京都・祇園に「帝国ホテル 京都」がオープン。歴史的な建築物に泊まる最高の贅沢【すみずみ宿泊ルポ】
祇園・花見小路の中心に、歴史ある建物を生かした新しいホテルが誕生しました。1936年に建てられ、劇場や映画館として京都の人々に親しまれてきた「弥栄会館」を保存・改築した「帝国ホテル 京都(ていこくほてる きょうと)」です。帝国ホテルとしては東京、上高地、大阪に続く4番目で、30年ぶりの新規開業。2026年3月5日に開業したばかりのホテルを訪れ、歴史と美意識が調和した客室やレストラン、バーなどを体感してきました。
2026年3月、京都・祇園の花街に帝国ホテルが開業!

祇園・花見小路通を四条通から南へ、風情ある町並みをながめながら歩いていくと、左側に華やかなぼんぼりが見えてきます。その先の門をくぐると「帝国ホテル 京都」に到着。JR京都駅からのアクセスは、車で約12分、公共交通機関を利用する場合は約25分。京都市営バスの206系統に乗り、祇園バス停で下車して徒歩5分ほどです。

外観は、「弥栄会館」の面影を残したモダンな雰囲気。外壁タイルや装飾的なテラコッタ(素焼きの陶器)を修復して再利用し、銅板瓦葺屋根も再現されました。この屋根は今は茶色ですが、年月を重ねると徐々に緑青色に変化していくそうで、90年前の建設時と同じ色を見られるのは今だけなのです。

かつての建物の南側と西側の壁は残し、北側と東側は一度解体して再建されました。元々のタイルを補強したうえで再利用したものと新たに作り直した復刻タイルが使われています。古いものと新しいものが共存し、新たな歴史のスタートを切りました。
庭が見えるラウンジでチェックイン!

エントランスの車寄せの天井部分には、伝統的な「麻の葉文様」があしらわれていました。「弥栄会館」時代、ホールの緞帳の上の壁に使われていたデザインをアレンジしたものだそうです。

玄関を入ると正面にケヤキの一枚板。中央には「帝国ホテル」のシンボルマークが螺鈿細工で施されています。ここから静謐な空気に変わったような気がして尋ねてみると、この一枚板は奈良県の白馬寺と水分(みくまり)神社の修験道にあった樹齢約1000年のケヤキなのだそう。
チェックインに案内されたのは落ち着いた雰囲気のラウンジです。エントランスでドアマンに迎えられ、ベルスタッフに荷物を預けて、そのままラウンジへ案内されるスムーズな流れに、「さすがは帝国ホテル」と感じました。

ラウンジのソファに座ってチェックインの手続きと館内の説明を受けます。座り心地のいいソファをはじめとする家具はすべて国産のケヤキで作られていて、テーブルや椅子は「弥栄会館」ができた当時に流行っていたアールデコ様式を踏襲しているそうです。

建物の内から外に続く掛け込み天井は、、水平を意識した設計で横の広がりを演出。野草を取り入れた植栽のシンプルなたたずまいを眺めていると、心が落ち着いてきます。

ラウンジの片隅には、宿泊者が利用できるフードプレゼンテーションが用意されており、朝はフルーツ、昼は焼き菓子、夜は京都ゆかりのビールやワインなどが楽しめます。コーヒーや紅茶のほかに京都産のワインなどもあり、宿泊者は自由に利用できます。まち歩きから戻った時に立ち寄ってひと息つくなど、滞在中いつ訪れても違った楽しみ方ができますね。
帝国ホテル初! 和室もある京都ならではの客室
客室は全55室。すべて50㎡以上というゆとりある広さが特徴です。ちなみに「弥栄会館」は国の登録有形文化財でした。その建築様式を継承して、柱や窓枠などの一部を保存した本棟保存、改築した本棟、増築した北棟で構成されています。
本棟保存エリアの「弥栄スイート」の客室は103㎡。大きな窓がある室内は明るくてとっても広々としています。

テラスからは、修復されたタイル、テラコッタ、銅板の3つを間近に観ることができます。歴史や建築好きな人には特に興味深いポイントですね。

「帝国ホテル」オリジナルのバスローブは厚手のコットンで、湯上がりのひとときを快適に過ごせます。歴史あるホテルならではの上質なリネン類に包まれると、客室で過ごす時間がさらに贅沢に感じられます。

シャンプー、コンディショナー、シャワージェル、ボディローション、ソープなどのアメニティは英国のフレグランスブランド「ペンハリガン(Penhaligon’s)」。女子が一度は使ってみたいと思うブランドを試せるのもうれしいですね。
「ジュニアスイート」の窓からは歌舞練場の看板が目の前に見えて、祇園らしい雰囲気を存分に楽しめます。

