
【京都】祇園の真ん中なのに穴場⁈ “石の老舗”にある秘密の喫茶店「ぎおん石喫茶室」で唯一無二の空間を楽しむ
八坂神社の西楼門からまっすぐ続く四条通に50年以上昔からある、鉱物と化石の老舗「ぎおん石」。レトロ建築ブームの今、その2階にある喫茶室「ぎおん石喫茶室(ぎおんいしきっさしつ)」にも密かに注目が集まっています。他の何とも似ていない独創的な建築デザイン、時が止まったかのような空間の静けさにやさしく包まれます。
知る人ぞ知る、八坂神社西楼門から徒歩1分の名建築カフェ
八坂神社のお膝元にある石の専門店「ぎおん石」は、八坂神社へ行くときに乗り降りする祇園のバス停の前にあります。京都に生まれ育って半世紀の筆者にとっては、バスを待つ間にキラキラとした石のディスプレイを眺めつつ、幼心をときめかせた思い出深い場所。でも、その2階に喫茶室があることを知ったのはつい最近なのです。
水晶やアメジストなどの美しい鉱物が並び、その輝きに目を奪われるあまり、喫茶室の存在に気づかない人が多いのかもしれません。観光地のど真ん中にありながら、京都の人ですら見落とすほどの、静かな穴場です。
独創的なビルは京都の建築家・三澤博章の設計によるもの。「船」をモチーフにデザインされた、鉄筋コンクリート4階建て。昭和44年(1969)の建築です。当時(1960年から70年代)は装飾を不要とし、合理性や機能性を重視した建築デザインが主流。そんななか施主の「ぎおん石」オーナーから求められたのは「もっと“手”を、巧みな手を」入れることだったそうです。
喫茶室に行くには、1階の店舗奥のエレベーターか階段を使います。
建築好きの方はぜひ階段を利用してみて。吹き抜けを囲む壁には当時の職人さんが手作業で掘り出した紋様、明かり取りの丸窓の縁を装飾する陶器など、細部にまで手を抜かないこだわりが見られます。
重厚な内装と静けさが織りなす喫茶室でのぜいたくなひととき
きらびやかな1階の雰囲気から一転、2階の喫茶室は仄暗く静かな空間。巧みに配された間接照明が、重厚な内装を浮かび上がらせます。
とくに特徴的なのは店内奥の天井。時を経て飴色に変わった無垢板が、壁から天井にかけて弧を描くように覆い、天井の板には“なぐり”(木の表目に凹凸をつける加工)が施されています。
座り心地がよくて、ついつい長居してしまうソファは、フレーム部分をステンレスで覆ったユニークなデザイン。京都にある老舗家具店の特注品で、表面の布地を張り替えながら大事に使われています。
生レモンの鮮烈なすっぱさが際立つ「レモンゼリー」
さて、この「ぎおん石喫茶室」で人気No.1のメニューは「レモンゼリー」。1個を作るのに、なんと生レモン約1.5~2個分を絞った果汁を使用しているそう。スプーンですくって口に運べば、生レモンならではの鮮烈な酸味が口の中いっぱいに広がります。レモンのシャープな酸味を乳脂肪分38%のクリームがやさしく包み込む、上品なデザートです。
コクがあってすっきりとした後味の「石焼アイスコーヒー」をはじめ、エスプレッソ、紅茶などとのドリンクセットもあります。時の流れが止まったかのような「ぎおん石喫茶室」で静けさに身をゆだねるぜいたくを味わって。
■ぎおん石喫茶室(ぎおんいしきっさしつ)
住所:京都府京都市東山区祇園町南側555 2F
TEL:075-561-2458
営業時間:11時30分~19時(18時30分LO)
定休日:水曜、隔週木曜
アクセス:阪急京都本線・京都河原町駅から徒歩約8分、京阪本線・祇園四条駅から徒歩約5分
Photo:藤井 亮太
Text:京都ライター事務所 小西尋子
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