浴衣男女後ろ姿

浴衣の着方|「右前」基本ルールから帯結びまで

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浴衣の正しい着方を知っていますか? 浴衣の着方をマスターしておけば、夏祭りや花火大会、温泉旅行などでも手軽に美しい和装を楽しめます。今回は、浴衣の着方について、男女別の着付け手順や帯の結び方について解説。温泉旅館でのマナーや着崩れの直し方も含めて解説しているのでぜひ最後までチェックしてみてくださいね。

Summary

浴衣の着方の基本知識

浴衣女性

浴衣の着方を覚える前に知っておきたい、基本的な知識をご紹介します。
浴衣と着物の違いを理解し、必要なアイテムを準備することで、スムーズに着付けができるようになります。また、着方の基本ルールである「右前」の原則も重要なポイントです。
それぞれ詳しくみていきましょう。

浴衣と着物の違い

まずは浴衣と着物の違いをチェック。
最も大きな違いは、着用する季節と素材です。浴衣は夏に着る薄手の木綿や麻でできた衣服で、もともとは湯上りに着るものでした。一方、着物は1年を通して着用でき、絹などの高級素材で作られています。
下記の表で詳しい違いを見てみましょう。

着物との違い

浴衣の着方は着物よりもシンプルで、初心者でも挑戦しやすいのが特徴です。

用意するもの一覧

浴衣を美しく着るために、下記のアイテムを用意しましょう。

【必須アイテム】
・浴衣本体
・帯または半幅帯(はんはばおび)
・腰紐(2本)
・胸紐(1本)
・伊達締め(1本)

【あると便利なアイテム】
・肌襦袢(はだじゅばん):汗取り・透け防止
・和装ブラジャー:美しいシルエット作り
・腰パッド:補正用
・コーリンベルト:着崩れ防止

【小物・履物】
・下駄または草履
・足袋(履く場合)
・巾着やかごバッグ
・扇子
・髪飾り

基本的には必須アイテムがあれば浴衣を着ることができますが、補正用アイテムがあるとより美しい仕上がりになります。

浴衣の基本ルール「右前」

浴衣イラスト

浴衣の着方で最も重要なのが「右前」。
自分から見て右の衿を体に当て、その上に左の衿を重ねます(相手から見ると左衿が上になります)。
一方、左前は故人の着せ方とされるため、日常の着付けでは必ず右前を守るのが基本です。

女性の浴衣の着方【6ステップ】

浴衣

浴衣は着物よりもシンプルですが、美しく着るためには基本的な6つのステップに沿って進めましょう。手順を間違えると着崩れの原因になったり、不自然なシルエットになってしまったりします。

●ステップ1:浴衣を羽織る
●ステップ2:着丈を決める
●ステップ3:腰紐を結ぶ
●ステップ4:おはしょりを整える
●ステップ5:胸紐を結ぶ
●ステップ6:伊達締めで形を整える

この手順を正しく行えば、初心者でも美しく浴衣を着ることができます。
それぞれのステップには大切なポイントがあるので、詳しく説明していきます。

ステップ 1:浴衣を羽織る

まず浴衣を肩に掛け、背中の中心線を体の真ん中に合わせます。
浴衣を羽織ったら、背中心(背中の縫い目)がずれていないか確認しましょう。背中心がずれると全体のバランスが悪くなります。
次に右の衿を先に体に当て、その上に左の衿を重ねます。これが「右前」のルールです。衿元は首にぴったりつけず、首の後ろを少し開けた状態にします。
この首の後ろを開けることを「衣紋(えもん)を抜く」と言います。この時点では軽く合わせるだけで大丈夫です。

ステップ2:着丈を決める

浴衣の長さを調整して、美しく見える着丈を決めます。
着丈は足首が隠れるか、少し見える程度が一般的です。身長に対して浴衣が長い場合は、腰の部分で長さを調整します。
両手で衿を持ち、浴衣全体を持ち上げて適切な長さにします。腰の部分に余った布がたるんでも問題ありません。このたるみがステップ4で「おはしょり」という美しい部分になります。

ステップ3:腰紐を結ぶ

画像:illust AC

決めた着丈を固定するため、腰紐を結びます。
腰紐は腰骨の少し上に巻きます。高すぎると苦しく、低すぎると着崩れします。紐を体に巻いて前で交差させ、後ろに回してから前で結びます。
結び方は蝶々結びではなく、片結び(一重結び)でOK。片結びとは、紐を一回だけ結ぶ結び方のことで、蝶々結びのように輪を作らない簡単な結び方です。

