国境を越えて・祈り

リン・シュンロン「国境を越えて・祈り」 ※画像転載不可

【香川・豊島】「瀬戸内国際芸術祭2025」の期間中も後も楽しめる! 豊島で人気の常設アート作品

アート 芸術 おでかけ 香川県
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瀬戸内の島々で今や定番となった「現代アート鑑賞」ですが、今回はそのなかで2010年に「瀬戸内国際芸術祭」の会場となって以降、多くの観光客がアートを目当てに訪れる豊島(てしま)を紹介。「瀬戸内国際芸術祭2025」の期間中はもちろん、それ以外の期間でも鑑賞できる常設作品が、じつはたくさんあります! また豊島は、稲作や漁業が盛んだったことから島名が付くほど「食」が豊か。アート鑑賞に加え、「食」や穏やかな島風景をたっぷり楽しんでください。※「瀬戸内国際芸術祭2025」夏会期~2025年8月31日、秋会期10月3日~11月9日。

Summary

豊島へのアクセス、島内での動き方は?

豊島フェリー
「豊島フェリー」の高速船

豊島へのアクセスは、まず船で豊島の「家浦港」を目指します。

■高松港(香川県から)→「豊島フェリー」の高速船で約35分(直島経由の場合50分)。1日3~5便。
■宇野港(岡山県から)→「小豆島豊島フェリー」の旅客船で約25分、フェリーで約40分。1日に7~8便

※「瀬戸内国際芸術祭2025」開催中は臨時ダイヤになるので、要注意。
※豊島美術館が休館日(通常火曜、12~2月は火~木曜)は、それに合わせてダイヤが変更される場合があります。
※豊島の唐櫃(からと)港を使う方法もあります。

四国汽船
「小豆島豊島フェリー」の旅客船
四国汽船
「小豆島豊島フェリー」旅客船の切符

本州側から行く場合は、岡山県のJR宇野港駅から徒歩5分の「宇野港」へ。そこから「小豆島豊島フェリー」の旅客船に乗り、約25分のプチ船旅を楽しみます。

四国汽船

波がほぼない、穏やかな瀬戸内海の景色を眺めれば、早速旅気分に満たされること間違いなし!

家浦港
「家浦港」

「家浦港」に着いたら町営バスかレンタサイクルで移動します。町営バスは「瀬戸内国際芸術祭2025」期間中は増便されますが、通常は、家浦港⇔唐櫃港は1日7便、家浦港⇔甲生集会場前は1日4便と少なめなので、レンタサイクルがおすすめです。

土庄町電動レンタサイクル
「土庄町電動レンタサイクル」1日 2000円(9~17時)

「家浦港」に併設された「土庄町(とのしょうちょう)電動レンタサイクル」では、電動のレンタサイクルを用意。豊島は坂道が多いのですが、電動だと楽々移動できます!

2025年夏、台湾出身アーティストの新作が海辺に登場

国境を越えて・祈り
リン・シュンロン「国境を越えて・祈り」 ※画像転載不可

豊島でまず見てほしいのが、「瀬戸内国際芸術祭2025」の夏会期から登場し、終了後も鑑賞できる台湾出身のアーティストのリン・シュンロンの屋外作品。約200体の子どもの像がいろいろな方向を向いて手を組み、目を閉じて世界平和と自分たちの未来、幸福、平穏を祈るさまを表現しています。

国境を越えて・祈り
リン・シュンロン「国境を越えて・祈り」 ※画像転載不可

作品の場所は、豊島南側・甲生(こう)地区の海辺に広がる人工の砂浜。リン・シュンロンは現在の社会問題や事件を振り返り、自分ごととして捉える作品を制作しており、今回は戦争・内乱などで不安定な世界情勢のなか、無垢な表情で祈りをささげる子どもたちを作品にしました。

国境を越えて・祈り
リン・シュンロン「国境を越えて・祈り」 ※画像転載不可

「瀬戸内国際芸術祭2016」では、小豆島で砂を使って制作されましたが、今回の素材は陶器。髪やTシャツ、ズボンの裾が潮風になびいているように見え、陶器だということを忘れてしまいそうです。