ミニバーにはカトラリーやグラスが用意されています。冷蔵庫には冷えたビールやソフトドリンク、ワインも入っています。「帝国ホテル 京都」は、全室部屋にあるドリンク類は自由に好きな時に飲めます。さらに食事などのルームサービス(有料)は24時間OKです。
北棟には、帝国ホテルとして初めての畳敷きの部屋があります。この「グランドプレミア」は58㎡以上の広さで、窓を開けると外は祇園の町並み。まるでこの町の住人になったような気分が味わえます。夜の景色も風情があって、舞妓さんが歩く姿を見かけることもあって、京都にいることを実感させてくれます。
ウェルネスエリアのスパトリートメントやプールで究極のリラックスを

ホテルの地下はウェルネスエリア。明かりを落として落ち着いた雰囲気のフロアに、フィットネス、スパトリートメント、温浴施設、プールの4つの施設が揃い、滞在中に心身をゆったり整えられます。(フィットネス、温浴施設、プールは宿泊者専用)

プールは長さ17.5m、幅3.8m。深さは1.1mで、軽くカラダを動かしたい時はもちろん、しっかり泳ぎたい人にも満足できそうなサイズ感。壁には「弥栄会館」の外壁に使われていた北木石が使われ、自然の岩肌を生かした表情が非日常の空間を演出しています。

プールの横には水流を利用したバイタリティープールも用意されています。水の流れが体に心地よい刺激を与え、観光で歩き疲れた体もやさしくほぐしてくれそうです。
京都の景色と美酒を楽しむ2つのバー

館内でぜひ行ってみたいのが、本棟7階にある「オールドインペリアルバー」。東京や大阪の帝国ホテルのメインバーと同じ名前で、帝国ホテルの格式を感じながらお酒やモクテルを楽しめます。柱には、帝国ホテル二代目本館(ライト館)でも使われていた大谷石を使用。石の質感が特別な空間を作り出しています。
京都のシグネチャーカクテルは「マウント 比叡」。100年以上帝国ホテルで愛されているオリジナルカクテル「マウント フジ」をベースに京都の素材を加えて再構築したものです。カウンターに座って、祇園のまち並みや京都の夜景を眺めながら味わう一杯は格別ですね。テーブル席もあるので、複数名での利用にも便利です。
■オールドインペリアルバー
・場所:本棟7F
・営業時間:17~24時(23時30分LO)
・料金:カクテル3000円~(宿泊者以外はカバーチャージ1人2200円)

例年3月下旬~11月下旬には、宿泊者だけが利用できるルーフトップバー「ザ ルーフトップ」がオープン。7階から階段で上がると、開放感あふれる屋上空間。祇園の町並みをはじめ、東山から比叡山にかけての景色を見渡せる抜群のロケーションです。
夕暮れから夜にかけての空は、ゆっくりと色が移ろい、思わず時間を忘れてしまいそう。カクテルを片手に、京都の夜景を楽しめる特別な場所です。
■ザ ルーフトップ(宿泊者限定)
・場所:本棟 屋上階
・営業時間 11~22時(21時30分LO)
・料金:カクテル3000円~
※悪天候時、猛暑が予想される日中はクローズ
幸福感に包まれる美食を堪能する2つのレストラン
2階にはフランス料理「練」があります。「帝国ホテル」初となるカウンターフレンチで、カウンター10席と個室1室のみ、最大18席という、まさに特別感のあるレストランです。

料理はおまかせコースで、季節の食材を主役にした一皿が次々に提供されます。メニューには素材名のみが記され、料理の内容は提供時にシェフが説明するスタイル。作り手との会話を楽しみながら味わえる特別な食体験が魅力です。なかでもシグネチャーメニューとして登場する神山椎茸の料理は「練」ならではの一皿。

腕をふるう今城浩二料理長は、「帝国ホテル 大阪」で腕を磨き、フランスの星付きレストランで研鑽を積んだ人。穏やかな語り口で料理を紹介してくださいます。ダシや調理法に日本料理の要素も用いて、緩急つけたメニュー構成は圧巻。名酒ぞろいのワインセラーから、ソムリエがペアリングも提案してくれますよ。
■練
・場所:本棟 2F
・営業時間:17時30分~22時30分(20時30分LO)
・定休日:日曜(月曜が祝日の場合は営業、翌月曜休み)
・料金:コース3万8000円
朝食は2階にあるオールデイダイニング「弥栄」でいただきます。季節の京都の食材を取り入れた洋朝食と割烹「祇園川上」監修の和朝食、どちらも丁寧に仕上げられた料理が並びます。朝食は宿泊者のみが利用でき、洋朝食・和朝食、どちらかを選びます。(各7500円~)
※和朝食は前日までの予約制。数量限定

