【大阪】お弁当がもっとおいしくなる!木箱屋の老舗「箱家」へ杉製のお弁当箱を買いに【ご褒美の新定番】
いつもがんばっている自分へのご褒美や大切な人への贈り物に、職人さんが手作りした杉製のお弁当箱はいかが。木が呼吸するように食べ物の水分量を調節してくれ、「お弁当がさらにおいしくなる!」と評判です。ビジュアルも美しく、日常がさらに楽しくなること間違いなし。人気のお弁当箱やそのほかのアイテム、気になるお手入れ用品も合わせてご紹介します。
明治元年大阪江戸堀創業。木箱屋の老舗ヒストリー

明治元年(1868)に初代・笹井常吉が創業した木箱専門店の「箱常」。江戸時代末期には大阪・土佐堀界隈で木箱屋を営み、創業後は大阪で最も古い菓子商といわれる「高岡」や、「虎屋」の職人が開業した「鶴屋八幡」へ菓子箱を納入していたそう。近年では老舗料亭や昆布商に木箱を納入し、大相撲大阪場所の升席や京都の舞踊公演「都をどり」で提供されるお弁当箱も手がけてきました。
時代の流れとともに安価な材料で木箱を大量生産することが求められるなか、五代目の笹井 雅生さんは2018年に「初代が手がけていた“捨てられない箱”に立ち返ろう」とプライベートブランド「箱屋常吉」を立ち上げました。お弁当箱やおひつ、トレーなど台所用品を中心に、職人が手作りした杉製の品々を扱っています。今や手作りの杉製品を扱う店自体も貴重なのだそう。
2023年3月には大阪・谷町六丁目に「アンテナショップ 箱家」がオープン。築約100年の古民家のよさを生かし、現代風に改装した店構えもすてきです。
杉製のお弁当箱と曲げわっぱの違いは?

「箱屋常吉」の主軸であるお弁当箱。その素材や作り方、使い勝手のよさなど五代目の笹井 雅生さんに伺いました。

材料は吉野杉を中心に安全性の高い国産にこだわり、樹齢100年を越す杉の「赤柾(あかまさ)」とよばれる芯の油分が多い部分を使用。強度があるうえに、油分が多いため水やカビ、虫にも強く耐久性にすぐれています。さらに手ざわりもやさしく、香り高いのだそう。「神社やお寺を造る柱の端材を使っています。うちは創業当時からSDGsを実践しているんですよ」と笹井さん。


いわゆる「曲げわっぱ」は通常、厚みが約3㎜ですが、こちらは約6㎜と分厚いのが特徴です。わずか0.7mmを残して切り込みを入れた杉の木を10分ほどお湯に浸けて温め、曲げて成形します。短時間しかお湯に浸けないため、木のエキスが流れ出にくいのだとか。先人たちの「しなやかで華やかな木箱を作りたい」という思いから生まれた、釘を使わない角丸技術です。
つなぎ目には、それぞれを半分ずつ削ってはめる「相(あい)じゃくり」が施され、一見継ぎ目がわからないほどの美しさ!

木をつないだ後はカンナで削り、手ざわりがよくなるよう、なめらかに仕上げます。お弁当箱は外側のみ蜜ロウバウムを塗布し、なかは無塗装で切りたてそのままの木を生かしています。「個性豊かな木や職人の技が感じられる、使い込むほど愛着の沸くお弁当箱を作りたい」と笹井さん。ものを大切に使う、江戸時代の先人の生活を見直すきっかけにもなりそうです。
お弁当がさらにおいしくなる!人気のお弁当箱3選
「箱家」の代表作・お弁当箱。幼少期から杉のお弁当箱を使っていた笹井さんいわく「幼少期の好物のベスト5にお弁当のおかずが入ってた」のだとか。「食べた子どもが木のお弁当箱に入れて、と言うようになった」「介護中の親がおいしいと食べるようになった」といったお客さんの声も多いのだそう。
それでは数あるなかでも、特に人気の高いお弁当箱をご案内しましょう。
ちょっと特別なお弁当箱がほしい人は、三つめのこちらを。
昭和初期まで大相撲大阪場所の枡席で、料理の折り箱として使われていた初代の代表作「相撲折」を、繰り返し使えるよう板の四隅を組んで復刻したもの。籐の皮と黒文字で二段重を留めます。美しく趣深いたたずまいで、箱を開けるワクワク感もたまりません。