着付けイラスト

紐の端は浴衣の中に隠します。この腰紐が浴衣の基本の形を決めるため、しっかり結ぶことが大切です。

ステップ4:おはしょりを整える

着付けイラスト 2

腰紐の下にできたたるみ「おはしょり」を美しく整えます。
おはしょりとは腰の部分にできる布のたるみです。この部分を均一に整えると浴衣全体が美しく見えます。理想的な長さは7~8センチです。
左右の脇から手を入れて、内側の布を均等に広げます。背中側も同じように整え、おはしょりが一直線になるようにします。前の衿合わせも確認し、左の衿が上になっているかチェックしましょう。

ステップ5:胸紐を結ぶ

着付けイラスト 3

上半身を安定させるため、胸の下に胸紐を結びます。
胸紐は胸の下(アンダーバスト)の位置に巻きます。この位置に紐があることで衿元が崩れにくくなります。紐を巻く前に衿合わせを再確認します。
胸紐も腰紐と同じように前で交差させ、後ろに回してから前で結びます。きつく結びすぎると苦しいので、適度な締め具合にしましょう。これで上半身がしっかり固定されます。

ステップ6:伊達締めで形を整える

着付けイラスト 4

最後に伊達締めを巻いて、浴衣全体を完成させます。
伊達締めは胸紐の上から巻く幅広の帯です。マジックテープ式のものが初心者には使いやすくおすすめです。巻く前に衿元とおはしょりを最終確認します。
伊達締めは胸の下からみぞおちあたりに巻き、前でしっかり留めます。おはしょりが隠れないよう注意しましょう。全体を鏡で確認し、必要があれば微調整して完成です。

全体を鏡で確認して、必要があれば微調整してバランスを見てみましょう。
最後に帯を締めて完成です。帯の締め方は「浴衣の帯の結び方」を参考に選んでみましょう。

男性の浴衣の着方

浴衣の男性

男性の浴衣の着方は、女性よりもシンプルで覚えやすいです。

・男性浴衣の手順
・女性との違いポイント
それぞれ詳しく説明していきます。

男性浴衣の手順

男性の浴衣は4つのステップで着られます。
女性の浴衣と比べて工程が少なく、おはしょりを作る必要がないため、シンプルな手順で美しく着ることができます。
下記の4つのステップを順番に進めていきましょう。

ステップ 1:浴衣を羽織り衿を合わせる

まず浴衣を肩に掛け、背中心を体の中心に合わせます。
浴衣を羽織ったら、背中の縫い目(背中心)が体の真ん中にくるよう調整します。背中心がずれると全体のバランスが悪くなります。
次に「右前」のルールに従って衿を合わせます。右の衿を先に体に当て、その上に左の衿を重ねます。衿元は首の後ろを少し開けますが、女性ほど大きく開ける必要はありません。控えめに開ける程度で十分です。

ステップ 2:着丈を調整する

浴衣の長さを適切な位置に調整します。
男性の理想的な着丈は、くるぶしが隠れる程度です。足首よりも少し長めで、歩いたときに足が見え隠れする長さが美しく見えます。
浴衣が長すぎる場合は、肩の部分で少し持ち上げて調整します。女性のように腰の部分でたるませる必要はありません。購入時に適切な長さにお直しをしておくと、着付けが楽になります。

ステップ3:腰紐を結ぶ

浴衣イラスト(男女)

着丈が決まったら、腰紐で浴衣を固定します。

腰紐は腰骨の位置に巻きます。女性よりも低い位置で、ベルトを締める感覚で結びます。紐を体に巻いて前で交差させ、後ろに回してから前で片結びします。

結び目は体の正面ではなく、少し脇にずらした位置で結ぶとすっきり見えます。紐の端は浴衣の中に隠し、表に出ないようにします。腰紐はしっかりと結び、着崩れを防ぎます。

ステップ4:伊達締めで完成

最後に伊達締めを巻いて全体を固定します。
伊達締めは腰紐の少し上、みぞおちの下あたりに巻きます。マジックテープ式の伊達締めが扱いやすくおすすめ。

伊達締めを巻く前に、衿合わせと全体のシルエットを最終確認します。伊達締めをしっかりと留めたら、鏡で全体をチェックして完成です。男性の浴衣は女性よりもシンプルなため、短時間で美しく着ることができます。

