【京都】名喫茶「前田珈琲 室町本店」で味わう、こだわりのコーヒー&グルメ
昭和56年(1981)に開店した、京都の名喫茶「前田珈琲(まえだこーひー)」の本店。もと呉服店の建物を改装した店舗は100席を有し、市内を中心に20店舗ある「前田珈琲」の中でも、最も広いつくりとなっています。常連客から家族連れまで、幅広い層が集う名店で京都の喫茶文化に触れてみましょう。
愛されて半世紀、京都を代表する名喫茶

「前田珈琲」は、京都の老舗喫茶の代名詞「イノダコーヒー」で経験を積んだ店主が始めたお店で、現在は京都を代表する喫茶店のひとつになっています。昭和46年(1971)に高辻通の小さな店舗からスタートし、その後昭和56年(1981)に現在の場所へ移転しました。地下鉄四条駅から徒歩5分ほど、多くのオフィスビルが立ち並ぶエリアに位置しています。

地元の人や観光客を中心に朝から賑わいを見せる店内は、創業当初の雰囲気をそのまま残したクラシカルな内装が印象的。呉服店を改装した広々とした空間には、ゆったりとしたソファ席やテーブル席が並びます。奥には禁煙席もあるため、お子さん連れも安心して利用できます。
前田珈琲の「顔」とも言える定番ブレンドコーヒー&フード

香りに特化した「冨久」やブラジル産の完熟豆を使用した「弁慶」など、ハンドドリップコーヒーは全部で4種類。なかでも「龍之助」650円は、昔からある定番のブレンド。苦味と酸味のバランスが良く、飲み飽きない味わいに仕上がっています。

「弁慶」に「牛若丸」と、祇園祭の山鉾「橋弁慶山」にちなんだ名前のコーヒーがあるのは、山鉾町にある喫茶店らしい遊び心。ちなみに、「龍之助」と「冨久」は先代のご両親の名前からとっているのだとか。このような裏話を聞くと、普段何気なく見ているメニュー名にも注目してみたくなりますね。

豆を挽く焙煎機にもこだわりがあり、古いドイツ式の直火焙煎機を長年使い続けています。これは創業者である先代たっての希望なのだそう。マネージャーの増田真吾さん曰く「創業者である先代は、昔ながらのやり方に重きを置く方」とのこと。そうした先代の意思が現在も受け継がれています。
喫茶店と言えば、つい食べたくなるのが大きなパフェ。同店で創業当初から愛されるカプチーノパフェは、カプチーノ味のソフトクリームにシフォンケーキ、底にはコーヒーゼリーがたっぷりと入り、まさにコーヒーづくしの一品。香ばしい黒豆きな粉のビスコッティもアクセントになっていて、大人な味わいを堪能できます。
メニュー、サービスなど新たな挑戦を続ける喫茶店の「いま」に注目!
伝統を重んじる先代に対して、新しいことに挑戦するのが好きだという現社長。その革新的な姿勢は、多彩なフードメニューにもよく表れています。ふっくらとした歯切れのよいパンに、明治2年(1869)創業の牛肉専門店「モリタ屋」のローストビーフを挟んだ贅沢な「ローストビーフサンド」をはじめとする、カスクートシリーズもその一つ。「前田珈琲」のためだけに作られた特注のパンを使用する同シリーズは、現社長のアイデアから生まれた人気メニューです。
現在フードメニューは、サンドイッチを中心とするパンメニューだけで18種類、カレーやパスタなどの食事系、デザート系を合わせると、その数なんと約50種類! 名喫茶には珍しい、驚きのラインナップです。お店の味を守りつつ、新たなメニューを提案し続ける同店から目が離せません。


「新たな試みは、サービスにも反映されていますよ」と増田さん。最近は、呉服店への配達で培ったノウハウを活かして企業へのケータリングを行うほか、コロナ禍では店前での売店販売も実施していたそう。今求められているサービスを提供すべく、初めての取り組みにも進んで挑戦している様子がうかがえます。

京都の人々の日常に根差した喫茶店として、幅広い層に支持される「前田珈琲 室町本店」。半世紀にわたって愛され続ける秘訣は、そのホスピタリティの高さにあるのかもしれません。大切に紡がれてきた、名喫茶のおもてなしを心ゆくまで味わってみてください。
■前田珈琲 室町本店(まえだこーひー むろまちほんてん)
住所:京都府京都市中京区蛸薬師通烏丸西入橋弁慶町236
TEL:075-255-2588
営業時間:7~18時(17時30分LO)
定休日:無休
アクセス:阪急烏丸駅から徒歩5分
Photo:ハリー中西
Text:平田さくら(エディットプラス)
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