
大阪府立中之島図書館 │ ギリシア神殿のような大阪の知的ランドマークで建築とカフェを楽しむ
大阪・中之島にある「大阪府立中之島図書館(おおさかふりつなかのしまとしょかん)」は、120年以上の歴史をもつ重厚でクラシックな建築で知られる格調高い図書館。実は、本や資料を読むだけの場所に留まらない、歴史と文化が融合した大阪の知的ランドマークを紹介します。
Summary
「大阪府立中之島図書館」は国の重要文化財に指定される国内唯一の公共図書館
「大阪府立中之島図書館」は、明治37年(1904)に開館した大阪府内初の公共図書館です。第15代住友吉左衛門友純(すみともきちざえもんともいと)が、大阪は人口が多く豊かで物も揃い、学問も盛んだが、図書館だけがないことを残念に思い、建物と図書購入費を寄付したことで誕生しました。現代なら数億円を超える額だそう! 当時、大阪にはほかに図書館がなかったことから、正面玄関の上部には「大阪図書館」と記されています。
「大阪府立中之島図書館」は、外観はルネサンス様式、内部はバロック様式を基本としたハイブリッド型の建物です。大正11年(1922)には、住友家の寄付で左右の両翼が増築され、ほぼ現在の建物に。昭和49年(1974)には、本館と左右両翼が国指定重要文化財になりました。
明治36年(1903)8月の上棟式で使用され、阪神淡路大震災後の変状調査実施中に発見されたたという棟札(置札)も国指定重要文化財。東京駅の設計者として知られる辰野金吾の名が、工事顧問としてこの棟札に記されていたことから、同じく中之島にある「日本銀行大阪支店」「大阪市中央公会堂」とあわせて3軒とも金吾が関わっていることが明らかに!
そんな「大阪府立中之島図書館」では「ビジネス支援」と「大阪資料・古典籍」に特化したサービスを提供しています。1階新聞室では、朝日・産経・日経・毎日・読売の5大紙をはじめ、約90の業界別に400種以上もの業界紙を所蔵。3階大阪資料・古典籍室には、歴史から文化、芸能、文学まで大阪に関する資料が集結。貴重な資料を鑑賞できる企画展示なども催されるなど、府民に親しまれる図書館です。
ギリシア神殿のような風格漂う外観にくぎづけ!
「大阪府立中之島図書館」を訪れるとまず目を引くのが、左右対称に配置されたファサード。階段の上に立つコリント式円柱が大きな三角形のペディメント(三角破風)を支える様は、ギリシャ神殿のような荘厳さ!
円柱の上部には、ギリシアの国花・アカンサスをモチーフにしたという葉飾りと羽のような美しいデザインが施されています。石造の建物は、当時最高級とされていた花崗岩が使用され、衝撃に強く丈夫な造りに。
石造の建物は、夏は暑く冬は寒いそうですが、空調を刷新することが難しく、冬に稼働しているラジエーターのなかには100年以上前のものもあり、夏は昭和時代のクーラーも現役で働いています。かつて稼働していたボイラーの煙突も残っているので、注目してみてください。
建物中央には、銅でできたドーム型屋根があります。ガラス張りの小さなドームをのせた二重構造で、館内に自然光を取り入れる仕組みに。続いてその内部へと進んでみましょう。
教会を思わせる中央ホールは圧巻
階段を上り入口を進むと2階に吹き抜けの中央ホールが広がっています。円形の空間には3階へと階段が続き、教会のような雰囲気。
天井には、ドーム屋根から降り注ぐ自然光によって輝く美しいステンドグラスが!
階段手すりの柱の彫刻も見事です。
正面には、2つの銅板額が掲げられています。図書館を寄付した際と増築した際の寄付者の言葉が記されたもので、円形の建物にあわせてカーブするようにつくられています。
その両サイドには、2つの彫像が。向かって右側が野性を表すという「野神像」で、左側が知性を表現するという「文神像」。作者は長崎平和祈念像で知られる彫刻家・北村西望です。
中央ホール上部には、8人の賢人・菅原道真、孔子、ソクラテス、アリストテレス、シェイクスピア、カント、ゲーテ、ダーウィンの名も記されているので注目してみてください。
3階記念室も見ごたえあり!
3階の記念室には、テーブル、椅子など当時のものが展示され、かつての雰囲気を伝えます。
印象的な扇形の窓には、歪みが特徴的な当時の手作りガラスがはめ込まれています(一部)。かつてはこの窓も開けることができたそう。入口のドア横には、別の部屋とつなぐ呼び鈴ボタンも残っているので注目してみてくだい。
なお、「大阪府立中之島図書館」の建物や歴史について深く知ることができるガイドツアーが開催されているので、参加するのもおすすめですよ。
■大阪府立中之島図書館ガイドツアー
開催日時:毎週土曜 ①11時30分~ ②13時30分~ ③15時30分~(所要約45分)
受付方法:各回30分前から本館2階総合案内にて(各回定員10名、先着順)
参加費:500円(オリジナルグッズ付)
ライブラリーショップでオリジナルグッズをゲット
2階ライブラリーショップでは、オリジナルグッズも販売しています。建物の写真やイラストなどをデザインした全9種が揃います。
大阪・生野にある「大栗紙工」とコラボしたノートも人気。
ほかにも「缶バッジ」160円や「A4クリアファイル」440円、「A6ミニ手帳」550円などがラインナップ。お気に入りを見つけてください。
図書館の建物を利用したおしゃれなカフェ「スモーブローキッチンナカノシマ」も人気
館内には、増築部分の建物を利用したカフェ「スモーブローキッチンナカノシマ」もあります。
元閲覧室だった空間を改装した店内は、レトロな雰囲気を生かした温かみのあるおしゃれな空間で、のんびりとくつろげそうです。
看板メニューは、デンマークの伝統的なオープンサンド・スモーブロー。信頼のおける生産者の食材を使ったスモ―ブローはビジュアルも美しい!
ほかにも、季節のフルーツをふんだんに使ったスイーツなどもが楽しめます。
朝9時から営業しているので、モーニングやランチ、カフェと使い勝手抜群です。図書館を利用した前後に利用するのはもちろん、こちらのカフェ目当てに訪れてみても!
■スモーブローキッチンナカノシマ/2F
TEL:06-6222-8719
営業時間:9~17時(金・土曜は~20時)
定休日:不定休
「大阪府立中之島図書館」は、建物を見たり内部を見学したりするだけで学びがある貴重な歴史的建造物。蔵書や資料の閲覧だけでなく、グッズ探しやカフェも満喫して、歴史と文化が香る図書館をたっぷり体験してください。
■大阪府立中之島図書館(おおさかふりつなかのしまとしょかん)
住所:大阪府大阪市北区中之島1-2-10
TEL:06-6203-0474(代表)
営業時間:9~20時(土曜は~17時)
定休日:日曜、祝日・休日、3・6・10月の第2木曜
アクセス:OsakaMetro淀屋橋駅1番出口から徒歩4分
Text:平林みわ(ピース)
Photo:小川康貴
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。