
【おとなのソロ部】ハチミツを発酵させたお酒「ミード」を買いに、滋賀・野洲の「ANTELOPE」へ
ハチミツを発酵させたお酒「ミード」を知っていますか? 世界最古のお酒ともいわれ、滋賀県野洲市にある「ANTELOPE(あんてろーぷ)」は、日本では珍しいミードの醸造所。味は? 種類は? どうやって飲むの?など、ミードの魅力や飲み方を紹介します。お酒が苦手な人でも飲みやすいというミードで、新しい味覚を試してみませんか。
「ミード」ってどんなお酒?
ミードとは、ハチミツを発酵させた醸造酒。ビールやワインより古く、1万年以上前からある世界最古のお酒という説もあります。日本ではまだあまりなじみがないという人もいるかもしれませんが、じつは欧米諸国ではよく作られています。
ハチミツと酵母、水で作るのがトラディショナルミードで、ハチミツの甘い風味と美しい黄金色が特徴です。しかし、ハチミツに加えてフルーツやハーブを使うことも昔からあり、近年自由で幅広い味わいが注目されています。
滋賀のミードクラフトハウス「ANTELOPE」へ
「ANTELOPE」は、クラフトビール業界で働いていた醸造家/代表の谷澤優気さんがビアフェスでミードのおいしさに開眼し、滋賀県野洲市で立ち上げたミード醸造所です。日々試行錯誤を重ねながら、日本人に親しみやすいミードカルチャーを発信しています。ミャンマー産や日本産のハチミツをベースに、トラディッショナルミードはもちろん、フルーツやスパイス、植物、穀物などさまざまな副原材料を混ぜたドライなミードを数多く醸造しています。
店の奥には、11機のタンクがずらり。クラフトビールを醸造する際に使うタンクと同じもので、種類によって1カ月から2カ月半ほど醸造させるのだそう。
ワインやバーボンで使われる樽でもミードの熟成を行います。非発砲性のアルコール度数の高いミードは、主にこちらで醸しています。
味やアルコール度数など種類の幅広さが魅力
初めての人にまず味わってほしいのが、ハチミツの優しい甘みが特徴の「This is it」。グラスに注ぐとハチミツの甘い香りがふわっと広がり、まろやかで奥行きのある甘みがしっかり感じられる、これぞミード!な味わいです。品のある微発砲で口当たりがやわらかく、美しい黄金色にもうっとり。
主原料のハチミツは、ミャンマー産の複数の花から採る百花蜜を使用。紅茶のような香りで濃厚な味わいですが、ほのかな苦味もあり、全体の味を引き締めています。また、発酵が進むにつれて少しずつドライになっていくので、ほんのりした甘さを目指して、絶妙なタイミングで発酵を止める必要があるのだそう。
ハチミツのお酒というと、甘いものをイメージするかもしれませんが、「ANTELOPE」で扱うミードはさわやかだったり、酸っぱかったり、やや渋みを感じあり、濃厚だったり、実に多種多様なミードを作っています。もちろん、はちみつのスイーツを食べているような甘みが強いミードもあります。
定番は4種類で、期間限定が約4種。期間限定は「ジャスミン茶×ユズ」「晩柑×唐辛子」「プラム×シナモン×カカオニブ」など、旬のフルーツを使った斬新な組み合わせのものがたくさん! 新しい味は毎月約2種登場し完売次第終了なので、気になったら早めの購入がおすすめです。
また期間限定ミードは、こだわりのある農園のフルーツを使ったものが多いので、要チェック。
「A・P2024Early Harbest」は大阪府交野市で自然栽培を手がける「PAPA〇FARM」のブドウを使ったもの。赤ワインより軽やかで清涼感のある伸びやかな酸味を感じながらも、大地の力強さを感じる重厚な味わいもあり、とっておきの日に飲みたい逸品です。
「材料によって、風味や甘みを自由に変えられるのが、ミードの魅力。アルコール度数も4~16度と個々に異なります。全国の農家や養蜂家を訪ね、そこで得た材料で毎月新しいミードを生み出していますが、これからは自分たちで育てたハチミツや作物でもミードを醸したいですね」と谷澤さん。発酵したはちみつをベースにした、想像を超える味に出合える、古くて新しいお酒・ミード。ぜひ自分好みの味を見つけてみてください。
自分へのご褒美にしたい“ミードタイム”
ミードは「ANTELOPE」のほか、公式サイトに記載された販売店で買うことができ、ネット販売もあります。
アルコールを添加したリキュールではなく、ビールやワインのような醸造酒であるミード。発砲性のあるものは冷やして、泡なしは常温か少し冷やして。香りがたつワイングラスで飲むのがおすすめだそう。
甘めのミードはデザート感覚で、ドライなミードは食事と合わせるのがコツ。チーズや燻製料理、パンとよく合い、スパイスカレーや中華料理ともの相性も良いそう。公式サイトにある「おすすめペアリング」も参考にしてみてください。
どのミードも瓶に材料や味、誕生にまつわるストーリーなどが書かれています。これを読みながら、グラスを重ねてみてはいかがでしょうか。
併設のおしゃれカフェでもお茶したい
「ANTELOPE」では、ショップとおしゃれなカフェも併設しています。
購入できるミードが冷蔵庫にずらりと並び、なかには試飲ができるものもあります。
新潟で14代続くぶどう農家が手がける、無添加の「阿部農園さんのぶどうジュース」や、厨房で香ばしくキャラメリゼした「やみつきナッツ」など、カフェメニューもこだわりが感じられるものばかり。「グラスミード(ボトル)」1000円もお店で飲むことができます。
厨房で手作りした「全粒粉のスコーン」250円もおすすめ。自家製のハニーバターやイチゴバター、黒ゴマバターをサンドしたスコーンもあります(各400~450円)。
ちなみに「ANTELOPE」とは「カモシカ」を意味し、おいしいお酒やいい雰囲気を醸し出す「醸し家(かもしか)」でありたい、との思いから命名。「おいしいミードを作り、ミードで縁を作る」ことを目指し、常にトライの精神で新しいミードを作り出しています。
古くて新しいお酒・ミード。食事とともに、デザートとしてなど、暮らしに好きなミードを取り入れて、ちょっといいおうち時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。新鮮な味覚が、暮らしに彩り豊かなアクセントを与えてくれるに違いありません。
■ANTELOPE(あんてろーぷ)
住所:滋賀県野洲市永原551
TEL:090-5028-8053
営業時間:11~17時
定休日:不定休(カフェは火曜、祝日)
アクセス:JR野洲駅からおのりやすバス祇王・中里コースで17分、祇王駐在所下車すぐ。またはタクシーで9分
※最新の営業日時はInstagramで要確認
■おすすめの利用シーン:ハチミツを使った新しい美味に出合いたいとき、家でのお酒タイムを充実させたいとき、おいしいものを目当てに休日におでかけしたいとき、珍しいプレゼントで大切な人を喜ばせたいとき
Text:こばやしみもざ
Photo:小川康貴
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