
【おとなのソロ部】居心地のよいひとり時間。学芸大学「Hummingbird coffee」で香り高いコーヒーとともに穏やかに過ごす
学芸大学の住宅街にひっそりとたたずむ「Hummingbird coffee(はみんぐばーどこーひー)」は、穏やかに過ごせる空間をコンセプトにしたカフェ。そのための決まりごともありそれに賛同する人のみが入店するため、穏やかにひとり時間を過ごせます。古いアパートの一角を改装したというレトロな雰囲気も心地いいですよ。
注目のエリア「学芸大学」の古いアパートを改装した小さなカフェ
東急東横線学芸大学駅から歩いて4分ほど。「Hummingbird coffee」は、駅前の喧騒から少し離れた静かな住宅街にあります。目印はグレーに塗られたドア。気を付けないと思わず通り過ぎてしまうほど、周りの風景にすんなりとなじんでいます。
扉を開ける前からすでに、静かにひとり時間を過ごせそうな落ち着いた雰囲気。入り口には、大声での会話を控えること、PCでの作業を控えること、過度な写真撮影を控えることなど、心地よく過ごせるための決まりごとが書かれた紙が貼り出されています。
入店すると、店主の吉村健(よしむらたけし)さんから過ごし方を教えてもらえます。決まりごとと聞くと「逆に入りづらいのでは……」と思ってしまいますが、ご安心を。「本当は自由に過ごしてほしいんですけどね」と語る吉村さんは、とても穏やかな雰囲気の方。決まりごとを設けたのは「静かな空間でゆっくりと過ごしてほしい」という思いからだそうです。
入り口のドアを開けると、どこか懐かしい温かみのある雰囲気。古いアパートの一角を改装した建物で、古きよき部分を残しつつリノベーションしたそうです。コンパクトな空間に、席数は13席あります。
小上がりになっているスペースには、テーブル席もあります。取材時はアートの展示がされていましたが常ではなく、吉村さんが愛情を持てるアートに出合えたときのみ、不定期で展示されるそうです。
入り口を入ると左側がキッチンとなっていて、キッチンと向かい合わせになるようにカウンター席が並びます。
おひとりさまに人気なのは店内奥の窓際にある、ひとり用の机と椅子の席だそう。学校の机のようで、なんだか懐かしいですよね。自然光を気持ちよく受けながらひとり読書に没頭というのもよさそう。
穏やかにひとり時間に没頭。香り高いコーヒーを味わいながら
注文する前に、店内での過ごし方について一読します。「Hummingbird coffee」はオープンして8年が経ちますが、いろいろなお客さんが集うカフェという特性上、ときには静かに過ごすことができないシーンもあったそう。そのたびに決まりごとを更新してきたといいます。これも、「日常の喧騒から離れ、ゆったりとしたひとときを過ごしてほしい」という吉村さんの思いから。
「Hummingbird coffee」を訪れたら、ぜひオーダーしたいのがコーヒー。吉村さんが信頼するロースターによって焙煎されたものがセレクトされています。日替わりの自家製ケーキは、お店での手作り。ぜひこちらも一緒に頼んでみましょう。ビールやウイスキーなどのアルコールもあり、金・土曜限定で夜営業も行っています。
コーヒーをオーダーすると、吉村さんが丁寧に入れてくれます。それをぼうっと眺めるのもいい時間。今回注文したのは、「オ・レ・グラッセ」880円。「オ・レ・グラッセ」とは、コーヒーと甘いミルクが2層になったドリンクで、フランス語で「アイスカフェオレ」を意味します。
ミルクとコーヒーが、きれいな2層になって注がれます。同じ液体なのに、混ざらないのが不思議。吉村さんに聞いてみると、ミルクよりコーヒーのほうが軽いことを利用しているそう。とはいえ両方が適切に冷えていないと混ざってしまい、こうもくっきりと2層にはならないのだとか。注ぎ方にもコツがあるのだそうです。
ワイングラスに入れられた「オ・レ・グラッセ」は美しく、混ぜてしまうのがもったいないぐらい! 始めはかき混ぜずに味わってみます。ほろ苦いコーヒーに、ほんのりミルクの味が混ざって口のなかに広がります。
手作りスイーツも一緒にオーダー。「Hummingbird coffee」では、ぬいぐるみやアクスタ、コスメを並べて何枚もパシャパシャ撮影することは控えるようにと説明があります。もちろん、手元を少し撮影するのはOK。節度ある撮影を心がけましょう。
ホワイトチョコの程よい甘さのなかに、クリームチーズの酸味がぎゅっと凝縮された「ホワイトチョコのチーズケーキ」。苦いコーヒーと少しずつ食べ進めるのが、至福のときです。口に入れるとすっと溶ける、なめらかな食感も楽しみながらいただきます。
コーヒーにミルクを少しずつ混ぜ合わせながら、「オ・レ・グラッセ」の味の変化を楽しみます。ワイングラスでコーヒーを飲むのは、なんだかぜいたくな気分にさせてくれるもの。家でもぜひ試してみたい!
