
【群馬・栃木】風に吹かれながら気分も爽快! 「トロッコわっしー号」で、わたらせ渓谷鐡道の旅
緑豊かな山あいを流れ、渡良瀬川に沿って走る「わたらせ渓谷鐵道(わたらせけいこくてつどう)」。この鉄道は四季折々の景観を楽しめる北関東の観光スポットとして知られています。とくに、紅葉シーズンは沿線の紅葉は見事! 今回は、人気の観光列車「トロッコわっしー号」の魅力と、周辺エリアのおすすめ観光スポットをご案内します。
絶景と産業遺産で、ドキドキの1時間30分
栃木県、群馬県、埼玉県、茨城県を流れる渡良瀬川(わたらせがわ)。その渡良瀬川に沿うように走るのが「わたらせ渓谷鐵道」。この通称「わ鐵(わてつ)」は、沿線住民の足として普通列車と観光列車の二本立て。一部の列車を除き、JR両毛線の乗り入れる桐生駅(群馬県)と、JR・東武日光駅(栃木県)まで約35分でバス移動ができる間藤駅(まとうえき)の全線をむすび、アクセスのよさが魅力です。
しかも春は桜、夏は青々と茂る緑、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の風景を楽しめるため、全国からおおぜいの観光客が訪れています。
旧名を足尾線という「わたらせ渓谷線」は、明治~昭和にかけて日本の産業を支えた足尾銅山(あしおどうざん)で産出された銅を輸送するために敷かれました。沿線には足尾銅山の産業遺産がいくつも残されています。
この鉄道の全線開通は大正3年(1914)。山あいを流れる渡良瀬川に沿うように線路が敷かれているのは、当時、橋梁建造やトンネル掘削技術が進んでいなかったためだとか。逆に、そのおかげでトンネルの数が少なく、長いトンネルは全長5242mの草木トンネルぐらいです。開通から100年を超える鉄道だからこそ味わえる風景を堪能できるのが、「わ鐵」の大きな特徴です。
今回は、この観光列車の魅力をたっぷりお伝えするとともに、周辺エリアのおすすめ観光スポットも合わせてご紹介します。
春から秋は窓ガラスを外したオープンタイプに
「わたらせ渓谷鐵道」の観光列車は、「トロッコわっしー号」「トロッコわたらせ渓谷号」の2種類あります。このうち桐生駅から間藤駅までの全線を走る「トロッコわっしー号」は、JR桐生駅直結の1番線ホームで乗降できるので、首都圏からのアクセスがとても楽です。
この「トロッコわっしー号」は春から秋は窓ガラスを外したオープンタイプ。1両編成が基本で、旅行会社のツアー客などの予約があるときは車両が追加されるようになっています。
列車は「わたらせ渓谷鐵道」のキャラクター「わ鐵のわっしー」をモチーフにデザイン。木製ボックスシートは全52席あり、自由席です。運転席の右側に子ども用のダミー運転台、サービスカウンター、バリアフリートイレもあり、誰でも楽に旅を楽しめそうです。
そして、何よりもうれしいのが、目の前に紅葉や桜の花が迫り、眼下には渡良瀬川…風を受けて自然と一体になった気分を味わえること。ガタゴトとのんびり、ハイキング気分でトロッコ列車の旅を!
沿線駅で途中下車してのんびり旅
「トロッコわっしー号」は、桜や花桃の名所も走ります。その中でも花桃の名所として知られる神戸駅では、毎年3月下旬から4月上旬には約300本の花桃が咲き誇ります。
その駅舎に隣接するのが「列車のレストラン清流」。このレストランは、かつて東武日光線を走っていた特急「けごん」の車体を利用したもので、食堂車のような雰囲気を楽しめます。
地元の特産品を使ったオリジナル弁当の「トロッコ弁当」や「やまと豚弁当」もここで製造販売。途中下車をすると、移動手段は通常の普通車を利用することになりますが、それもまた、「わたらせ渓谷鐵道」の楽しみ方のひとつ。ぜひ、立ち寄ってみてはいかがでしょう。
足尾銅山の坑内探索は通洞駅で途中下車
「わたらせ渓谷鐵道」の旅では、立ち寄りたい歴史的遺産がたくさんあります。たとえば、「足尾銅山(あしおどうざん)」。この銅山は江戸幕府直轄の銅山として栄え、明治以降は昭和48年(1973)に閉山するまで現在の古河機械金属が運営しました。
通洞駅(つうどうえき)から徒歩約5分の「足尾銅山観光」は、トロッコと徒歩で坑道内を見学できます。数々の資料や鉱員を模したリアルな人形などが展示され、当時の銅山の世界へとタイムトリップ。わくわくの体験ができます!
■足尾銅山観光(あしおどうざんかんこう)
住所:栃木県日光市足尾町通洞9-2
TEL:0288-93-3240
営業時間:9~17時(入館16時15分まで)
定休日:無休
料金:830円
美しい洋館のたたずまいに感動!
江戸時代から掘られてきた足尾銅山は、明治~昭和初期が全盛期。戦前まで日本には財閥が存在し、古河財閥もそのひとつです。当時の多くの財閥には資金力があり、従業員向けの保養施設なども数多く保有していました。
「古河掛水倶楽部(ふるかわかけみずくらぶ)」は、当時の古河鉱業の迎賓館で、現在は国の登録有形文化財に指定されています。建物外観だけでなく、調度類も展示されているので、ぜひ、立ち寄ってみては?
■古河掛水倶楽部(ふるかわかけみずくらぶ)
住所: 栃木県日光市足尾町掛水渡良瀬橋
TEL:0288-93-2015
営業時間:10時~15時30分(入館14時45分まで)
定休日:月~金 ※土・日曜,祝日のみ営業
定休日:月~金曜、12~3月
料金:500円
■わたらせ渓谷鉄道 「トロッコわっしー号」
(わたらせけいこくてつどう とろっこわっしーごう)
運転区間:桐生駅~間藤駅
TEL:0277-73-2110(わたらせ渓谷鐵道本社)
運転日:土・日曜、祝日(3月、4月、10月・11月は平日も運転、要確認)、1日2往復(冬期1往復)
料金:乗車券1130円+トロッコ整理券520円(乗車区間により乗車料金は異なる)
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2025年9月26日発行
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●この記事は『観光列車の旅 25プラン』(2025年9月26日発行)に掲載した記事をもとに作成しています。