
【おとなのソロ部】江戸期の元酒蔵「近江八幡まちや倶楽部」に泊まる、スローな1泊2日旅 in滋賀
ひとりでふらっと旅したいとき、滋賀県近江八幡市はいかが? 琵琶湖の東側、豊臣秀吉の甥・秀次(ひでつぐ)が安土桃山時代に築いた八幡山城の麓に広がる城下町で、今もその風情が色濃く残っています。今回は、江戸時代の築造といわれる元酒蔵を利用したホテル「近江八幡まちや倶楽部(おうみはちまんまちやくらぶ)」を紹介。リピーター続出のすてきなレトロホテルを詳しく案内します。
旧市街の歴史的町並みに立つレトロなホテル
JR近江八幡駅からバスで約6分の、バス停八幡堀(大杉町)八幡山ロープウェー口から徒歩約2分。城下町時代からメインストリートであった仲屋町(すわいちょう)通りに立つ「近江八幡まちや倶楽部」は、宿泊施設を兼ねた複合施設です。旧市街地に残る建物の保全・活用を通じて地域がにぎわうことを目的としたプロジェクトの一環で、江戸時代の建造とされる元酒蔵(国登録有形文化財)をリノベーションし、誕生しました。近江八幡の歴史や文化を育んできた人々の暮らしや、産業の軌跡が随所に感じられる施設です。
数棟からなる建物群が連なり、宿泊施設である本館は母屋部分にあります。それにプラス8つの店舗が奥まで並んでいます。
建物は2010年ごろまで酒蔵として実際利用されていたもの。奥まで歩を進めると、明治前期と見られる土蔵造りの平屋建てに、往時の面影を残す太い梁や巨大なタンクを見ることができます。
ひとり旅なら、屋根裏部屋をいかした「安土の間」が◎
客室は2つあり、ひとり旅におすすめなのが、厨子(つし)二階をいかした「安土の間」。いわゆる屋根裏部屋で、秘密基地のようなワクワク感に満ちあふれています。天井が斜めで低く、飴色に光る梁と相まって気持ちが落ち着く空間です。
2階の虫籠窓(むしこまど)から、ぜひ通りの往来を眺めてみてください。
「安土の間」の1階に降りると、ロッキングチェアから坪庭が眺められる部屋があり、こちらもすてきな雰囲気です。
複数ある信楽焼のコーヒーカップから好きなものを選び、用意されたコーヒーやお茶を自由にいただきながら、庭をゆっくり眺める時間を楽しんでください。
特筆すべきは、「安土の間」の浴槽。元酒蔵のタンクを再利用したもので、入りやすいようなかに踏み台が設けられています。ユニークな浴室は、思い出に残ること間違いなし。
2人以上のグループで泊まるなら、1階「八幡の間」がおすすめ。二間続きで14畳あるゆったりとした和室で、伝統的な書院造りです。二間それぞれが坪庭に面しているのもうれしいポイント。
二間の和室の隣には、シャンデリアのある談話室があります。酒蔵である往時を彷彿とさせる太い梁にシャンデリアがマッチし、話が弾みそうなくつろぎ空間です。
「八幡の間」には、木製酒樽を利用した浴槽と、檜風呂の2つのお風呂があります。ここはぜひ酒樽のお風呂で体を温めてみてください。
竹を使ったカゴやスツール、信楽焼の洗面台やマグカップ、ウォーターサーバー、地元産のヨシで作られたすだれなど、調度品には地元の伝統工芸品が数多く使われています。
また室内のいたるところに、地元に在住、または所縁のある若い現代作家の作品が置かれています。昔ながらの木造りの客室とモダンなアート作品が絶妙にマッチし、宿泊しながら近江八幡市の新旧の文化や気風が肌身で感じられるようになっています。
客室には、今ではなかなかお目にかかれない美しい細工の欄間や味わい深いスイッチなど、時代を彷彿するしつらえもたくさん残されています。ぜひ客室内をじっくり観察して、古の美意識にふれてみてください。
古い木造建築ならではの風情を存分に感じられる雰囲気ながら、加湿器や電子レンジ、オーブン、お皿、カトラリーなどが揃い、使い勝手は抜群。近隣で総菜やお菓子を購入し、客室で食べるという人もいて、まるで暮らしているみたいに滞在できます。また宿泊者は自転車を無料で借りれるのもうれしいポイントです。
朝&夜ごはんは宿の近くの食事処で、地元の食材をふんだんに
「近江八幡まちや倶楽部」で食事の提供はなく、必要な場合は、ホテルを予約する際、提携する近隣の飲食店を選び、ホテルと一緒に予約するのがおすすめです。
琵琶湖で育った魚を使った懐石料理店「ひさご寿し」や、発酵食などの郷土料理が味わえる小料理屋「じゅらく」、近江牛を使った創作料理が楽しめる「久ぼ多屋」、地元の食材を使ったカジュアルな洋食・アジア料理店「ヤポネシア」などがあります。
「近江八幡まちや倶楽部」は、徒歩すぐの元醤油蔵を改装した「別邸Kolmio」もホテルとして運営しており、朝食はそのホテル内のカフェで地元の食材をふんだんに使ったメニューを味わうこともできます。和食なら「ひさご寿し」の朝食「近江の朝」がおすすめです。
複合施設内の個性的なショップにも立ち寄ろう
複合施設「近江八幡まちや倶楽部」内には、ホテル以外にバラエティー豊かな8店が集まっているので、ぜひ立ち寄ってみてください。特におすすめの3店をピックアップ!
