
山梨「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー」でワインを学び味わう日帰り旅【ご褒美の新定番】
広大なブドウ畑が広がり、さまざまなワイナリーが存在する山梨県甲州市。なかでも日本ワインの原点ともいわれる「シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー(しゃとー めるしゃんかつぬまわいなりー)」では、ペアリングを楽しめるテイステング体験はもちろん、ワイン資料館やヴィンヤードも見学できます。これから旬を迎える山梨のブドウとあってまさにシーズン到来! 日本ワインに触れる日帰り旅をご紹介します。
日本ワインの原点! 「シャトー・メルシャン」
新宿から中央線特急で塩山駅まで約1時間30分。そこからタクシーで10分ほどの場所に「シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー」があります。
最寄りのJR中央線の勝沼ぶどう郷駅からはタクシーで8分ほどで、平日やブドウ狩りのオフシーズンだと電車の本数が少ないので要注意。取材時は6月末だったのですが、タクシー利用者が多かったです。
「シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー」には、ショップとテイステングが楽しめる“ワインギャラリー”とワイン資料館、ワイン醸造用ブドウを栽培している祝村ヴィンヤード(ブドウ畑)があります。こちらは誰でも無料で見学することができます。
休日中心で開催されているワイナリーツアーは3つのコースがあります。テイスティングも含めたコースになるので、好みのプランをホームページから探してみるのもよさそう。
日本遺産の資料館で日本ワインの知識を深める
ワイン資料館の建物は、1904年に建てられた宮崎葡萄醸造場の第二醸造場で、現存する日本最古の木造ワイン醸造所です。
まずはワイン資料館で日本ワインの歴史や魅力を知ることで、このあといただくペアリングがよりいっそう楽しめます。月1回程度開催される「ワインメーカーズツアー」では、ワインメーカーから直接お話しを聞きながら参加することができます。
1997年には山梨県の有形文化財に指定された醸造所。メルシャンワイン資料館はその貴重な収蔵品から、日本遺産の構成文化財にも認定されています。
知らない人も多い、日本のワイン造りとシャトー・メルシャンの歴史を年表で学びます。日本でのワイン造りを奨励したのは、あの大久保利通なんだとか。
ワイン造りの工程を明治期と現在で見比べることができる展示や映像、当時のワイン造りで使用していた器具などを見ることができます。製造技術は進歩していますが、昔と今でもワイン造りの工程にそこまで違いはないそう。
ワイン資料館がまだ醸造所として使用されていた頃は、収穫したブドウを大八車(だいはちぐるま)で運搬していました。9月から10月の勝沼はたくさんの人で賑わっていたようです。画像左が水車の力でブドウを潰す破砕機。左は破砕機でつぶされたブドウを受ける“フネ”と呼ばれる桶です。
そのほかにもワイン造りに欠かせない道具をたくさん見ることができます。型や素材を変えて、現代のワイン造りでも使われています。
なんと資料館では、現存する日本最古のワインを見ることが可能!
ワイン造りを一から学ぶためにフランスへ留学した高野正誠が造ったワインが、高野家の蔵に100年近く埋もれていたところを発見されたもの。
ガラスから中をのぞくと4本のワインを見ることができます。左の2本が高野家で発見されたワイン、右の2本は高野正誠が留学していたフランスのトロワ郊外で造られたワインです。
ワイン用のブドウ栽培が見学できるヴィンヤード
ワインの歴史に触れたところで次は実際にワイン用のブドウを見学するため、外へ。広大な甲州の景色が広がり、とても気持ちいい!
入ってすぐ右にあるのは「ボルドウ神社」。明治初期に山梨のブドウ樹が病気にかかり衰弱した際に、フランスで開発された「ボルドー液」という薬を使ったところ病気が減り、山梨のブドウが救われたそう。
ワインの神様に感謝してぜひお参りをしてみて。
少し奥に進んだところにあるのが「祝村ヴィンヤード」。ヴィンヤードとはブドウ園を指し、この場所の旧名である祝村にちなみ名前がつけられました。
甲州ながら、どこかフランスのブドウ畑を感じるような景色。日本の一般的なブドウ畑とは異なる、ヨーロッパの「垣根式」という栽培法を間近で見ることができるのはワイナリーならではです。
ブドウ樹の下にはそれぞれ品種が書かれています。このヴィンヤードでは、日本以外に、イタリア・スペインなど約20種類の品種のブドウを栽培しています。
まだ小粒でしたがしっかりと実がなっていました! ワインショップでは、この畑で育ったブドウを使用したワイナリー限定ワインも購入できます。
数量限定ペアリングBOXとワイナリー限定ワインを味わう
ワイン資料館やヴィンヤードの見学が終わったところで、お待ちかねのテイスティング! 予約者限定のツアー参加者にはコースにテイスティングが用意されています。
おすすめなのが、事前予約制・数量限定の「ペアリングBOX」です。勝沼で人気のフレンチビストロを営む「ビストロ・ミル・プランタン」が、どんなワインとも相性のよいペアリングを考案。ちょうどよいサイズ感でおつまみにぴったり!