国境を越えて・祈り
リン・シュンロン「国境を越えて・祈り」 ※画像転載不可

胸に個々で異なる数字が書かれているのに気づきましたか? この場所から各国の首都までの距離(km)を表しています。また一見ランダムに見える体の向きも、その首都がある方角に向いているそう。例えば、上の写真の「536」は、536km先の東京都を指しています。

国境を越えて・祈り
リン・シュンロン「国境を越えて・祈り」 ※画像転載不可

また、背中の数字は、その首都の緯度と経度を表しています。写真の右側は東京のものです。

国境を越えて・祈り

作品の周辺に柵はなく、砂浜の中に入って鑑賞することができるので、ぜひ近づいて鑑賞を。また、すぐ近くにベンチが4つあるので、背景の景色と一体化した作品がメッセージとなって、世界へ向けてエネルギーを発しているさまを感じてみてください。

■国境を越えて・祈り(こっきょうをこえて いのり)
住所:香川県小豆郡土庄町豊島甲生831-2
TEL:087-813-2244(瀬戸内国際芸術祭総合案内所)
鑑賞料金・時間・定休日:鑑賞自由
アクセス:バス停「甲生集会所前」から徒歩5分

海を夢見る人々の場所
ヘザー・B・スワン+ノンダ・カサリディス「海を夢見る人々の場所」 ※画像転載不可

「国境を越えて・祈り」のすぐ隣の砂浜にも、「瀬戸内国際芸術祭2022」から登場した椅子のような屋外作品があります。オーストラリアを代表する現代美術家と建築家のユニットが手がけ、漁網や流木を思わせる質感が鉄鍛造によって表現されています。この砂浜を訪れた人は誰でも、実際に腰かけて海や空を感じながら思考を浮遊させることができます。

■海を夢見る人々の場所(うみをゆめみるひとびとのばしょ)
住所:香川県小豆郡土庄町豊島甲生
TEL:087-813-2244(瀬戸内国際芸術祭総合案内所)
鑑賞料金・時間・定休日:鑑賞自由
アクセス:バス停甲生集会所前から徒歩5分

代表的な「豊島美術館」など、4つの常設作品もぜひ

豊島美術館
「豊島美術館」 写真:森川 昇 ※画像転載不可

次に豊島では外せない「豊島美術館」をはじめ、見ごたえのある常設のアートスポットをご紹介します。

2010年に誕生して以来、豊島を代表する「豊島美術館」。アーティスト・内藤 礼と建築家・西沢立衛が手がけ、一見瀬戸内海を望む小高い丘に埋没しているかのよう。一滴の雫のような形をした、広さ40×60m、最高4.5mのワンルームで、天井にある2カ所の開口部からは、風や音、光を内部に取り込んでいます。また、内部では小さな「泉」が誕生。自然とアート、建築が絶妙に調和した作品です。

■豊島美術館(てしまびじゅつかん)
住所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃607
TEL: 0879-68-3555
鑑賞料金:オンライン1800円、窓口2000円 ※15歳以下無料
時間・定休日:「ベネッセアートサイト直島」の公式WEB サイトで要確認
アクセス:バス停豊島美術館前から徒歩2分
※予約推奨。時間毎に定員あり。

心臓音のアーカイブ
クリスチャン・ボルタンスキー「心臓音のアーカイブ」 写真:久家靖秀 ※画像転載不可

フランスを代表するアーティストであるクリスチャン・ボルタンスキーが集めた、世界中の人々の心臓音を聴くことができる、小さな美術館。島の南側にある王子ケ浜にポツンと立っています。生と死の対象性や個々の固有性、記憶のはかなさをテーマとし、希望者は自らの心臓音を採録し、作品の一部にすることもできます。

■心臓音のアーカイブ(しんぞうおんのアーカイブ)
住所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃2801-1
TEL: 0879-68-3555(豊島美術館)
鑑賞料金:オンライン600円、窓口700円 ※15歳以下無料
心臓音の登録料1570円(採録した心臓音は、CDブックレットで持ち帰り可)
時間・定休日:「ベネッセアートサイト直島」の公式WEB サイトで要確認
アクセス:バス停唐櫃港から徒歩15分