琵琶湖や西の湖で採れる天然ヨシ、竹細工、近江麻、近江牛レザー、高島帆布など、近江八幡や湖東地域の伝統的工芸品や作家ものを販売する「暦-こよみ- local life&crafts」。モダン&ナチュラルなデザインで現代の暮らしにも取り入れやすく、欲しくなるものばかり。酒蔵の蔵人の宿舎であった江戸時代の蔵を改装した空間も、味わい深くすてきです。
こちらは「近江八幡まちや倶楽部」のチェックインカウンターも兼ねています。
■暦-こよみ- local life&crafts(こよみ ろーかるらいふあんどくらふつ)
TEL:0748-32-4654(近江八幡まちや倶楽部)
営業時間:10時30分~17時(平日は13時~)
定休日:火曜(祝日の場合は営業)
革と帆布の歴史に深いつながりのある、近江八幡市。「COGOCORO」は、その2つを組み合わせたカバンや財布、ペンケース、キーケースなどを販売する専門店です。なかでも近江牛の老舗「岡喜牧場」とコラボし、オイル成分が多く含んで柔らかい近江牛の革を使った「366日の花個紋キーホルダー」は、「COGOCORO」限定の人気アイテム。滋賀在住の作家が提案する、花を家紋に倣って意匠化した366日分の花個紋が彫られています。
■COGOCORO(こごころ)
TEL:080-9757-5899
営業時間:11~17時
定休日:水曜(祝日の場合は営業)
館内でひと際スイートな空間が目を引く「DES LE DEBUT」は、ドライフラワーの造形作家が手がける、ドライフラワーとナチュラル雑貨の店。ドライフラワーのほか、花瓶や食器、ライト、帽子、カバン、アクセサリーなども扱い、店内を見て回るだけでも楽しい!自分で花が選べるドライフラワーのブーケ作り体験ができるので、宿泊記念にぜひ(予約制)。
■DES LE DEBUT(で る でびゅ)
営業時間:10~17時(宿泊者は夜もドライフラワーのブーケ作り体験が可能)
定休日:月・水・金曜(変動があるので、Instagramで要確認)
※予約・問い合わせは、Instagram@desledebutのDMまで
近江八幡市はおさんぽに最適な町
近江八幡市の中心部に立つ「近江八幡まちや倶楽部」から徒歩圏内には、安土桃山時代に栄えた城下町の遺構「八幡堀」が全長約5kmにわたって残り、その脇に敷かれた遊歩道を歩くことができます。魯と竿を巧みに操ってゆったりと進む「八幡堀めぐり」の和舟を見かけることもあり、風情たっぷり。
また近江八幡市は明治~昭和にかけて活躍した建築家・ウィリアム・メレル・ヴォーリズの活動拠点であり、市内には「ヴォーリズ記念館」や「旧八幡郵便局」「アンドリュース記念館」など、ヴォーリズが手がけた洋館が多数残されているので、それらを巡っても楽しめます。
山頂から琵琶湖が一望できる「八幡山ロープウェー」や、約1900年の歴史を持ち近江の守護を司る「日牟禮(ひむれ)八幡宮」などの観光スポットも。バームクーヘンで知られるクラブハリエが手がける「近江八幡日牟禮(おうみはちまんひむれ)ヴィレッジ」や、「和菓子のたねや日牟禮乃舍(ひむれのや)」なども、ぜひ訪れたい有名店です。
歴史深く、日本の良さがぎゅっと集まる近江八幡市。人が多すぎず、比較的静かなのも魅力です。「近江八幡まちや倶楽部」に泊まって、町の歴史や文化などとともに、アート作品やショップなどから若い世代の新たな動きも感じてみてください。日帰りではなかなか味わえない、近江八幡市の奥深い魅力にふれる1泊2日を過ごしてみてはいかがでしょうか。
■近江八幡まちや倶楽部(おうみはちまんまちやくらぶ)
住所:滋賀県近江八幡市仲屋町中21
TEL:0748-32-4654
料金:1名2万2420円~(本館・安土の間1泊1名1室利用時、朝食付き)、1名1万9720円〜(本館・安土の間1泊1名1室利用時、素泊まり)
1名1万6300円〜(本館・安土の間1泊2名1室利用時、朝食付き)、1名1万3600円~(本館・安土の間1泊2名1室利用時、素泊まり)
※すべてサービス料込
チェックイン:15~18時
チェックアウト:~10時
定休日:無休
アクセス:JR近江八幡駅から近江八幡鉄道バス長命寺線で6分、バス停八幡堀(大杉町)八幡山ロープウェー口下車、徒歩2分。またはタクシーで7分。または徒歩30分
予約:公式サイト、または電話で前日の12時まで
※「安土の間」は手すりなどの仕様上、未就学児の宿泊は不可
■おすすめの利用シーン:レトロな町家に泊まりたいとき、ひとりでふらっと旅したいとき、日本の地方のよさにふれたいとき
Text:こばやしみもざ
Photo:大﨑俊典
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
●「Instagram」は、米国およびその他の国におけるMeta Platforms, Incの商標です。