食べられるのは5月末まで。京都の名パティスリーの傑作スイーツ
2001年に京都でオープンし、フランス菓子を通じて、関西のスイーツ界に新しい風を吹き込んだパティスリー「オ・グルニエ・ドール」。オーナーパティシエの西原金蔵さんは、なんとオープン当初から「65歳で店を閉めます!」と宣言していました。そのクローズの時期は、2018年5月31日。もうカウントダウンの域に入っています。惜しまれつつも終焉を迎える「オ・グルニエ・ドール」。いま行かないと後悔しますよ…!
日本のお菓子業界の重鎮・西原金蔵シェフ
京都の台所「錦市場」にほど近い場所に店を構える「オ・グルニエ・ドール」。開業時から全国のスイーツラバーが訪れ、日々満席の人気店です。
「オ・グルニエドール」のショーケースには、旬のフルーツを使ったタルト類が豊富に並んでいます。取材時には、りんごのタルトやミルフィーユ、日向夏のタルトなどがずらり。
「旬の果物は、市場にも豊富に出回る時期がいちばんおいしく、価格も安いんです。たくさんあれば状態の良いものを選べ、おいしい菓子作りができるんです。」と西原金蔵シェフ。シェフのお菓子、素材へのアプローチは、20代の頃の師匠であり世界に名を馳せた料理人、故アラン・シャペル氏の影響が大きいといいます。
料理人のアプローチと菓子職人の技の融合で作られたお菓子は、フルーツの完熟度に合わせて、砂糖の量や火の入れ方などの加減を工夫。ルセット(レシピ)を忠実に再現することが基本とされるお菓子作りの世界で、“ルセットを超える”ことで、日本の洋菓子業界に新風を吹かせました
閉店までに食べておきたい、とっておきのスイーツ
閉店まであとわずかの「オ・グルニエドール」で、どうしても食べてほしいお菓子をご紹介します。
絶対にはずせないのが、シェフがパリのルーブル美術館を見学し、インスパイアされた「ピラミッド」。クラシカルな街に生まれた現代的なオブジェに衝撃と感動を覚えたのだとか。
驚くほど薄いチョコレートの中に、4種のクーベルチュール・チョコレートの濃厚なムースが。生地にのせた細かいピスタチオが隠し味。
直径30cmの薄い生地にリンゴを並べ、1時間じっくり焼いた「タルト・オ・ポム」は、5月上旬までの限定商品。
砂糖を使わないパイ生地に、リンゴと砂糖、バター、そしてほんの少しの生クリーム。琥珀色になるまで焼きあげた絶品パイです。
クリームチーズを使用した濃厚なクリームブリュレとフランボワーズソースの酸味がたまらない、「プティポ オ フロマージュ」。蓋のように置かれたホワイトチョコレートと黒胡椒の刺激がアクセント。
容器は手のひらに馴染む形で、洗いやすさなども考えて作られているので、食べ終わった後も活用したいですね。
金蔵シェフのDNAは、今後2人のパティシエに…
5月末で閉店してしまう「オ・グルニエドール」ですが、西原金蔵シェフのスピリットを受け継いだパティシエ2人が、それぞれの道へ進む準備を始めています。
シェフの息子・裕勝さんは、今年9月、自身のお店「N'importe quoi(ナンポルトクワ)」を開業予定。自由な発想でオリジナリティあるお菓子を提供予定です。シェフの右腕として12年間勤続していた加藤雅也さんは、クラシックをベースに自分らしさ組み込んだお菓子のお店を今秋京都に構える予定です。
シェフのDNAを汲んだ2人のパティシエのお菓子も、とっても楽しみですね!
Photo: 野本幸子
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