大きな窓から光が差し込む開放的な空間で、ゆったりと一日の始まりを迎えられそう。
「弥栄」ではランチ、ティータイム、ディナー、時間帯によってさまざまなメニューがあります。ランチ、ディナーともにコース料理がありますが、アラカルトならシグネチャーメニューがおすすめ。「弥栄カレー」(4700円)は、帝国ホテルの伝統の味に薪窯で焼いた肉や野菜を用いることで、より深みのあるうま味を生み出しています。
もうひとつのシグネチャーメニュー、「弥栄バーガー」(4100円)もパティを薪窯で焼いてより香ばしい味わいに。ボリューミーで食べ応えのあるバーガーです。
■弥栄
・場所:本棟 2F
・営業時間:朝食6時30分~10時30分(10時LO)※和朝食は7時~/ランチ11時30分~14時30分/ティータイム14時30分~17時30分/ディナー17時30分~22時(21時30分LO)
・料金:朝食7500円~/ランチ7800円~/ティータイム1400円(飲物)~/ディナー9700円~
帝国ホテルオリジナルや京都限定スイーツをお土産に
ホテル1階には、帝国ホテルの味をテイクアウトで楽しめるペストリーショップもあります。なかでも、帝国ホテルのシグネチャースイーツとして知られるブルーベリーパイは、京都限定のミニサイズ。芸妓さん舞妓さんでもおちょぼ口で食べやすいサイズなんですって。

帝国ホテルオリジナルの生ケーキや焼き菓子、チョコレートなどは、自宅用はもちろん京都土産にもぴったり。思い出に持ち帰りたくなるアイテムが見つかりますよ。
■ザ ペストリーショップ
・場所:1F
・営業時間 11~19時
ホテルから徒歩で行ける、周辺のおすすめ観光スポット3選
【ホテルから徒歩1分】花見小路通

花見小路通は、三条通から安井北門通まで、祇園地区の中央を南北に約1kmある通りです。なかでも四条通の南側には赤茶色の紅殻格子(べんがらごうし)に犬矢来(いぬやらい/湾曲したアーチ状の低い柵)という祇園情緒のあるお茶屋の家並みが続きます。
【ホテルから徒歩6分】漢検 漢字博物館・図書館(漢字ミュージアム)

漢検 漢字博物館・図書館(漢字ミュージアム)は、日本初の漢字に特化したミュージアムで、年齢を問わず一日中楽しめます。「漢字回転すし」といったテーマパークのような感覚で学べる複数のブースや、企画展や講座なども開催されています。1階入り口には、カフェやショップが併設されているので、観光の合間の休憩やお土産の調達にも便利です。
【ホテルから徒歩7分】伊藤久右衛門 祇園四条店茶房

京都・宇治に本店を構える宇治茶の老舗「伊藤久右衛門」の茶房併設店。1階はショップで、宇治茶や抹茶スイーツなどがずらりと揃います。2階の茶房は宇治の茶房で人気の「抹茶パフェ」をはじめ、四季折々の「季節パフェ」や「抹茶そば」などが揃い、お茶の時間を満喫できます。
■伊藤久右衛門 祇園四条店茶房
(いとうきゅうえもん ぎおんしじょうてんさぼう)
住所:京都府京都市東山区四条通大和大路東南角祇園町南側586
TEL:075-741-8096
営業時間:10時30分~18時30分(18時LO)
定休日:無休
リアルなおすすめタイムスケジュール
【1日目】
11:30 JR京都駅着。京都市営地下鉄で3分、四条駅から散策を兼ねて徒歩で「帝国ホテル 京都」へ(徒歩約20分)
12:00 荷物を預けて、「弥栄」で「弥栄バーガー」に舌鼓
13:30 花見小路通を散策しながら「漢検 漢字博物館・図書館 (漢字ミュージアム)」へ
17:00 チェックインして客室へ。友人とおしゃべりタイム
18:30 「練」でカウンターフレンチを堪能
21:00 屋上の「ルーフトップバー」で、カクテルと京都の夜景を楽しむ
22:00 客室に戻ってバスタイム&おしゃべりタイム
24:00 おやすみなさい!
【2日目】
7:00 起床。客室で「弥栄」の割烹「祇園川上」監修の和定食を味わう
9:00 フィットネスで軽く運動
10:00 客室に戻ってひと息
11:00 荷物を預けてチェックアウト
12:00 安井金比羅宮や八坂神社などを散策
15:00 荷物を受け取り「伊藤久右衛門 祇園四条店茶房」へお茶時間、お土産探しをして帰路へ
祇園のランドマークとして親しまれてきた弥栄会館の面影を残しながら誕生した「帝国ホテル 京都」。歴史的建築の重厚さと京都らしい静けさが調和する空間に、穏やかな時間が流れます。東京の帝国ホテルがビジネスや社交の舞台だとすれば、京都は滞在そのものをゆっくり味わう場所。そんな違いも、このホテルの魅力のひとつでした。
■帝国ホテル 京都(ていこくほてる きょうと)
住所:京都市東山区祇園町南側570-289
TEL:075-531-0111
チェックイン:15時
チェックアウト:12時
料金:16万4500円~(1泊2名利用時、税サ込/宿別)
※価格は時期によって変動あり
Text&Photo:松田きこ(ウエストプラン)
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