宿泊者以外もOK!美術商が手がけるホテル「ART MON ZEN KYOTO」で、約200年前の茶器でいただく茶道体験【ご褒美の新定番】
「日本の美術について知りたい」「いつもとちょっと違う奥深い体験をしたい」――そんな人におすすめなのが、京都の美術商「中西松豊軒」がプロデュースするホテル「ART MON ZEN KYOTO(あーる もんぜん きょうと)」で行われている茶道体験。宿泊者以外でも参加可能です。数百年の間、京都で受け継がれてきた茶碗など、確かな審美眼によって選ばれた美術品にふれられるのが、最大の魅力。和洋の美術品が彩る特別な空間で、「るるぶ&more.」ライターが体験してきました。
老舗の美術茶道具商がプロデュースしたアートホテル

明治40年(1907)の創業の美術茶道具商「中西松豊軒」が手がける、ラグジュアリーホテル「ART MON ZEN KYOTO」。京都随一の観光地・祇園の少し北にある、骨董や古美術を扱う専門店が集まる古門町通りにあります。数寄屋造りの技を施したホテルで、入り口から和の情緒が漂っています。

「ART MON ZEN KYOTO」の2軒隣には、「中西松豊軒」があります。こちらは緊張感漂う重厚な店構えですが、「開かれた場所でもっと気軽に美術品にふれてほしい」と作られたのが、「ART MON ZEN KYOTO」です。

中に入ると、水墨画を思わせる壁画を施したモダンなフロントがお出迎え。ホテルというよりギャラリーのような雰囲気です。古と現代、和と洋がミックスした独特の空間に早くも引き込まれます。


フロントから振り返ると、御簾に囲まれた和の空間が広がっています。畳の周りに配した椅子席で、茶道を体験します。
審美眼によって選び抜かれた道具にふれられる茶道体験

茶道体験をレクチャーしてくれるのは、「ART MON ZEN KYOTO」学芸員の瀬川氏。まずは掛け軸や茶碗など、しつらえや道具の説明を受けます(美術品は時期によって変更)。

掛け軸は、約200年前の幕末に、復古大和絵師・冷泉為恭(れいぜいためちか)が描いたもの。「お酒が流れる『養老の滝』伝説をモチーフにしたもので、作者は公家に憧れて『冷泉』を名乗った一風変わった方だったようです」と中西氏。繊細な美しさに感嘆しながらも、ユニークな小話に心が和みます。

続いて本日使う茶碗の説明です。「古美術として認められている茶碗は、木箱も大切です。蓋には作品名か作者名が記されており、いわば鑑定書です。これが古くなると希少性が増すので、木箱をさらに箱に入れて保管します」

「十六代続く樂家(らくけ)で、こちらは約200年前に九代目・了入(りょうにゅう)が手がけたものです。やわらかな柿色で、薄づくりであるところからも品を感じさせます」と瀬川氏。美術館で展示するような茶碗で抹茶がいただけるとは…!

「茶道体験では、主に江戸時代の茶碗を使っています。時代で移り変わる価値観にさらされながらも、京都の人がずっと大切に守ってきたものに直接ふれることで、内包するエネルギーを感じていただければ」瀬川氏の言葉に、時を経たものに価値をおく京都の真髄にふれた気がします。
※茶道体験で使う茶碗は選べません
石臼で曳く体験も。抹茶と和菓子をいただく至福の時間

約100年前に作られた石臼を使って、抹茶を挽く体験もできます。思った以上に力が必要で、昔の人々の大変さに思いを馳せます。実際10分挽くことはありませんが、抹茶1杯のためには約10分間挽くのだそう。

主菓子(おもがし)は祇園の和菓子専門店のもので、その都度お店や内容が変わります。今回はアジサイをモチーフにした、美しい色合いの金団(きんとん)でした。

主菓子をいただきながら、お茶を点てている様子を眺めます。美しく丁寧な所作を眺める、緩やかな時間が流れます。

抹茶の前に主菓子を全部いただく、抹茶を飲む時は礼儀として正面を避けるために茶碗を時計回りに2度回すなど、茶道の作法も瀬川氏から習います。茶道の流派の一つ、表千家の点て方により泡立てない抹茶は、渋味と甘露のバランスがすばらしく、滋味深い味わいが口に広がります。

希望者は、教えてもらいながら自分でお茶を点てることも可能です。
バカラのオールドシャンデリアなど館内は唯一無二のアート空間


さまざまな美術品がセンス良く飾られた館内は、まるで美術館のよう。必見は、宿泊者以外でも入れる1階に配された、3つのオールドバカラのシャンデリア。ルイ16世やナポレオンの時代に流行ったものを1900年ごろに復刻したものだそう。「千利休も中国や朝鮮、日本の美術品を取り入れた茶室で客人を迎えました。私たちも同じ気持ちでお客様をもてなしたいと思っております」と瀬川氏。


国内外の新旧の美術品がセンス良く配置された、まさに“ギャラリーのなかにあるホテル”。それぞれ趣が異なる贅を尽くした15の客室内でも、国内外の美術品が鑑賞できるのだそう。
京都旅行や茶道体験をさらに奥深い体験へと導いてくれる「ART MON ZEN KYOTO」。京都人が長きに渡り伝えてきた美意識にカジュアルにふれることができる素敵な場所へ、足を運ばれることをぜひおすすめします。
■ART MON ZEN KYOTO(あーる もんぜん きょうと)
住所:京都府京都市東山区古門前通大和大路東入元町 391
TEL:075-551-0009
料金:1室4万7350円~(2名で宿泊した場合)
チェクイン:15時~
チェックアウト:~11時
定休日:メンテナンスのための休館あり
アクセス:阪急京都河原町駅から徒歩約10分
■茶道体験
場所:天外(ART MON ZEN KYOTO「THE TERRACE」内)
料金:6050円
予約:電話、またはメールで1週間前まで(開催日時は不定期)
所要:約40分
※乳幼児、小学低学年は利用不可。
Text:こばやしみもざ
Photo:小川康貴
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