
週末は一般のカフェ利用もOK! 地域と人をつなぐ会員制のくつろぎや交流の場「小杉湯となり」へ
JR高円寺駅から徒歩約5分。銭湯好きから熱い支持を集める都内屈指の有名銭湯「小杉湯(こすぎゆ)」の隣にたたずむのが、「小杉湯となり(こすぎゆとなり)」です。「小杉湯となり」は「小杉湯」とは独立した施設で、もともと風呂なしアパートだった建物をリノベーションして2020年に完成した会員制シェアスペース。土・日曜はカフェとして開放され、会員でなくても利用できます。
「おもしろい“居場所”をつくりたい」と誕生
昭和の面影を残しつつも若者や観光客で賑わう、東京・高円寺の顔ともいえる商店街の「高円寺純情商店街」。そこを抜け、昭和8年(1933)に建てられた木造の宮造り様式が風情ある「小杉湯」のすぐ「となり」にあるのが、今回ご紹介する「小杉湯となり」です。高円寺駅から徒歩5分ほどに位置します。平日は会員制のシェアコミュニティスペースとして活用されていますが、非会員でも1時間から利用できます。
会員費は、1カ月使い放題で2万2000円。小杉湯の銭湯券も10枚ついているため、気軽にひと風呂浴びに行くこともできます。ドロップインの1日利用は銭湯券付きで3850円、1時間利用は1100円です。
現在は、20~30代を中心に10代から60代まで幅広い年齢層の60人ほどの会員がいるそう。仕事だけでなく、趣味や交流などさまざまな目的で利用できるため、コワーキングスペースというより、みんなが気軽に集まれるコミュニティスペースとして親しまれている場所です。まずはドロップインで体験してから会員になる人も多いそうです。
この場所には、もともと「小杉湯」が経営する風呂なしアパートがありました。老朽化により解体が決まったのち、「小杉湯のとなり」という立地を生かして、2020年にシェアスペースとして生まれ変わりました。
オープンから5年が経った現在は会員が集うシェアスペースとしてだけでなく、イベントスペースとしても活用。土・日曜には会員以外もカフェとして利用できます。地域や世代を超えて、人が自然に集まる場所へと発展しています。
地域や人とつながるコミュニティスペース
「小杉湯となり」の建物は3階建て。入り口で靴を脱いで上がるスタイルで、まるで自分の家に帰ってきたかのような安心感があります。
1階はキッチンやリビングのような空間で、食事をしたりイベントが開催されたりするスペース。土・日曜限定の一般のカフェ利用もこの場所です。2階は畳敷きのシェアスペースで、読書や作業、ちょっとした打ち合わせにぴったり。3階は会員限定の予約制貸切スペースとなっており、ミーティングやイベントなど多目的に活用できます。
まずは2階へ。広々とした畳の小上がりでは、ノートパソコンを開いて黙々と作業する人もいれば、友人とおしゃべりを楽しむ人も。複合機の貸し出しもあり、ワークスペースとしても活用できます。
靴を脱いで畳に腰を下ろせば、木の温もりとやわらかな光に包まれる、心地よい空間。窓から差し込む自然光がやさしく、読書や打ち合わせなど、思い思いに過ごせます。初めて訪れた人でもつい長居してしまうほどの魅力です。
なお、2階での飲食は乾き物と飲み物のみ可能です(乾き物については持ち込み可)。
2階には「となりの本屋」とよばれるコーナーも。ここには、「小杉湯となり」を運営する「銭湯ぐらし」のメンバーや、近隣のお店・住人たちが持ち寄った書籍やマンガがずらりと並んでいます。
銭湯や街づくり、建築デザインに関する本から、思わず夢中になってしまうマンガまで、個性豊かなラインナップ。気軽に手に取れるので、新しい発見や出合いを楽しむことができます。さらにボードゲームも置かれており、本に囲まれながら遊んだり語り合ったりと、多彩な過ごし方ができるのも魅力です。
