【おとなのソロ部】薬膳料理研究家に学ぶ! 奈良「やまと薬膳 体をととのえるお食事の会」を編集部が体験
心身の調子を整えたい人にぜひ訪れてほしいのが、奈良・初瀬で行われている月2回の「やまと薬膳 体をととのえるお食事の会」。薬膳料理研究家・オオニシ恭子先生による食事会で、コース料理を食べながら薬膳が学べ、健やかに暮らすための食の知恵やアイデアを得られます。1回限りの食事会なので、気軽に参加できるのも◎。編集部が実際に体験してきた、学び多き一日を報告します。
薬膳料理研究家・オオニシ恭子先生の波乱万丈ストーリー

オオニシ先生は新進のインテリアデザイナーだった20代後半、ひどい手荒れをきっかけに食養法(マクロビオティック)に出合い、その創始者・桜沢如一氏の妻であり、マクロビオティックをベースとした料理教室を行っていた里真氏に師事。里真氏の要望により1981年に渡欧し、東洋的食養法に欧州の素材を掛け合わせた“ヨーロッパ薬膳”をベルギーやオランダ、フランスで30年に渡って指導してきました。
2011年の東日本大震災を機に帰国し、2013年から奈良・初瀬に移住して“やまと薬膳”と称して薬膳を広めるべく料理教室や講演会、セミナーなどの活動を行っています。

全8回の定期的な料理教室やインターネット講座もありますが、「より手軽に薬膳にふれてほしい」と毎月2回「体をととのえるお食事の会」を開催しています。「体をととのえるお食事の会」では、オオニシ先生自らもスタッフと共に調理し、薬膳料理を説明付きで来客をもてなしてくれます。

「体をととのえるお食事の会」が開かれる部屋はすぐ隣にキッチンがあり、調理する音や香りを感じられて、臨場感たっぷり。食事会の合間や最後に薬膳に関する先生のお話を聞くことができます。
薬膳を食べて学ぶ、食事会の流れを紹介

「体をととのえるお食事の会」が開かれる場所は、近鉄長谷寺駅から徒歩約20分、週末オープンの薬膳料理のカフェレストラン「やまと薬膳 源氏物語」です。築約180年の古民家で、飴色に輝くシックで落ち着いた空間です。

毎月テーマがあり、参加した11月は「寒さに負けない 免疫力アップ」。お品書きには8つのメニューのほか、免疫力を高めるための自己管理のポイントなども書かれていて、早速勉強になります。
食事会では、まずはウェルカムドリンクとして「ローゼルと番茶のチャイ」を。美しい色合いの甘酸っぱいドリンクで、クエン酸やビタミンC、ペクチンが豊富に含まれています。
一品目は「霜月の出会い」と称されたひと皿。程よく火を通された菊芋や原木椎茸、マコモダケ、カブ、カボチャ、カキといった秋の味覚が並びます。
「霜月の出会い」は、日に当てて発酵させた自家製の「お日さま醤油」にスダチや柚子、山椒、レモンをそれぞれ加えたソースを選んで味わいます。濃厚な醤油をベースに、柑橘類や山椒が軽やかなアクセントとなり、豊かな秋の食材の異なる風味や食感が堪能できる前菜です。
二品目は「実そばのソーセージ」。粒々の食感で素朴な風味のそばの実を、香ばしい海苔で包みソーセージに見立てたユニークな逸品。焼きキャベツとマッシュポテト、マスタードが添えられ、洋風のエッセンスも感じられます。
三品目の「うずら豆の味噌煮」は、“ヨーロッパ薬膳”を生み出したオオニシ先生の真骨頂! うずら豆とニンジン、タマネギ、サツマイモを味噌で仕立て、素朴さにスパイシーな香辛料が相まった異国の味わいです。
次に中休みとして、自家製の「ドングリ茶」が出されました。初めて飲むドングリのお茶に、参加者同士も盛り上がります。ほうじ茶のように香ばしい風味で飲みやすかったです。
4品目はメインの「御膳」。むかごとぬち豆腐のご飯、レンコンのおろし汁、季節野菜の煮物、凍み豆腐の春巻き、菊芋と酢の物、糠漬けが一つの御膳を彩ります。
葛でとろみをつけたレンコン汁や、体を温める効果のあるショウガを利かせた煮物は、冷え始める晩秋にこそ食べたいメニュー。また、だしをたっぷり含んだ自家製の凍み豆腐はパリパリ食感の春巻き仕立てで、食べごたえがありました。

