
【おとなのソロ部】大阪・西田辺「COFFEE LONG SEASON」でマンツーマンのコーヒー教室。たった30分で普段のコーヒーが劇的においしくなる秘訣って?
大阪・西田辺は昔ながらの長屋や一軒家が残る静かな住宅街。どこか懐かしい下町のなかに「COFFEE LONG SEASON(こーひー ろんぐ しーずん)」はあります。60年続いた喫茶店の跡地にたたずむ居心地のいいコーヒーショップの店主からマンツーマンのコーヒー教室を受けられると聞いて、実際に体験してきました。
Summary
レトロで居心地のいい空間でスペシャルティコーヒーが味わえる店
大阪・西田辺といえば、下町情緒漂う街。住宅街のなかで60年以上続いた純喫茶を改装した「COFFEE LONG SEASON」はスペシャルティコーヒーが楽しめる店です。常時4、5種類揃う豆はシングルオリジンのみ。4種類は浅煎り、あとの1種類は深煎りで提供しています。コーヒー豆は自家焙煎。マシンを使わずハンドドリップで淹れるコーヒーは砂糖・ミルクもなしで、純粋にコーヒー豆の個性とうま味を引き出したコーヒー本来の味わいが楽しめます。
長い時を経た店だけがもつ、ゆったりと流れる時間。ぐるりと店内を見渡せば、大きな焙煎機と北欧の家具や民藝の絵画、つい手がのびてしまう絶妙なセレクトの本棚 。そこにアナログレコードの音楽が気持ちよく響き渡る、温かみのある空間が広がります。
コーヒーについての悩みをいっしょに解決してくれるコーヒー教室
「COFFEE LONG SEASON」の店主・沖田卓也(おきたたくや)さんは、大阪や福岡のスペシャルティコーヒー 専門店で経験を積んだのち、この店のたたずまいに魅了され、2021年に「COFFEE LONG SEASON」を開店。コーヒー豆の産地を訪ね、ハンドドリップ競技会にも出場したことがあるという沖田さんが、直々にコーヒーレッスンをしてくれます。マンツーマンはもちろん、2名まで受講可能。所要時間は約30分で、料金は1名2000円 です(レッスンに使用する豆2、3種類を含む。味わえる豆の種類は参加人数により異なる)。
レッスンのテーマを自由に設けられるのが、このコーヒー教室のいいところ。
例えば「コーヒーの淹れ方を知りたい」「アイスコーヒーを淹れたい」「手元にミルがあるけど挽き目がわからない」「いろいろなコーヒーを飲み比べてみたい」など、個々の悩みに寄り添ってくれます。
私の悩みは、自分で淹れるとコーヒーの味わいが味気なく、薄くなってしまうこと。実際に店で淹れてもらい、おいしいと思った豆を買ってきて淹れてみるのですが、店で飲んだときのようにうま味が感じられません。沖田さんに相談してみると「豆を計量していますか?」という答えが返ってきました。
1杯あたりに使うコーヒー豆はコーヒーメジャーで1すくいぐらいかな、と思いこんでいましたが、浅煎りと深煎りでは豆の持つ水分量が違うので、豆によって重さが異なるとのこと。
そして豆の挽き目。コーヒーの挽き具合は細引きだと味が濃くなる・苦くなる・雑味が出やすくなる、粗挽きだとすっきりする・雑味が出にくいという傾向があります。まずはレッスンで好みの味を探り、お店で挽いてもらうか、普段使っているミルを持参して、沖田さんに挽き目を相談するのがおすすめです。
今回は浅煎りのエチオピアの豆を15グラム使い、250mlのお湯を使って200mlのコーヒーを抽出する練習をしました。まずは豆を計量します。
沸騰したお湯を器に移し、90度ぐらいまで冷まします。自宅で淹れるときにはコーヒーカップにお湯を移してカップを温めてから、そのお湯を戻して使うといいですね。
サーバーにドリッパーをセットして、スケールの上にのせました。そう、注ぐお湯の量まできっちりと軽量するのです。
お湯を50ml、豆の上にお湯をのせるように入れてから50秒待ちます。豆を「蒸らす」のです。ここがとても大切な工程。コーヒー豆の成分をしっかり抽出するための準備です。
