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【金沢】2025年4月から「千田家庭園」が新たに一般公開! 長町武家屋敷跡の歴史を感じる新名所でゆったりお庭めぐり

【金沢】2025年4月から「千田家庭園」が新たに一般公開! 長町武家屋敷跡の歴史を感じる新名所でゆったりお庭めぐり

石川県 庭・庭園 自然 建築 おでかけ るるぶ情報版(国内)編集部
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金沢の城下町の風情を残す長町武家屋敷跡。かつて加賀藩に仕えた武士の屋敷がその趣を残したまま立ち並ぶこのエリアで、今までは非公開だったものの、金沢の庭園文化の魅力発信の目的で2025年4月から「千田家庭園(せんだけていえん)」が新たに一般公開されました。すぐそばを流れる大野庄用水の水を庭に引き入れ、隅々まで手入れされた造りは優美そのもの。見どころをご紹介します!

Summary

旧加賀藩士の千田家初代・登文は戊辰戦争、西南戦争で活躍した名士

千田家は、弘化4年(1847)の江戸末期に金沢に生まれた旧加賀藩士の千田登文(せんだのりふみ)が初代を務める武家の家柄です。加賀藩13代藩主前田斉泰(まえだなりやす)・14代藩主慶寧(よしやす)に仕え、戊辰戦争では鉄炮隊として武功を上げました。明治維新後は陸軍に仕官し、西南戦争、日清・日露戦争など歴史に名高いさまざまな大戦を戦い抜き、明治27年(1894)に整備したのがこの千田家の庭と邸宅です。

入り口の門をくぐるとまず案内されるのが、資料館です。千田登文ゆかりの品や千田家に代々伝わる歴史的な名品がずらりと並んでいます。年代ごとに示された解説文を読みながら、日本刀や飾り兜、古文書などさまざまな資料を眺めていると、激動の時代を生きた豪快な登文の人柄が垣間見えます。

例えば、加賀藩の家紋である「梅鉢紋」が施された輪島塗のお櫃(ひつ)。金沢城内で藩主が口にする炊き立てのご飯を入れて使用されていたのを、登文が賜ったという特別な品。ひょうたんの徳利は、登文がお酒を入れて飲んでいた愛用品です。最後の一滴でひょうたんの表面を濡らし、磨いていたとのエピソードが残されています。

小さな兼六園にうっとり! 約130年前の庭の形そのままに

資料館を抜けると、庭へ続きます。もとは中級武士の屋敷が残されていた敷地を登文が明治27年(1894)に入手し、庭と邸宅の手入れを始めました。庭のテーマは「兼六園」。兼六園は加賀藩13代藩主前田斉泰が現在の形に整備し、完成しました。登文は若き日に仕えた藩主に想いを寄せるように自らの庭に兼六園の趣をふんだんに盛り込んで作り上げました。

庭の造りは兼六園と同じ「池泉回遊式庭園」。敷地の中に池や築山を配し、すぐ側を流れる大野庄用水から水を引き入れてその流れと共に五感で庭を楽しみます。庭の中央に建つのは雪見灯篭です。兼六園の代名詞ともいえる徽軫灯籠(ことじとうろう)を思わせるように池のほとりに凛と建っています。

池に架かる石橋は、兼六園の霞ケ池に架かるお馴染みのフォトスポット「虹橋」を思わせます。虹橋には金沢城の石垣にも使用された貴重な赤戸室石が使われていますが、千田家庭園の石橋も同じく赤戸室石。石にしっかりその証である刻印が刻まれています。

そして水の流れが心地良く響く滝。これは兼六園の翠滝をイメージしているそうです。翠滝と同じように落水先に滝壺を置かず、水は直接滝下の石にあたり池の水に合流していきます。涼し気な音が庭いっぱいに広がり、心が洗われるようです。

ほかにも「七福神山」や「蓬莱島」など兼六園の名所を模した作庭に思わずため息が出ます。庭自体は約130年前に登文が手入れをして以降、ほぼそのままの形を残しており、大野庄用水を引き入れて景観を作り上げた最古の庭として市の指定文化財になっています。初夏にはツツジやカキツバタ、冬にはサギが飛来するなど四季折々の表情も豊かです。

水琴窟の音に耳を澄ませて! 藩政期から現存する土塀にも注目

庭の観賞に加えて体験したいのが「水琴窟」です。地中に甕(かめ)が埋められており、手水から柄杓で汲んだ水を流すと水滴が地中の甕の中に落ちる反響音が鳴り響き、地上には優しい音となって漏れ聴こえてきます。茶会の前に客人を迎える亭主の趣向を凝らしたおもてなしの一環で、千田家の水琴窟は敷地の元の所有者である中級武士の時代かもしくはそれ以前の約280年前の江戸中期ごろに構築されたものと言われています。

藩政期の武士の暮らしの名残を留める場所はほかにも。千田家の土塀は藩政期に造られた状態のまま残されています。木枠に石を入れて手作業で固めていく藩政期独自の版築(はんちく)工法で造られ、屋根には杉板を使用し、高さも2mと低くなっているのが特徴です。武士もこの空間で暮らしていたのかと考えると感慨深いものがあります。

千田家は現在、4代目となるご夫婦が当主を継承されています。ガイドもしてくださるので、歴史を学びながら気軽に庭を観賞することができます。長町武家屋敷跡にある「小さな兼六園」を眺めながら、心が落ち着くひとときを過ごしてください。

■千田家庭園(せんだけていえん)
住所:石川県金沢市長町1-4-22
TEL:080-8735-9695
営業時間:9時30分~17時
定休日:月・木曜、ほか臨時休館あり
入場料:700円


Text:能登印刷株式会社
Photo:山岸栞依

●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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