豊島横尾館
アーティスト・横尾忠則、建築家・永山祐子「豊島横尾館」 写真:山本糾 ※画像転載不可

築約100年とされる古民家を改装した美術館は、アーティスト・横尾忠則と、建築家・永山祐子によるもの。平面作品11点を展示するほか、庭や高さ14mの円塔、トイレに至るまで横尾のインスタレーションが展開され、テーマである「生と死」を想起させる哲学的な場に。赤・黒・透明のガラス使いも巧みで、光とガラスの反射が作品空間にコラージュされ、一期一会の風景を作っています。

■豊島横尾館(てしまよこおかん)
住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦2359
TEL:0879-68-3555(豊島美術館)
鑑賞料金:オンライン600円、窓口700円 ※15歳以下無料
時間・定休日:「ベネッセアートサイト直島」の公式WEB サイトで要確認
アクセス:家浦港から徒歩10分

針工場
大竹伸朗「針工場」 写真:宮脇慎太郎 ※画像転載不可

昭和の終わりに閉鎖されたメリヤス針の製造工場跡に、宇和島の造船所で約30年間放置されてきた鯛網漁船の約17mの木型を展示した、大竹伸朗いわく「究極のコラージュ」。余計なことをせず、ただ組わせることで強い生命力が感じられる新たな磁場を生み出しています。

■針工場(はりこうば)
住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦中村1841-2
TEL:0879-68-3555(豊島美術館)
鑑賞料金:500円 ※15歳以下無料
時間・ 定休日:「ベネッセアートサイト直島」の公式WEBサイトで要確認
アクセス:家浦港から徒歩10分

島の豊かな自然に溶け込む屋外の常設作品など、まだある!

豊島には、常設のアート作品はまだまだあります。島の風景に溶け込む、すてきな屋外作品もあるので、ぜひ訪ねてみて。

勝者はいないーマルチ・バスケットボール
イオベット&ポンズ「勝者はいないーマルチ・バスケットボール」 ※画像転載不可

「瀬戸内国際芸術祭2013」から設置された、スペインのアートユニットによる作品。豊島の形をしたボードに6つのリングが設けられ、ボールも用意されており、鑑賞者は個々のルールで自由にバスケットボールを楽しむことができます。

■「勝者はいない━マルチ・バスケットボール」(しょうしゃはいない まるち ばすけっとぼーる)
住所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃2614
TEL:087-813-2244(瀬戸内国際芸術祭総合案内所)
鑑賞料金・時間・定休日:鑑賞自由
アクセス:バス停「唐櫃港」から徒歩5分

空の粒子/唐櫃
青木野枝「空の粒子/唐櫃」 ※画像転載不可

こちらは工業用の鉄板を切り出し、溶接した彫刻を多く手がける青木野枝の作品。空に舞う粒子を模して円形の彫刻をつなぎ合わせ、貯水タンクを囲んで設置しています。「唐櫃岡の清水」とよばれる湧水スポットで、水の流れる音とともに楽しみます。「瀬戸内国際芸術祭2010」で、かつてのにぎわいを取り戻すプロジェクトとして生まれた作品です。

■「空の粒子/唐櫃」(そらのりゅうし からと)
住所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃
TEL:087-813-2244(瀬戸内国際芸術祭総合案内所)
鑑賞料金・時間・定休日:鑑賞自由
アクセス:バス停「清水前」からすぐ

ピピロッティ・リスト「あなたの最初の色〈私の頭の中の解―私の胃の中の溶液〉
ピピロッティ・リスト「あなたの最初の色〈私の頭の中の解(ソリューション)―私の胃の中の溶液(ソリューション)〉」 撮影:中村 修 ※画像転載不可

「瀬戸内国際芸術祭2011」で誕生した、スイス出身のピピロッティ・リストの作品。蔵の天井に円形のスクリーンを設け、チューリップなどの花や動物、女性、風景などカラフルな映像を映し出し、音楽をともに鑑賞者を幸福感で包み込みます。

■「あなたの最初の色<私の頭の中の解(ソリューション)━私の胃の中の溶液(ソリューション)>」
(あなたのさいしょのいろ わたしのあたまのなかのかい(そりゅーしょん) わたしのいのなかのようえき (そりゅーしょん)

