趣向を凝らした複雑な味わいを楽しめます。

コースはランチが5500円～、ディナーが7700円～。この日登場した前菜「ウイスキー白州の樽材でスモークした八ヶ岳湧水鱒のミキュイ」は、八ヶ岳の清らかな湧き水で育ったマスを使ったひと品です。上に盛られた焦がし芽キャベツはほろ苦く、サクッとした食感。そこに、なめらかなアボカドとプリっとしたマスが合わさることで、まろやかさと苦さの味わいのコントラスト、そして食感の違いを感じられます。食材の組み合わせにより生み出された絶妙な相乗効果に感動！

食べごたえのあるメインの「塩糀に漬けた信玄鶏の胸肉のポワレ」は、フォークでも身がほどけそうなほどしっとり軟らかな鶏むね肉に、少しパンチのあるカリフラワーのソースがよく絡みます。下に敷かれたタマネギとジャガイモのソテーも濃いめの味付けで、ワインが進みそうなひと皿。一見淡泊にも思える鶏むね肉ですが、マデラソースのナッツやキャラメルのような濃厚な味わいのおかげで、赤ワインにも合いそうです。

まるで森の中での食事を楽しんでいる気持ちになれる、自然に囲まれた「Contrast Cafelys」。食事とワインのペアリングを楽しんでみては。

■Contrast Cafelys（こんとらすと かふぇりす）
住所：山梨県北杜市⾧坂町大井ヶ森1113-4
TEL：070ｰ8538-1044
営業時間：カフェ10〜17時（16時LO）、ランチ12〜15時（13時15分LO）、ディナー18時〜21時30分（19時15分LO）
定休日：火・水曜

都会の喧騒を離れ、雄大な自然を感じながら北杜市の魅力を体感した今回の旅。観光列車にワインに上質な食事に……と、ちょっと特別なおとな旅にもぴったりです。
東京駅から小海線の乗車駅であるJR佐久平駅へは新幹線で1時間20分前後。週末のおでかけの候補に加えてみてもいいですね。

Text＆Photo：小野穂乃佳（おのほの）

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