
車窓に白銀の絶景が連続!スイスの世界一遅い「氷河特急」で憧れの列車旅へ
世界中の旅行者が憧れる、スイスの山岳観光列車「氷河特急」。約8時間かけてスイス南部を横断する“世界で最も遅い特急列車”といわれ、高級リゾート地のサン・モリッツとマッターホルンの麓のツェルマットを結んでいます。乗車するなら冬がおすすめ。夏に比べて予約が取りやすく、スイスアルプスの白銀の絶景を快適な車内から楽しめます。みどころや食事、車内設備など、氷河特急の魅力を深掘りしていきましょう。
一度は乗りたい!世界一遅い特急列車「氷河特急」とは?
発着駅となるサン・モリッツからツェルマットまで、走行距離約291kmを約8時間かけて走行する「氷河特急」。
平均時速約34kmの、“世界一遅い特急列車”との異名で知られ、1930年の運行開始から95年にわたって人気を博しています。
最大の魅力は、快適な車内にいながらにして、スイスの山岳地域の絶景が楽しめること!
291の橋を渡り、91のトンネルを抜け、アルプスの名峰や美しい森、牧草地、山間の急流や渓谷などが次々と車窓に展開するため、約8時間の列車旅でも飽きることなく、大充実の時間が過ごせるんです。
走行ルートのハイライト&車内で味わえるスイスの美食
どんな絶景が待っているのか、さらに車内の設備や食事も気になるところ。走行ルートに沿ったみどころと、車内の過ごし方を詳しくご紹介します。
コースのハイライト
最高地点は標高2033mのオーバーアルプ峠で、最低地点は標高585mのクール。標高差があるため、景色が多彩に変化し、また“世界一遅い特急列車”というだけあって、のんびりと走るため、車窓の景色もゆったりと流れていきます。
さらに、世界遺産のランドヴァッサー橋をはじめ、ハイライトではさらに減速。あっという間に通過して、シャッターチャンスを逃してしまったなんてこともありません。
発着駅はサン・モリッツ、ツェルマットどちらも選べますが、今回はサン・モリッツ⇒ツェルマットで乗った場合のみどころをチェックしていきましょう。
美しい森と湖、ベルニナアルプスの名峰に囲まれた標高1822mの高地で、過去2回、冬季オリンピックが開催されたマウンテンリゾート。
高級ホテルや有名ブランドショップも立ち並び、列車旅の起点にぴったりの立地です。
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アーチを描く5つの橋脚が美しい石造りの高架橋で、長さ142m、高さ65m。
世界遺産のレーティッシュ鉄道アルブラ線の敷設とともに1902年に造られ、2009年に修復工事をするまで100年以上も活躍してきた鉄道建築の傑作といわれています。険しい岩崖の下にはランドヴァッサー川が流れ、カーブを描きながらトンネルへ入っていきます。
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新石器時代からの居住の跡が発見され、城壁に囲まれた旧市街には中世の町並みがそのまま残り、スイス最古の町ともいわれています。昔からヨーロッパをつなぐ交易路でもあり、山岳地方への玄関口として栄えました。
標高585mと、ルート内で最も標高が低いこの駅ではスイッチバックで前後交代し、急こう配を登っていきます。
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“スイス・グランドキャニオン”といわれ、白い石灰質の奇岩が織り成す大峡谷。約1万年前の氷河期末期に、約400mの高さから岩盤が崩れ、形成されました。
列車は切り立った峡谷の中を川沿いぎりぎりで走り、車窓からも白い峡谷の雄大な景色が楽しめます。
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ルート内で最も高い、標高2033mのオーバーアルプ峠。冬はオーバーアルプ湖が凍って、高さ1mの雪で覆われ、白銀の世界が一面に広がります。船は運航していませんが、ライン川の源流であることを示す真っ赤な灯台もあり、人気のフォトスポットになっています。
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オーバーアルプ峠をはじめ、8つのアルプスの峠と山々に囲まれた谷間にあり、周辺には山上湖や氷河、いくつもの支谷があります。峠から標高差約580mを降りていくため、歯車(ラックレール)式のレールを使って走行するのにも注目です。
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ルート内で最長となる約15.4kmのフルカ・トンネルを抜けて、ローヌ氷河とローヌ川によって形成された谷間の高原、ゴムス地方へ。シャレーという伝統的な木造建築が立ち並ぶ素朴な村が点在し、冬には一帯がクロスカントリーコースになります。
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マッターホルンをはじめ、4000m級の名山に囲まれたツェルマットが、8時間の列車旅のゴール。村内はガソリン車の乗り入れが禁止され、交通は電気自動車と馬車のみ。
静かで清らかな環境が守られ、アルプスの山々の絶景が楽しめます。
絶景を楽しみながらワインやチーズ…、スイスの美食を!