自分で淹れる時もかろうじて蒸らしてはいましたが、時間が充分でなかったことに気づきます。そして習ってみてわかりましたが、蒸らしのために注ぐお湯の量が少なすぎました。15gの豆に対し、50mlは意外とたっぷりの量。蒸らしに使うお湯が少ないと、豆全体にお湯が行き届かなくなり、蒸らし不足のまま抽出してしまうことになります。
蒸らしが終わったら100mlのお湯を真ん中から外へ向かって注ぎ入れます。お湯で豆をささっとさわるような感覚で。
さらに100mlお湯を注ぎ入れ、目盛り200mlの時点で抽出をストップします。
最後にスプーンで混ぜてコーヒーの濃さを均一にしたら出来上がり。豆の量に対し、コーヒーの抽出量を決めておくことも、最後に混ぜることも、自分で淹れるときにはしていませんでした。
コーヒー豆のもつ個性に気付き、産地を想像するような味わいに出合う
沖田さんがお手本で淹れてくれた浅煎りのエチオピアを飲んでみて、コーヒーらしからぬ味わいに驚きました。ブルーベリーやローゼルの果実や花のフレーバーに、スパイスのクローブのようなワイルドな味わいが感じられる人気の「ETHIOPIA Tabe Bruka Natural」 。
ただでさえ自分で淹れると薄くなりがちなので、浅煎りの豆は敬遠していたのですが、こんなにフルーティーでフローラルな香りを感じられる新たなおいしさに出合うと、自分でも浅煎りを淹れて飲んでみようかな、と思えます。
先ほど教えてもらった淹れ方を自分でも繰り返して実践します。
「お湯を真ん中から外に向かって円を描くように注いでください」と沖田さん。緊張も手伝って、お湯を注ぐ速度が早くなりがちなのを指摘され、なるべくゆったりと淹れるように心がけます。初回は蒸らしのお湯をかけるときに手元が安定せず、お湯が全体にかからなかったせいで蒸らしの工程が不充分となり、少し薄くなってしまいました。
実際に淹れているところを見てもらえるので、うまくいかなかった原因もすぐに指摘してもらえるのがマンツーマンのいいところ。まず蒸らしでコーヒー豆にしっかりとお湯を吸わせてしばらく待ち、次に湯を注ぐことでそのうま味を外へと押し出すイメージで2回目はとてもおいしく淹れることができました。
開催の日時もフレキシブルに相談できるので、参加しやすいです。ただし営業しながらのレッスンとなりますので、お客さんが来られた時は対応されます。
レッスン後にはコーヒーと焼きたてのチーズケーキを味わって
コーヒー教室が終わり、ホッとひと息。沖田さんが淹れてくれた深煎りのケニアといっしょに焼きたてのチーズケーキをいただきます。チーズケーキはクリームチーズと生クリーム、卵、砂糖だけを使って焼き上げた濃厚な味わい。しっとりとした口あたりで飽きのこないシンプルなおいしさに食べる手が止まりません。
マンツーマンで淹れ方をしっかり見てもらえてとてもよかったのですが、2人で参加すると味わえる豆の種類も多くなり、同じ豆でも淹れる人によって味わいが異なることが体験できるとのこと。2回目は2人で参加して、浅煎りのコーヒーの種類を飲み比べてみたいな、と思いました。
大阪の下町・西田辺にたたずむ小さなコーヒーショップで出合った、果実味のある軽やかでコーヒーらしからぬはじめての味。この豆は一体どんな場所で育てられているのだろう、とまだ見ぬ生産地に想いを馳せるひとときが過ごせます。それは一杯のコーヒーを通じて旅をするようなすてきな体験でした。ぜひ実際に足を運んでみてくださいね。
■COFFEE LONG SEASON(こーひー ろんぐ しーずん)
住所:大阪府大阪市阿倍野区播磨町1-8-19
TEL:06-6606-8366
営業時間:110〜19時
料金:コーヒー教室1名2000円(所要時間30分)
定休日:火曜
アクセス:OsakaMetro御堂筋線西田辺駅から徒歩11分
■おすすめの利用シーン:おいしいコーヒーを淹れたいとき、コーヒーの悩みを解決したいとき、飲んだことのないコーヒーに出合いたいとき
Text:鴨 一歌
Photo:沖本 明
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