女性との違いポイント
最も大きな違いは「おはしょり」の有無です。女性の浴衣では腰の部分にたるみを作っておはしょりを作りますが、男性の浴衣にはおはしょりがありません。そのため着丈は購入時またはお直しで適切な長さに調整しておく必要があります。

下記の表で主な違いをまとめました。

また、男性の浴衣は衣紋をあまり抜かず、女性よりも控えめにします。帯も腰の低い位置で結ぶため、全体的にすっきりとした印象になります。

浴衣の帯の結び方

浴衣男女後ろ姿 2

帯結びは浴衣の着付けの仕上げ。女性と男性では使用する帯の種類や結び方が異なり、それぞれに適した結び方があります。基本的な結び方を覚えることで、さまざまな場面に応じた浴衣スタイルを楽しめます。

・女性に人気の結び方
・男性の帯結び
それぞれの結び方を詳しく解説していきます。

女性に人気の結び方

女性の浴衣には半幅帯を使用し、後ろで美しい形を作ります。
女性の帯結びは、後ろ姿の美しさを演出する重要な要素です。基本的な結び方から少し応用した結び方まで、さまざまなバリエーションがあります。

下記で代表的な3つの結び方をご紹介します。

文庫結び(基本の帯結び)

帯結びイラスト

文庫結びは女性の浴衣で最も基本的で人気のある結び方です。リボンのような形で、年齢を問わず使えます。

【手順】
1. 帯を体に二重に巻き、前で軽く結んで短い端(手先)を残す。
2. 長い方(たれ)を肩幅くらいに折りたたみ、羽の形を作る。
3. 残しておいた手先で中央を巻き、しっかり固定する。
4. 羽の大きさを整え、全体を背中に回して完成。

羽を大きくすると華やかに、小さめにすると上品に見えます。

片流し結び

帯結びイラスト 2

片流し結びは、大人っぽい上品な印象を与える結び方です。

【手順】
1. 帯を体に二重に巻き、前で軽く結ぶ。
2. 長い方を片側に流すように折り、羽を作る。
3. 手先で中央を結び、流れる方向に形を整える。

羽を斜めに流すことで動きが出て、洗練された雰囲気になります。

貝の口(女性向け)

帯結びイラスト 3

貝の口は男女どちらにも使える実用的な結び方です。シンプルで着崩れにくく、動きやすいのが特徴です。

【手順】
1. 帯を体に二重に巻き、前で交差させる。
2. 短い方を折り返し、長い方で上からしっかり結ぶ。
3. 余った部分を帯の中にしまい、背中に回して形を整える。

活動的に過ごす日や、落ち着いた雰囲気を出したいときにおすすめです。

男性の帯結び

男性の浴衣には角帯を使用し、実用性を重視したシンプルな結び方をします。
男性の帯結びは装飾性よりも実用性を重視します。結び目は体の横や後ろに持ってきて、すっきりとした印象を作ることが大切です。基本的な2つの結び方を覚えておけば、さまざまな場面で対応できます。

下記で代表的な結び方を2つご紹介します。

貝の口結び(男性)

帯結びイラスト 4

最も一般的な男性用の帯結びです。小さくすっきりした結び目で、長時間着ても崩れにくいのが特徴です。

【手順】
1. 角帯を体に二重に巻く。
2. 前で交差させて片結びをし、結び目を横や後ろにずらす。
3. 余った端は帯の中に差し込み、整えて完成。

一文字結び

帯結びイラスト 5

一文字結びは、結び目が水平にまっすぐ見えるシンプルな結び方です。大人っぽい雰囲気を演出できます。

【手順】
1. 帯を二重に巻き、30~40cmほど端(手先)を残す。
2. 長い方を折り返し、帯の中央で水平に整える。
3. 残しておいた手先を中央で結び、余りを帯に差し込む。
4. 結び目を横や背中に回して整え、完成。