左上から時計まわりに、「真鯛のポワレ ブイヨンソース」、「あきたこまちと古代米」、「国産鶏もも肉のグリエ・アーモンドクリームソース」、「カプレーゼ」、「県産豚ロースのコールドポーク カクテルソース」、「ヤリイカとタコのマリネ」。
有料テイスティングのセットは全部で4種類あり、そのなかからお好みをチョイス。今回は店員さんおすすめの「山梨ワイン満喫セット」を注文。白ワイン2種、赤ワイン1種で飲み比べます。
奥のカウンターでさっそく注文。ワインの説明が書かれたペーパーをもらえます。店員さんからワインに関する知識やおすすめのワインなども聞くことができます。
天気がいいので、外のテラス席でカンパーイ! 白ワインはブドウの皮を使っているものと、いないもので色付きがやや変わるそう。
左の白ワイン「玉諸甲州きいろ香 セレクテッド・ヴィンヤード2023」からいただきます。こちらはワイナリー限定ワインで甲府市の玉諸地区のぶどうを使用。グレープフルーツ、レモンのような爽やかな香りを楽しむことができる、やや辛口の味わいです。
中央の白ワイン「三珠甲州グリ・ド・グリ2022」は、カリンやリンゴ、ヤマユリのさまざまな香りに加え、ダージリンを思わせる味わいです。
最後は赤ワイン「穂坂マスカット・ベリーA シングル・ヴィンヤード 栽培責任者 横内栄人2021」をいただきます。韮崎市穂坂地区で品質のよいマイスカット・ベリーAが収穫できる畑のひとつである横内園のブドウを使っているのが特徴。熟したイチゴやサクランボなどの赤い果実と、ほのかにヴァニラの香りが感じられ、ほどよい酸味が楽しめます。
ペアリングBOX以外にも数種類のスナックを購入することができます。写真左の「ワインフォンデュ」はチーズにワインの風味を感じることができ、別売りのクラッカーにつけて食べると絶品。ほかにも写真右のフランス産「スナック・サラミ」などもあり、おつまみによって、ワインの味わいが変化も楽しいです。
要予約! 圧巻のワイン醸造施設と地下セラー
ワインギャラリーから1分ほど歩いたところにあるのが、こちらのワイナリー。平日は稼働しているので入れませんが、土・日曜を中心に開催しているツアーでのみ見学可能です。施設内には地下セラー、Aセラー、Bセラーの3つがあり、それぞれ見学することができます。
ワインが眠っている樽育成庫・瓶貯蔵庫の地下セラー。ワインの色や風味、テクスチャーを変化させるために使用するオーク樽の数に驚きます。保管されている約1000樽が、常時同じ気温、湿度を保ち熟成を促しています。
巨大なステンレスタンクが並ぶBセラーでは、徹底した温度管理で醸造する様子を見学することができます。
今回はブドウの産地・山梨甲州で日本ワインに触れる「シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー」を紹介しました。歴史や製造、造り手のこだわりや思いを知ることで、より深くワインを味わうことができます。都心から気軽に行けるので、ぜひこれからのシーズンに訪れてみてはいかが?
■シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー
(しゃとー めるしゃんかつぬまわいなりー)
住所:山梨県甲州市勝沼町下岩崎1106-1
TEL:0553-44-1011(予約センター)
営業時間:ワイン資料館 9時30分〜16時30分/ワインギャラリー10時〜16時30分
定休日:不定休(公式ホームページを要確認)
料金:土・日曜限定のディスカバリーツアー3000円〜、資料館と畑の見学は無料
Text&Photo:樋口紗季(vivace)
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