【埼玉県・秩父】12年に一度の特別な体験。札所ジャーナルと巡る、江戸の女子旅を味わうひととき【mini_minorの旅ノートレッスンvol.10】
日々やるべきことに追われる忙しない日常のなか、脳がオーバーヒート気味…。そんなときこそ、ふと足を止めて心に溜まったノイズを手放す余白のひとときを大切にしたいものです。そうした思いに導かれて向かったのは、都会を離れて34の寺院を巡る「秩父札所巡礼」。庶民の移動が厳しく制限されていた江戸時代、信仰のための参拝は、人々が堂々と遠出を楽しめる数少ない機会でした。なかでも秩父は関所を通らずに訪れることができたため、多くの女性たちが足を運んだ「女子旅」の先駆けとも言える場所なのだそう。参拝の傍らで地元の食や美しい手仕事に触れる…江戸の女性たちも親しんだであろうこういった巡礼の旅は、心のリセットを求める現代の私たちにも、大きなヒントをくれている気がします。今回は12年に一度の「午歳総開帳(うまどしそうかいちょう)」で、特別な空気に包まれる埼玉県・秩父エリアを、「MY FUDASHO JOURNAL 秩父札所とわたしをつなぐ旅ノート(以下、「札所ジャーナル」)」を相棒に歩きました。紙のノートに手書きというアナログな方法で旅の記憶を紡ぐ、そんな自分だけの時間を味わう旅づくりのヒントにもなればうれしいです。
特急ラビューで始める「ノートとの巡礼旅」
休日の朝、池袋駅から特急ラビュー(運行区間:池袋 ⇔ 飯能・西武秩父)に乗車。大きな窓と黄色いシートに、これから始まる非日常への期待が募ります。

秩父銘仙を纏った御朱印帳を相棒に、街歩きと札所巡りを楽しむ
西武秩父駅に降り立ち、最初に向かったのは「じばさん商店」。お目当ては地元の絹織物・秩父銘仙を纏った御朱印帳です。

その後はメインストリートの番場通りを歩き、文化財にも指定されているレトロな「秩父パリー食堂」へ。

思わず「札所ジャーナル」を取り出し、その瞬間のときめきを書き留めました。
食後は、いよいよ札所へ。まずは13番「慈眼寺」、15番「少林寺」へと向かいます。





断崖の札所で出合った、心洗われる「無心」と「静寂」
2日目は、バスとタクシーを乗り継ぎ、山奥に佇む31番の札所「観音院」へ。遥か上へと続く苔むした石段を1段ずつ踏みしめるうちに、頭の雑念が消えていきます。


街のシンボル・武甲山が見守る路地裏と手仕事の記憶

「買継商通り」や「黒門通り」を歩くと、まるでタイムスリップしたかのようなノスタルジックな街並みが姿を現します。2つの通りを繋ぐ「風の小路」という細い路地には、子どもの頃に秘密基地を探検したようなワクワク感も。
そのまま南下し、東町通りへ差し掛かるとふいに聞こえてきたのは、どこか懐かしい踏切の音。カンカンカンという響きとともに遮断機が降り、電⾞が過ぎ去って、再び道が開く。このわずかな待ち時間が、穏やかな余白として機能し、秩父特有のゆったりとした街の空気感を育んでいる。そんな大切な存在に思えました。
街歩きの途中、建物の隙間や路地の向こうにふと姿を現す、街のシンボル・武甲山。ピラミッドのように横スジの入った山容をアイキャッチに、そこから壁のように裾野が広がるフォルムは、まるで街全体を大きな懐で守ってくれているような、不思議な安堵感を与えてくれます。
そのどっしりと温かな姿は、踏切の待ち時間と共に、ふと立ち止まって深呼吸する時間の豊かさを、静かに語りかけてくれている気がしました。

そんな余韻に浸りながら訪れた「ちちぶ銘仙館」では、昨日手にした御朱印帳のルーツに触れる時間も。
かつて養蚕のために、風通しの良さを追求して設計された機能的な建築。その空間が今も現役で大切に使い続けられている営みに触れると、どこか背筋が伸びるような凛とした気持ちになります。

副蚕(ふくさん)という太糸で織られた、丈夫な秩父銘仙。そのデザインは現代の私たちが見ても「おしゃれだな」と感心してしまうほどモダンで、実際、大正から昭和初期にかけておしゃれ着として全国に普及し、日本の女性たちがファッションに目覚めるきっかけになったといわれています。
日常のなかに「おしゃれ」を取り入れる喜び。その原点をこの街で見つけられたことは、私にとって新鮮な驚きでした。
自分の選んだモノが、どのような背景で紡がれてきたのか。その物語を知ることで、手元の御朱印帳がより一層愛おしく、今回の巡礼を象徴する大切な一冊に思えました。
珈琲と本とインテリア。時が静まる喫茶で旅の締めくくり
旅の最後は、番場通りから小道に折れた先に佇む「喫茶 カルネ」へ。