むかご入りの玄米ご飯は、滋味深くほっこりする味わい。豆乳ににがりを加えて固めたぬち豆腐がうまみを添え、さらに山椒やミョウガがアクセントになっています。
全体的に油は少量のみ使用し、肉や魚、バター、乳製品などは不使用。にも関わらず、時に洋風の味付けもあり、満足度は大。胃への負担を感じさせない軽やかさも実感できます。
デザートは、「栗蒸し羊羹(ようかん)」と抹茶・マコモダケの葉を挽いたお茶。挽き茶は、江戸時代より続く、奈良県橿原市中曽司に伝わる全国でも珍しいお茶文化です。羊羹は砂糖の代わりに羅漢果(らかんか)を使い、甘みはかなり控えめ。素朴でコクのある小豆の味わいが主役で、青々しい「挽き茶」ともよく合います。

この日の参加者は10名ほど。最初に自己紹介タイムもあり(場合による)、和気あいあいとした雰囲気のなか、食事を楽しむことができました。
食事中や食後にオオニシ先生やゲストのお話を

食事中や食後にオオニシ先生のお話が聞けます。
「薬膳を50年やっていますが、食べ物は体を守ると実感しています。寒くなると肺に負担がかかりますので、ぜひレンコンで身体のケアを。本日のメニューにあったレンコン汁のように、くずでとろみをつけた温かなレンコン汁を作り、口から胃へとゆっくり流し込と効果的です。昔の人の知恵をいただいて、何か一つでも体にいいものを取り入れてみてください」とオオニシ先生。
徐々に寒くなる11月は、腸のケアとしてダイコンやニンジン、ショウガ、味噌などを使った鍋物や煮物、ポタージュがおすすめなのだそう。また肺のケアとしてレンコンやハクサイ、カブ、柑橘類、山椒などがいいそうです。これらの食材は今回の食事会でも多用され、腸内環境を改善するマコモダケや、免疫力をアップするローゼルやクコの実も味わいました。

薬膳についてもっと深く知りたい人はオオニシ先生の本も販売しているので、ぜひ手にとってみてください。

オオニシ先生以外にゲストが登場することもあります。今回のゲストは、奈良・大阪で真菰(まこも)やお米、ハーブなどを育てる「ソーシャルファームいすきあ」の内山勇人さん。耕作放棄地だった田んぼを開墾し、農薬や化学肥料を使わず、代わりに真菰の炭を入れるなどして自然栽培をする、貴重な体験を聞くことができました。
ほかにも大学の先生が古代のお菓子について語ったり、林業に従事される方が森のことを話したり、多岐にわたるミニ講演が同時に開かれることもあるので、ぜひチェックしてみてください。
奈良・初瀬に足を運び、学び多き一日を過ごそう


会場である「やまと薬膳 源氏物語」は、ボタンの名所として知られる古刹・長谷寺から徒歩8分。奈良県南東部のまるで昔話に出てきそうな牧歌的な集落の雰囲気や、界隈に多い手作りの草餅を販売する店なども楽しみつつ、奈良・初瀬へ一日おでかけしてみてはいかがでしょうか。
■やまと薬膳 体をととのえるお食事の会(やまとやくぜん からだをととのえるおしょくじのかい)
住所:奈良県桜井市初瀬771 やまと薬膳 源氏物語
TEL・FAX:0774-57-9038
料金:6500円
開催日:毎月第二金・土曜 ※8月は休み。日にちは公式サイトやInstagramで要確認。
時間:12~14時ごろ
アクセス:近鉄長谷寺駅から徒歩20分
予約:電話・ファックス、メール(info@yamatoyakuzen.comにて(各月2カ月前の1日より先着順。予約の際に参加希望日、名前、住所、電話番号、メールアドレス、参加人数〈1人の予約で5人まで〉を伝える)
■おすすめの利用シーン:体の調子を整えるきっかけがほしいとき、薬膳や季節に則した養生について学びたいとき、学びが得られるおでかけがしたいとき
Text:こばやしみもざ
Photo:小川康貴
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