住所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃1062
TEL:087-813-2244(瀬戸内国際芸術祭総合案内所)
鑑賞料金:500円 ※15歳以下無料
時間:9時30分~16時30分(「瀬戸内国際芸術祭2025」以外は10時30分~)
定休日:瀬戸内国際芸術祭の公式WEBサイトの開館カレンダーを要確認。
アクセス:バス停「唐櫃集会所前」から徒歩3分

ささやきの森
クリスチャン・ボルタンスキー「ささやきの森」 写真: 市川靖史 ※画像転載不可

壇山の中腹で、長い棒の先に付けられた700を超える風鈴が音を奏でる、クリスチャン・ボルタンスキーによるインスタレーション。風鈴の短冊には訪れた人の大切な人の名前が書かれ、新たに名前を残すこともできます。集落から離れた森のなかを歩くため、歩きやすい靴でぜひ。

■ささやきの森(ささやきのもり)
住所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃1771
TEL:0879-68-3555(豊島美術館)
鑑賞料金:無料、登録料5000円
時間・定休日:「ベネッセアートサイト直島」の公式WEB サイトで要確認
アクセス:バス停「唐櫃岡集会所前」から徒歩25分
※短冊の登録は「心臓音のアーカイブ」で受付。

フラワー
ジョゼ・デ・ギマランイス 「フラワー」 撮影:中村 修 ※画像転載不可

豊島の家浦をはじめ、直島や男木島、女木島、小豆島で設置されている観光案内版も、ポルトガル生まれの作家の作品。各島の特徴を描いた絵画と、カラフルなオブジェを組み合わせているので、チェックしてみて。

■「フラワー」(ふらわー)
住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦 ほか
TEL:087-813-2244(瀬戸内国際芸術祭総合案内所)
鑑賞料金・時間・定休日:鑑賞自由
アクセス:家浦港からすぐ ほか

常設のアート作品「島キッチン」でのランチは必須!

島キッチン
「島キッチン」 撮影:中村 修 ※画像転載不可

「島キッチン」は、「瀬戸内国際芸術祭 2010」で建築家の安部 良さんが空き家を再生させた、建物自体が作品でもあるレストランです。テラスでは、その月に誕生日を迎える方々をお祝いする「島のお誕生会」が開催され、豊島のみなさんと観光客をつなぐ場所でもあります。

島キッチン
「島キッチンセット」 写真:yumomin ※画像転載不可

ランチは地元の魚と野菜を使った日替わりの「島キッチンセット」1760円がおすすめで、「島野菜添えキーマカレーセット」1760円もあります。東京・丸ノ内ホテルのシェフのアドバイスのもと、地元のお母さんたちが豊島や香川の豊かな食材で作ったランチやデザートをぜひ味わってみてください。

■島キッチン(しまきっちん)
住所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃1061
TEL:0879−68−3771
時間:11~16時(食事14時LO、ドリンク15時30分LO)
定休日:火~金曜(祝日の場合は営業。また月曜が祝日の場合、翌火曜は営業。詳しくは公式WEBサイトの営業日カレンダーを要確認。「瀬戸内国際芸術祭2025」期間中は火曜のみ休)
アクセス:バス停「清水前」、または「唐櫃岡集会所前」から徒歩3分
※2日前までに予約するとスムーズ。

豊島
家浦港から「豊島美術館」へ向かう坂道
豊島
「豊島美術館」から「心臓音のアーカイブ」へ向かう途中にあるミラー

「瀬戸内国際芸術祭2025」期間中はもちろん、その期間外でも存分にアートや地元グルメが楽しめる豊島。電動自転車で島を巡ると、気持ちのいい坂道や、海を背景にした“双子ミラー”のある人気のフォトスポットにも出合います。ぜひ島ならではの風景を探して、島めぐりを楽しんでみてはいかがでしょうか。


Text:こばやしみもざ
Photo:公益財団法人 福武財団、株式会社ベネッセホールディングス、瀬戸内国際芸術祭実行委員会事務局、こばやしみもざ

●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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