香ばしい珈琲の香りに包まれて「札所ジャーナル」を閉じたとき、そこには、いつもより輪郭のはっきりとした旅の記憶が残っている気がしました。
それは秩父の街と札所、そして私自身が対話して生まれた、世界にたったひとつの物語。
自分の目で見つけた小さな発見こそが、大きな財産になる。そんな実感を残してくれた「札所ジャーナル」との巡礼旅は、静かな充足感とともに幕を閉じました。
旅の余韻を閉じ込める、私だけの『秩父札所巡り 旅あとノート』
旅が終わったら、記憶が鮮明なうちに現地で記した旅のメモを『旅あとノート(帰宅後につくる旅先での行動や思い出をまとめたもの)』としてまとめます。ばらばらだった断片的な記録を集めて紡ぎ直すことで、旅の余韻をより深く、長く楽しむことができます。

まずは、旅のスケジュールをまとめ。下地には、方眼紙を使うのがおすすめです。
方眼のラインをガイドにすることで、文字や行間が自然と整い、手書きの温かみを残しながらも美しく見やすい旅程表に仕上がります。

地図を描くコツは、お手本にする地図を「シンプルな状態のマップ」にすること。
最初から情報が整理された地図を参照することで、主要な道路やランドマークだけを迷わず記すことができます。

市街地など情報量が多い場所こそ、まずはベースとなる図を簡易に描き、そこに自分の歩いた路地や心に残った風景を少しずつ描き足してみてください。土台がシンプルだからこそ、自分好みの密度に仕上げていく楽しさが生まれます。

イラストを添えるのが少し大変……という方は、写真やシールに頼るのも一つの手です。特におすすめなのは、100均の文具売場にもあるアイコンシール。各スポットの雰囲気に合わせて、食べ物だけでなく「インテリア」や「窓辺の風景」といったシールも添えてみると、ノートの中にその場所の空気感が蘇ります。

12年に⼀度の特別な秩父札所巡礼。1冊のノートを相棒に歩いた今回の旅は、ガイドブックをなぞるだけでは⾒えてこない、この街の魅力や「好き」を自分の目で見つける時間でもありました。どれもほんの数分、数十分の出来事だけど、ノートの上ではそれぞれがちゃんと居場所を持ち、何気ない景色をかけがえのない物語へと変えてくれる。みなさんも、そんな⾃分だけの視点を綴る、いつもより⼀歩深いノートとの旅をぜひ楽しんでみてください♩
<今回のお出かけの取材協力先>
■じばさん商店
住所:埼玉県秩父市宮側町1-7
TEL:0494-24-6966
営業時間:10~19時 (12~3月は10~18時)
定休日:無休
■秩父札所13番 慈眼寺
住所:埼玉県秩父市東町26-7
TEL:0494-23-6813
休営業時間:8~17時 (3月~10月) 、8~16時 (11月~2月)
定休日:無休、12時~12時30分は昼休み
■秩父札所15番 少林寺
住所:埼玉県秩父市番場町7-9
TEL:0494-22-3541
営業時間:8~17時 (3月~10月) 、8~16時 (11月~2月)
定休日:無休、12時~12時30分は昼休み
■秩父札所12番 野坂寺
住所:埼玉県秩父市野坂町2-12-25
TEL:0494-22-1608
営業時間:8~17時 (3月~10月) 、8~16時 (11月~2月)
定休日:無休、12時~12時30分は昼休み
■秩父札所31番 観音院
住所:埼玉県秩父郡小鹿野町飯田2211
TEL:0494-75-3300
営業時間:8~17時 (3月~10月) 、8~16時 (11月~2月)
定休日:無休、12時~12時30分は昼休み
■秩父パリー食堂
住所:埼玉県秩父市番場町19-8
TEL:0494-22-0422
営業時間:11時30分~19時(LO18時30分)
定休日:電話または公式HPにて要確認
https://parishokudo-chichibu.com/
■秩父表参道Lab.
住所:埼玉県秩父市番場町17-14
TEL:0494-24-3000
営業時間:9~16時
定休日:水・木曜
■お食事処「秩父新世界」
住所:埼玉県秩父市本町4-23
TEL:0494-22-0169
営業時間:9~19時
定休日:火曜
■ちちぶ銘仙館
住所:埼玉県秩父市熊木町28-1
TEL:0494-21-2112
営業時間:9~16時(開館時間)、9時~11時30分/13~15時(体験受付)
定休日:無休
■ニューみとや
住所:埼玉県秩父市野坂町1-8-17
TEL:0494-22-1182
営業時間:10~18時
定休日:木曜
■喫茶 カルネ
住所:埼玉県秩父市番場町18-7
TEL:0494-26-6502
営業時間:10~18時(2026年3月現在)
定休日:木曜
Text&Photo:mini_minor
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点(2026年2月)の情報に基づきます。3月18日~の「午歳総開帳」開催前の情報が含まれますので、ご利用の際は事前にご確認ください。




