
【RoJean】カンザスのおばあちゃんの味をそのままに。姉弟で営むぬくもりカフェでモーニング
東京・池ノ上の静かな街角にただずむカフェ「RoJean(ろじーん)」。一歩足を踏み入れると、そこはまるでアメリカの家のような雰囲気が広がります。おしゃれでほっこりとする店内や、アメリカの家庭料理・スイーツが訪れる人々に心地よい時間を届けてくれる場所です。地元の人々やカフェ好きたちに愛されるカフェで、朝のひとときを過ごしてみませんか?
コンセプトは大好きな“おばあちゃん”
「RoJean(ろじーん)」を営むのは、麗子クリスタルさんとトーマス龍さん姉弟。レストランなどの内装を手掛けるインテリアデザイナーの麗子さんは、コンセプトやメニューなど、すべてを自分で決めることができる自分の店を持ちたいと思っていました。そんなときに、飲食店での経験が多い弟のトーマスさんと二人で、自宅の1階にカフェをオープンすることになったといいます。
「RoJean」という店名は、アメリカ中西部のカンザス州に暮らす姉弟のおばあちゃんの名前。ロジーンさんの家の雰囲気が好きだったこと、ロジーンさんからプレゼントされたレシピブックがあったことから、店名とコンセプトを「RoJean」に。家のような温かい空間でアメリカ料理を出すことにしたのだそうです。
ファミリーとカンザスへの思いがあふれる店内
店内インテリアもロジーンさんの家にインスピレーションを受けています。シンプルかつ機能性を重視したシェーカー教徒(プロテスタントの一派)のインテリア「シェーカースタイル」です。壁に取り付けられたペグ・レール(壁面収納や棚の取り付けに使用される家具)もその特徴のひとつ。壁の一部と天井のデニムブルーは、ロジーンさんの好きな色だそうです。
ペグ・レールにはキッズサイズのかわいいハープが。ハープ奏者のロジーンさんのためにおじいちゃんが手作りしたもので、デニムブルーに仕上げられています。
店内に飾られたり、料理を提供するのに使用されたりしている陶器は、陶芸家だった大叔父さんの作品。大叔父さんは引退してもう制作していないため、親戚中から使っていたものを集めてきたのだとか。色合いは偶然にもデニムブルーと茶色で、インテリアにもマッチしています。
カトラリーは、カンザス州の学校でも使われているという地元ブランド「KNORK(のーく)」のものを布ナプキンで包んで提供。布ナプキンもトーマスさんがロジーンさんと一緒にミシンで縫ったものやロジーンさんから譲り受けたもの、旅行先のセカンドハンドショップで買ってきたものなど、一枚一枚に思い出が詰まっているといいます。
トイレの壁紙は花好きのロジーンさんらしい柄。ヒマワリはカンザス州の州花でもあるのです。壁には姉弟の小さい頃の写真などがたくさんあります。アメリカの田舎では家族写真を廊下に飾る人が多く、それをイメージした空間になっています。
お客さんにも読んでほしいと、本棚にはカンザス州に関する本やレシピ本が。ちょこんと置かれた人形は、カンザス州が舞台の物語『オズの魔法使い』の主人公ドロシーと飼い犬のトトです。
おばあちゃんから受け継いだ思い出の味
「RoJean」の営業は朝8時からと早めです。海外に比べて日本は朝食を食べられるお店が少なく、海外から来た友人にどこでなら朝食を食べられるか聞かれることが多かったそう。それならば自分たちでやろうと決め、始めたのだとか。
朝食におすすめのメニューは「エッグ グープ」。ゆで卵とチーズを混ぜ込んだホワイトソースをトーストにのせたアメリカ中西部から南部の定番料理で、小さい頃からよく食べている麗子さんにとって思い出の味だそう。バターを控えめにホワイトソースと作っているので、たっぷりかけてもあっさりとしたやさしい味わい。多めのコショウがアクセントになっています。
合わせたのは飲み放題がウリの「コーヒー」。おかわりするときは、セルフサービスになっています。
スイーツももちろんロジーンさんのレシピから。「ブラウニー サンデー」のブラウニーとチョコレートソースも、ロジーンさんのレシピをもとに作っています。2スクープとボリューム満点のバニラアイスクリームの上には、程よく固まり、ねっとり食感になったチョコレートソース。口の中でアイスとソースが溶け、ピーカンナッツの食感も同時に楽しめます。
アイスの下には、モチッとした噛みごたえのある濃厚なブラウニーが。一般的な日本のブラウニーの多くは厚みがあるケーキのようですが、アメリカではケーキとクッキーの間という認識。薄くて大きいロジーンさんのブラウニーも、レシピブックではクッキーのカテゴリーに入っているそうです。
日本とアメリカを行き来して育ってきた麗子さんとトーマスさんは、どこに住んでいても「家」と感じられる場所がなかったといいます。今の二人にとっては、好きな人がいる、安心できる場所が「家」。みんながほっとできる「家」のような場所を作りたい、地域のコミュニティの居場所であり続けたいという思いが、「RoJean」が老若男女問わず多くの人に愛される理由。そんな心温まる空間で、二人の思い出の味を楽しんでくださいね。
■RoJean(ろじーん)
住所:東京都世田谷区北沢1-9-2
TEL:050-5526-7130
営業時間:8~15時
定休日:なし
Text:河部紀子(editorial team Flone)
Photo:yoko
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