窓際からは、隣にある「小杉湯」を望むことができます。読書や作業の合間にふと視線を向けると、風情ある宮造りの建物が目に入り、ゆったりとした時間の流れを感じられるはず。
平日の銭湯営業前には窓が開け放たれるため、浴場のシンボルである富士山のペンキ絵がのぞけることも。ここでしか味わえない特別な景色です。
こちらは3階。会員限定・予約制のプライベートスペースで、1時間につき1組ずつ利用できます。
少人数でのミーティングはもちろん、貸切イベントや撮影など、多目的に活用可能。筋トレや楽器の練習に使う人もいるそう(防音ではないため周囲への配慮は必要)。アイデア次第でさまざまな使い方ができる空間です。
3階のベランダにはハンモックが設置されており、風に揺られながら眺める景色は格別。まるで友人の家に遊びに来たようなリラックス感に包まれます。思わず「ただいま」と口にしたくなるような、あたたかな居場所です。
土・日曜はカフェとして軽食も食べられる
土・日曜の9時30分~13時は、1階を喫茶スペースとして開放。キッチンには会員がシェアできる冷蔵庫もあります。
平日はイベントやワークショップの会場としても活用され、地域の交流拠点としての役割も担っています。また、定休日(木曜)限定で、間貸しもスタート。企業の採用イベントや社員研修、ZINEの即売会や小さな個展など、さまざまな活用ができます。
1階のあちこちには掲示板やポスターが設置され、訪れた人同士の交流のきっかけに。近隣のおすすめスポットマップもあり、思わぬ発見を楽しむこともできます。会員同士で「好き」を共有する「部活」の募集などもあり、会員になると参加可能です。
1階には物販スペースがあり、スタッフおすすめの本や雑貨が所狭しと並んでいます。訪れるたびに新しい発見やお気に入りに出合えるのも、「小杉湯となり」ならではの楽しみです。
土日限定カフェの人気メニューは、定番の「ピザトースト」と「珈琲牛乳」。この「珈琲牛乳」には、スタッフの親戚が営んでいるという、福岡の「Sleep Coffee Roaster(すりーぷ こーひー ろーすたー)」のコーヒーシロップが使われています。
ドリンクは種類豊富で、なかでも日本各地で作られるクラフトコーラは、日本各地の銘柄を厳選した架空のクラフトコーラ屋「CLAFT COLA hour」から、季節に合わせて数種類セレクトし販売。珍しいクラフトコーラも多く、ソーダ割以外にも牛乳割・アルコール割でも楽しめます(テイクアウトも可能)。
さらに、時期によっては「小杉湯」の常連さんが地方移住後に作り始めたというアイスクリームも味わえたりと、「小杉湯となり」ならではの、ストーリーを感じられるラインナップとなっています。
2階は非会員でもドロップインで利用可能。1階のカフェで購入したドリンクを片手に、2階でゆったりと作業や読書を楽しめます(トーストの持ち込みは不可)。
1階でのおすすめは、隣のコインランドリーの壁に描かれたペインティングを眺められるカウンター席。かわいらしいドローイングを背景に、フォトジェニックな写真が撮れます。アートな雰囲気と日常の風景が溶け合うこの席は、思わずシャッターを切りたくなるスポットです。
会員になればお風呂に入れるチケットも付き、銭湯とコミュニティスペースの両方をぜいたくに楽しめます。
くつろぎのスペースやアート、交流のきっかけまで揃った特別な居場所、「小杉湯となり」。一人で集中したい人も、誰かと交流したい人も、みんなが過ごしやすいように工夫されているのも魅力です。まずはドロップイン利用で、その居心地を体感してみてはいかがでしょうか。
■「小杉湯となり(こすぎゆとなり)」
住所:東京都杉並区高円寺北3-32-16-2
営業時間:9~22時(カフェ利用は土・日曜の9時30分~13時)
定休日:木曜
Text:松崎愛香
Photo:yoko
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