【東京建築祭2025】大盛況で終了! 特別公開の名建築を見学レポート

【東京建築祭2025】大盛況で終了! 特別公開の名建築を見学レポート

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東京の名建築と街を楽しむための建築の祭典「東京建築祭2025」が、2025年5月17日~25日にかけて都内各地で開催されました。今年2回目の開催となる本イベントは、公開される建物やイベント数が増えて規模を拡大。参加者はなんとのべ11万人超えとなりました! 大いに盛り上がった東京建築祭2025についてレポートします。

Summary

「東京建築祭」とは、東京における最大規模の建築イベント。歴史的な近代の遺産、戦後に生まれたビル、先鋭的な現代建築など、数々の貴重な建物や非公開エリアが特別公開されます。

今年は2回目の開催で、無料で自由見学ができる特別公開・特別展示される建物には、多くの人々が参加。今年の参加者は速報値でのべ11万人超え! “建築愛”ある来場者が集まりました。
今回は、普段公開されない部分を特別に見学ができる「特別公開」へ。間近で体験した現地の熱量と、貴重な建物の魅力をお届けします。

マッカーサーも通った昭和初の重要文化財建築/明治生命館

明治生命館の外観
明治生命館の外観

1997年に昭和期の建築として初めて、国の重要文化財に指定された「明治生命館」は、岡田信一郎が設計した昭和9年(1934)築の建物。
コリント様式の柱やアカンサス模様の装飾などが印象的で、丸の内に立ち並ぶオフィスビル群のなかでも圧倒的な存在感です。

明治生命館は豪華なディテールも見どころポイントのひとつ
豪華なディテールも見どころのひとつ
明治生命館の7階講堂
7階講堂。建築祭では特別公開

「東京建築祭2025」では、通常は非公開の7階講堂が特別に公開されました。300人ほど収容可能な講堂は、劇場のように舞台も設置されています。

優雅な天井の装飾もみどころ
優雅な天井の装飾も見どころ

天井の装飾レリーフや、かわいらしい避難口誘導灯、優雅なカーテンなど、じっくり見たいポイントがたくさん。重厚な雰囲気が漂います。

2階の会議室。マッカーサーも連日通っていたそう
2階の会議室。マッカーサーも連日通っていたそう

一般公開されている2階部分には、GHQの総司令官、ダグラス・マッカーサーが何度も足を運んでいた会議室などがあります。同じく2階では、明治生命館の着工から竣工までの記録映像も見ることができます。かつての東京の姿も垣間見ることができるすばらしい内容です!

なお、明治生命館は2025年11月に一般公開部分をリニューアル予定。資料や実物展示スペースを拡充するほか、新設するラウンジにはカフェも併設されるそう。重厚な空間をさらにゆったり過ごせるようになるとのこと、いまから楽しみです。

■明治生命館(めいじせいめいかん)
住所:東京都千代田区丸の内2-1-1(見学受付は明治生命館2館)
TEL:03-3293-9252(丸の内センター)
営業時間:9時30分~19時(最終入館18時30分)
料金:入場無料
定休日:不定休(ビル電気設備定期点検日)
アクセス:JR東京駅丸の内南口から徒歩約5分

品格ある外観! リノベーションでショップも並ぶ/日証館

日証館の外観。建築祭当日は、見学希望者で長蛇の列が!
日証館の外観。建築祭当日は、見学希望者で長蛇の列が!

日本屈指の金融街、日本橋兜町はレトロなビルが立ち並んでいます。最多で35社の証券会社が入居していたという「日証館」は、かつて渋沢栄一の自邸があった土地に昭和3年(1928)に竣工したオフィスビル。「日本橋 三越本店」など数々の名建築を手掛けた横川民輔率いる横川工務所が設計しました。

日証館のエレベーターホール
エレベーターホール

今回の東京建築祭では、普段は業務日しか立ち入れないエントランスホールが特別公開されました。

天井部分の装飾
天井部分の装飾
大理石でできた重厚な階段
大理石でできた重厚な階段

鑑賞できるスペースはコンパクトですが、重厚なエントランス部分は見ごたえ十分。エレベーターホールも雰囲気たっぷりです。現在も2階より上はオフィスビルとしてフル稼働している、まさに現役の名建築です。