車内は天井まで届く大きな窓が開放的で、エアコンも完備。シートに身を預けたまま目の前に迫る絶景を体感できます。食事は車内キッチンで作られ、できたてを座席までお届け。
車窓を流れる景色を見ながらゆったりと味わえ、絶景レストランさながらです。
座席クラスは3種類。おすすめはファーストクラス並みのエクセレンス・クラス
座席は3クラスがあり、どのタイプもパノラマ車両。
2等車は4名席、1等車は2名用・4名用のコンパートメントタイプです。列車旅をより優雅に楽しめるのは、窓際1席ずつのゆとりのある空間で、バーカウンターも備わるエクセレンス・クラスです。
エクセレンス・クラスなら、1車両に1名という専任コンシェルジュのおもてなしのもと、料理もドリンクも追加料金不要で贅沢な時間が過ごせます。
※一部追加料金の必要なアルコール類あり
1等車・2等車でも前菜・メイン・デザートのコースメニューや日替わり定食、アラカルトがいただけます。メニューにはさまざまなスイスの味が揃い、各地方で作られるチーズ・生ハムの盛り合わせプレートや地元のチーズを使ったグレイシャーサラダなども人気。
冬には、地元サンモリッツのあるグラウビュンデン州の「ビュンドナーゲルシュテンズッペ」を。ビュンドナー(グラウビュンデン州の)+ゲルシュテン(大麦)+ズッペ(スープ)という名前があらわすように、スイスアルプスの厳しい寒さのなかでもたっぷり栄養がとれる伝統的なスープで身も心も温まります。
エクセレンス・クラスでは、ワンランク上の5品のフルコースが提供され、さらにウェルカムドリンクやワイン、アフタヌーンティー、乗車中のドリンクやスナックなども自由に頼めるんです!
料理には地元の一流の食材が使われ、ワインの産地であるヴァレー州とグラウビュンデン州の上質なワインも飲め、列車旅をしながらガストロノミーも満喫できます。
※料理の内容は変更する場合があります
日本語のオーディオガイドで観光もばっちり!
座席では日本語を含む6カ国語で、イヤホンから流れるオーディオガイドを聞くことができます。
今どこを走っているのか、どんな場所なのかわかるから、予備知識がなくても、外国語がわからなくても安心!
実は冬が狙い目!アルプスの銀世界を見に行こう
世界中の旅行者が乗りに訪れる大人気の氷河特急。夏よりも予約が取りやすい冬は、車内の混雑も少なく、のんびり過ごせます。
Point.1 冬ならではの絶景!真っ白の世界が視界一面に
森林限界を超えた標高が高いエリアを走行する氷河特急。草木がなく、冬は視界一面が真っ白になり、日本ではお目にかかれないダイナミックな雪景色が見られます。
Point.2 快適な車内で、冬の山岳風景をぬくぬく観賞
スイスの冬は極寒で、雪山では万全の防寒が必要ですが、パノラマ車両は日光をふんだんに取り込む造りで、エアコンも完備。温かい車内では防寒着も不要で、シートに座って大自然の冬景色を楽しめます。
Point.3 エクセレンス・クラスでゆったりとオトナ旅
せっかくのスイス列車旅だから、高級感のあるインテリアでファーストクラスのようなサービスが受けられるエクセレンス・クラスをチョイスしてみて。
窓側が確保されたゆったりシート、レストランさながらの食事、専任コンシェルジュのおもてなしで、極上の8時間が過ごせます。
チケットの料金や予約方法は?
【サン・モリッツからツェルマットまでの料金】
2等車チケット…159スイスフラン+必須座席予約手数料54スイスフラン(日本円で計3万8957円)
1等車チケット…272スイスフラン+必須座席予約手数料54スイスフラン(日本円で計5万9625円)
エクセレンス・クラス…1等車チケット+必須座席予約手数料540スイスフラン(日本円で14万8515円)
※2026年の料金です
※スイストラベルパスまたはインターレール・パスをお持ちの場合、パスのクラスに応じて上記の必須座席予約料のみで乗車が可能です
※2025年8月4日現在のレート、1スイスフラン=182.9円で換算
■氷河特急(Railservice Glacier Express)
所在地:サンモリッツ(St. Moritz)、クール(Chur)、アンデルマット(Andermatt)、ツェルマット(Zermatt)等の各停車駅から乗車
TEL:+41 81 288 65 65(現地レールサービス)
運行日:2025年5月3日~10月11日、2025年12月6日~2026年5月1日
Text:伊藤あゆ
Photo:スイス政府観光局提供
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