結び目を横や背中にずらすと、よりすっきり見えます。

浴衣が着崩れたときの直し方

浴衣姿女性

浴衣を着ていると、時間が経つにつれて着崩れが起こることも。
基本的な直し方を覚えておけば、外出先でも簡単に美しい状態に戻せるので安心です。

・衿元がゆるんだとき
・裾が落ちてきたとき
・帯が緩んだとき
それぞれの対処法を詳しく解説していきます。

衿元がゆるんだとき

着付けイラスト 5

衿元のゆるみは浴衣の着崩れで最も目立ちやすい部分です。
衿元がゆるむと首回りがだらしなく見えてしまいます。この状態を直すには、まず胸紐や伊達締めの締め具合を確認します。
衿合わせを正しい位置に戻し、右の衿を先に体に当ててから左の衿を上に重ねます。衣紋の抜き具合も調整し、首の後ろを適度に開けた状態にします。胸紐が緩んでいる場合は一度解いて結び直し、伊達締めもしっかりと留め直します。

裾が落ちてきたとき

着付けイラスト 6

裾が下がってくると足にまとわりつき、歩きにくくなります。
裾の位置が下がる原因は主に腰紐の緩みです。まず腰紐の締め具合を確認し、必要に応じて結び直します。
女性の場合は、おはしょりの長さも調整します。おはしょりが長くなりすぎていないか確認し、適切な長さに整えます。男性の場合は腰紐の位置を正しい高さに戻し、しっかりと締め直します。裾を適切な長さに調整してから、上から順番に紐を締め直していきます。

帯が緩んだとき

着付けイラスト 7

帯が緩むと全体のシルエットが崩れてしまいます。
帯の緩みは、結び目の緩みが原因であることが多いです。軽い緩みであれば、結び目を軽く締め直すだけで直る場合があります。
帯全体が緩んでいる場合は、一度帯を解いて巻き直す必要があります。この場合、浴衣の着付け自体も一緒に確認し、腰紐や胸紐の締め具合も点検します。帯を巻き直す際は、体にしっかりと密着させながら巻き、結び目もきちんと締めることが大切です。

温泉旅館での浴衣の着方とマナー

浴衣男女

温泉旅館で提供される浴衣には、一般的な浴衣とは異なる着方やマナーがあります。
旅館の浴衣は館内でリラックスして過ごすために用意されており、外出用の浴衣とは着方や着用場面が異なります。正しい着方とマナーを知っておけば、で快適な温泉旅行を楽めます。

・旅館での正しい着方
・館内・食事時の注意点
それぞれ詳しく解説していきます。

旅館での正しい着方

旅館の浴衣は一般的な浴衣よりもシンプルに着られます。
旅館の浴衣には通常、腰紐が付いていない場合が多く、帯だけで着付けを行います。まず浴衣を羽織り、基本の「右前」ルールに従って右の衿を先に体に当て、左の衿を上に重ねます。
着丈は足首が少し見える程度に調整します。男女問わず、おはしょりを作る必要はありません。帯は腰の位置で巻き、前で蝶々結びまたは片結びで結びます。旅館によっては作り帯が用意されている場合もあり、この場合はマジックテープで簡単に装着できます。衿元は首の後ろを少し開け、リラックスできる程度の締め具合に調整します。

館内・食事時の注意点

旅館での浴衣着用には、守るべきマナーがいくつかあります。

【館内での注意点】
・浴衣の上に羽織を着用する
・裾を踏まないよう注意して歩く
・階段では特に足元に気をつける
・衿元が大きく開きすぎないようにする
・温泉から上がった後は体の水分をしっかり拭き取る

【食事時の注意点】
・袖が料理に触れないよう気をつける
・袖を軽く押さえながら食事をする
・品のある着こなしを心がける

特に食事の際やほかの宿泊客と接する場面では、羽織を着用することできちんとした印象に。温泉から上がった後は、浴衣を着る前に体の水分をしっかりと拭き取ることが大切です。

まとめ|正しい浴衣の着方で自信を持って和装を楽しもう

浴衣の着方を正しく覚えておけば、夏のさまざまな場面で美しい和装を楽しめます。
最も重要なのは「右前」のルールを守ることと、適切な着丈に調整することです。帯結びは初心者でも挑戦しやすい基本的な結び方から始めましょう。

着崩れが起きても、衿元、裾、帯の基本的な直し方を覚えておけば、外出先でも美しい状態を保てます。温泉旅館では一般的な浴衣とは異なるマナーがあるため、事前に確認しておくと安心です。
正しい浴衣の着方をマスターして、夏祭りや花火大会、温泉旅行などで素敵な和装を楽しんみてくださね。

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