現在も使われている郵便箱
私設郵便箱も現役で活躍しつづけている

現在、このビルは建物の雰囲気を活かしたリノベーションが施され、チョコレート&アイスクリームショップの「teal」や、カカオを使ったメニューをコース仕立てで楽しめる「nib」など、先進的なショップが営業しています。

■日証館(にっしょうかん)
住所:東京都中央区日本橋兜町1-10
TEL:03-3666-0182
営業時間:外観は見学自由。エントランスホールは平日のみ見学可能
アクセス:地下鉄茅場町駅11番出口から徒歩約5分

地下で洋館とつながる!? 撞球室(ビリヤード場)/旧岩崎邸庭園

旧岩崎邸 洋館(左)、旧岩崎邸撞球室(右)。2つの建物は地下道で繋がっている
旧岩崎邸 洋館(左)、旧岩崎邸撞球室(右)。2つの建物は地下道で繋がっている

「旧岩崎邸庭園」は、岩崎彌太郎の長男で、三菱第3代社長の岩崎久彌の本邸として明治29年(1896)に建てられた洋館、撞球室(ビリヤード場)、和館、芝庭からなる都立公園。

木造2階建、地下室も備えた洋館は、三菱一号館美術館や鹿鳴館も手掛けたイギリス人建築家、ジョサイア・コンドルが設計した建物です。

ベランダのタイル。約130年間色褪せずに残っている
洋館1階のベランダのタイル。約130年間、色褪せずに残っている

東京建築祭の開催期間中は、洋館1階のベランダに敷き詰められたタイルを鑑賞できるよう、特別に洋館前の芝生に立ち入れるエリアが設置されました。

関東大震災でも、多少のひびはあったものの割れることはなかったという
関東大震災でも、多少のひびはあったものの割れることはなかったという

色鮮やかなタイルはイギリスのミントン社製。目地なくぎっしりと張り詰められた様子はまさに壮麗!

旧岩崎邸 撞球室(ビリヤードルーム)
旧岩崎邸 撞球室(ビリヤード場)
普段は外から眺めるだけの撞球室に入れる貴重な機会!
普段は外から眺めるだけの撞球室に入れる貴重な機会!

また今回、通常は入場できない撞球室(ビリヤード場)が公開されました。コンドルはスイスの山小屋をイメージしてこの建物を設計。洋館とは地下通路で繋げられており、雨が降ったときも濡れずに移動できたそうです。

洋館、和館は平日に限って建物、内装、家具等の撮影が可能。美しい大階段や、金唐皮紙で設えられた室内など、豪華絢爛な建物を楽しみましょう。

また、旧岩崎邸庭園には隣接施設として、日本の近現代建築に関する資料を公開する「国立近現代建築資料館」があり、年2回のペースで展覧会も開催されています。建築好きの方は、旧岩崎邸とあわせて立ち寄ってみるのもおすすめです。

■旧岩崎邸庭園(きゅういわさきていていえん)
住所:東京都台東区池之端1-3-45
TEL:03-3823-8340
営業時間:9~17時(最終入館16時30分)
料金:一般400円、65歳以上200円、中学生(都内在住または在学)・小学生以下は無料 ※小学生の利用には保護者の同伴が必要
定休日:年末年始(12月29〜1月1日)
アクセス:地下鉄湯島駅1番出口から徒歩約3分

今回レポートした建物のほかにも、数多くの名建築が公開され、初心者から専門家の方までたくさんの建物好きな人々が名建築と街のすばらしさを再確認していました。

「るるぶ 東京レトロ名建築」では、東京建築祭2025にも登場した名建築も数多く紹介しています。次回の開催はまだ未定ですが、いまのうちから気になる名建築をチェックして、訪れてみませんか?

るるぶ東京レトロ名建築


Text&Photo:浦島茂世

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●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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