蓋の左上には鳥、右下には箱屋常吉の刻印があります。ちょっとシュールな表情がたまらない鳥の刻印は、大阪を代表する画家・イラストレーターの黒田征太郎氏によるもの。伝統を感じさせるお弁当箱ですが、遊び心もたっぷり!
「相撲折」で使える「四つ割仕切り」と「六つ割仕切り」を別途で販売。仕切りがあることでおかずの匂いや味が移りにくく、詰めやすいうえに見た目もより美しくなります。また、波のような縁が魅力の「杉の小箱」もすてきです。
お箸やおひつ、ほかにも欲しいアイテムがたくさん
なかに入っているものの水分を調整してくれる、杉の性質のまさに本領発揮といえるのが、おひつ。「正方形お櫃(ひつ)(一合)/雲紋柄」は、杉がもつ殺菌作用と調湿性でごはんが傷みにくく、冷やごはんでもおいしい!自立するくじら型のしゃもじが付くのもうれしいポイントです。
ご褒美価格の商品ということで、気になるのがお手入れ方法。「箱家」ではお手入れに使うアイテムも扱っています。木を傷つけることなく汚れを落とす天然の棕櫚(しゅろ)たわしと、抜群の吸水性を持つリネンのキッチンクロスは必須。艶がなくなり、木肌が乾燥してきたら、蜜ロウと杉の精油、クルミオイルを混ぜた「蜜ロウバウム」を塗って保護します。

「アンテナショップ 箱家」ではどれを買えばいいか、アイテムごとの特徴やお手入れ方法など、相談しながら購入できます。「一つずつ木目や色味が異なるので、じっくり選んでください」と接客担当の笹井絵里さん。ビギナーでも安心して買い物できます。
熟考中のクールダウンに!店内ではカフェ休憩もOK
「アンテナショップ 箱家」では、美容と健康によいドリンクが飲めるカフェを併設しています。「自家製無農薬フルーツシロップジュース」の「スパイスレモン」は、大三島産の無農薬レモンに複数のスパイスを利かせた優しい味。ユズやキンカン、南高梅など季節ごとにフルーツが変わり、フードメニューはありませんが、満足度は大。「自然栽培茶(ほうじ茶・和紅茶)」各500円などもあります。

イートインスペースは、商品棚のすぐ近く。気になるアイテムを眺めながら、特製のドリンクをいただき、どのアイテムを持ち帰るか熟考しましょう。すぐ外にはテラス席もあります(テイクアウトも可能)。
杉製品についてもう少し深く知るなら、「箱家」2階で不定期開催されるワークショップへの参加もおすすめ。お弁当箱づくりのほか、杉樽で味噌を仕込むイベントも!公式サイトをチェックして、店頭か電話、またはInstagramのDMから予約しましょう。

軽くて、木の香りがよく、何よりいつものお弁当がグッとおいしくなる、杉のお弁当箱。一度知ってしまうともう戻れない、という声も多く聞かれます。自分へのとっておきのご褒美に、一度「箱家」で実物を手にとってみてはいかがでしょうか。
■アンテナショップ 箱家(あんてなしょっぷ はこや)
住所:大阪府大阪市中央区安堂寺町1-4-21
TEL:06−6777−7821
時間: 11~18時
定休日:公式Instagramで要確認
アクセス:Osaka Metro谷町六丁目駅6番出口から徒歩2分
Text:こばやしみもざ
Photo:小川康貴
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