コーヒーを飲みながらスマホをスクロール……もいいけれど、せっかく雰囲気のあるカフェを訪れたのなら、その唯一無二の時間を大切にしたいもの。お気に入りの本のお気に入りのページを、パラパラとめくるのも楽しいひとときです。何かものを書いて過ごす人も多いとか。普段はメールやメッセージアプリで済ませてしまうことを、あえて手紙にして書いてみるのもいいかも。あまりしなくなった「書く」ことをするにも、ぴったりの空間です。
コーヒーは、チョコレートの原料であるカカオにも通じる香味のある「Hummingbird coffee」自慢のブレンド「ブレンド ショコラ」660円、コクのある深煎りの「ブラジル」660円、果実のようにジューシーな「エチオピア」660円など、さまざまな種類があります。好きな味わいなどを吉村さんに相談して、おまかせで入れてもらうのもいいですね。
流れる音楽にも耳を傾けながら空間と時間をゆっくりと楽しむ
「Hummingbird coffee」をオープンさせる前は、音楽関係の仕事をしていたという吉村さん。店内で流す音楽にはこだわっています。コンピレーションアルバム制作に携わっていたというだけあり、そのセレクトはセンス抜群。ジャンルはそのときの雰囲気や空間の温度感に合わせるそうで、取材時も浮遊感のある心地よい音楽がレコードから流れていました。吉村さんが「今日は無音でもいいな」と思った場合は、BGMがない日もあるそうです。
「Hummingbird coffee」で過ごす時間に合う本もセレクトされています。のぞいてみたら、新しい本との出合いを楽しめるかもしれません。
古いアパートを改装したという「Hummingbird coffee」の店内をより温かい雰囲気に形作るのは、店内のあちこちに置かれているアンティークの雑貨たち。古道具が好きだという吉村さんが全国各地を訪れて少しずつ集めたものが飾られています。それぞれ個性がありますが不思議と統一感があるのは、すべて吉村さんが本当によいと思ったものだけを選んでいるから。
コーヒーの一部メニューは、テイクアウトすることも可能(今回注文した「オ・レ・グラッセ」はテイクアウト不可)。コーヒーの味が気に入ったら、実際にお店で使っている豆を買って帰ることもできます。お気に入りのコーヒーとの出合いを求めて、訪れるのもよいかもしれませんね。
次の休日は、学芸大学へひとりぶらり、ひとりで静かに過ごす時間を大切に考えられている「Hummingbird coffee」で、ほっとひと息。充実のひとり時間を過ごすことができる、とっておきの場所をまたひとつ見つけました。
■Hummingbird coffee(はみんぐばーどこーひー)
住所:東京都目黒区鷹番2-15-22
TEL:03-6451-0455
営業時間:13~18時 ※土・日・祝は12~18時、金・土曜のみ夜営業20~24時(詳細はSNSの営業カレンダーを参照)
定休日:木曜
■おすすめの利用シーン:カフェでの特別なひとり時間を過ごしたいとき、コーヒーの風味をじっくり味わいたいとき、いい音楽が流れる空間に身を置きたいとき
Text:松崎愛香
Photo:斉藤純平
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