【おとなのソロ部】入場無料! 東京・汐留「アドミュージアム東京」で、江戸時代から現代までの“広告沼”に浸る
美術館や博物館はちょっと構えてしまうけれど、街やテレビで見かける広告なら前知識なしでも楽しめそう。東京・汐留にある「アドミュージアム東京(あどみゅーじあむとうきょう)」は、日本で唯一の広告専門ミュージアムです。江戸時代から現代までの広告を通して、当時の暮らしや流行、価値観の移り変わりを知ることができます。懐かしいテレビCMに見入ったり、美しいポスターに心惹かれたり。ひとりだからこそ、自分のペースで“広告沼”に浸れるスポットです。
世界でも珍しい! 入館無料の広告専門ミュージアム

東京都・汐留駅からほど近い商業施設「カレッタ汐留」の地下にある「アドミュージアム東京」。日本で唯一、世界でも珍しい広告専門のミュージアムです。
運営するのは、広告・マーケティングの発展を支援する公益財団法人 吉田秀雄記念事業財団。吉田秀雄(よしだひでお)氏は電通の第4代社長で、広告の近代化に大きく貢献した人物です。
このミュージアムには、広告を単なる宣伝ではなく、社会や暮らしを映す文化として伝えたいという思いが込められています。商品ポスターや新聞広告、テレビCMなど、館内に並ぶのは私たちの生活に身近なものばかり。時代ごとに人々の心を動かしてきた表現に出合えます。
現在の館内は、2017年12月の全面リニューアルで明るく開放的な空間に。かつての広告を“資料”として学ぶだけでなく、ビジュアルやコピーを眺めながら感覚的に楽しめる展示になっています。
なかでも魅力的なのは、入館無料で気軽に立ち寄れること。汐留や新橋周辺での予定の前後に訪れるのはもちろん、天候に左右されにくい屋内スポットとして覚えておくのもおすすめです。
江戸時代から現代まで。広告を“学ぶ・感じる”展示空間
常設展示の中心となるのは、地下2階にあるホールA。江戸時代から現代まで、日本の広告の歩みをたどれる空間です。展示は、日本の広告史を時代ごとに紹介する「学ぶ」ゾーンと、映像やデジタル展示で直感的に楽しめる「楽しむ・感じる」ゾーンで構成されています。
「学ぶ」ゾーンでは、江戸時代の広告・マーケティングの始まりからスタート。例えば、百貨店「三越」の前身である「越後屋」が、雨の日に店名入りの番傘を貸し出していた話など、現代のブランディングにも通じる工夫を知ることができます。
明治から大正、昭和初期にかけては、印刷技術の発展とともに広告表現もより華やかに。スライドウォールには、当時のポスターがずらりと並びます。色使いや構図が美しく、今見ても新鮮に感じられるデザインが多いのも印象的です。
戦後は、ラジオやテレビの登場で広告のあり方がさらに変化。家電広告やライフスタイルを提案する広告などから、時代ごとの暮らしや価値観が見えてきます。
一方、「楽しむ・感じる」ゾーンで目を引くのが「4つのきもち」。雲のような形をしたブースに入り、人の気持ちを軸に選ばれた国内外のCMを視聴できます。
広告は人の心を動かすために作られているもの。元気が出る、心が温まる、考えさせられる、びっくりするなど、感情から広告にふれられる展示です。
館内4カ所を巡る「重ね押しスタンプ」にも注目。順番に押していくと、浮世絵の版を重ねるように少しずつ図柄が完成します。季節ごとに絵柄が変わり、完成したシートは訪れた記念として持ち帰れます。
広告というと少し難しそうに感じるかもしれませんが、ここでは「懐かしい」「きれい」「おもしろい」といった感覚から、日本の暮らしや流行を広告越しに眺められます。
ひとりだからこそ“沼れる”。おすすめの鑑賞方法
「アドミュージアム東京」は、気になる広告の前で立ち止まり、そこから興味を広げていくのが楽しい場所。ひとりなら、誰かに気兼ねすることなく好きなだけ寄り道できます。
【鑑賞方法①】コレクション・テーブルで、偶然の出合いと自分の記憶を楽しむ
まず試したいのが、常設展示室にあるコレクション・テーブル。画面には、テレビやラジオCM、ポスター、キャンペーン動画などのサムネイルが次々と表示されます。
特徴的なのは、あえて細かな検索機能を設けていないこと。見たいものだけを探すのではなく、流れてくるサムネイルから「これ、なんだろう?」と気になったものをタップすることで、思いがけない広告と出合える仕組みです。
おすすめは、どれかひとつを表示させたら、右下に表れる「年表」ボタンをタップすること。日本の年表を見ながら、学生時代や上京した頃など、自分の記憶が強く残る時代をたどってみましょう。懐かしい商品やCMに出合った瞬間、当時の自分やその頃の空気までふっとよみがえってくるかもしれません。

年表表示から年号でCMを探したり、ハッシュタグ検索で関連するキーワードから別のCMへ移ったりしているうちに、気づけば時間が経っていることも。ひとりなら、誰に気兼ねすることもなく、自分だけの記憶の旅をたどれます。
【鑑賞方法②】コピーを読み込み、デザインをじっくり味わう

館内を歩いていると、思わず足を止めたくなるポスターやコピーにも出合えます。広告は、言葉(コピー)とビジュアルで人の心を動かすもの。だからこそ、じっくり眺めてみると、その時代の暮らしや価値観が見えてきます。
ポスター以外にも、思わず立ち止まって読み込みたくなる展示がたくさんあります。手書きの絵コンテと、それをもとに作られたテレビCM画像を見られる「金鳥テレビCM絵コンテ集」や、江戸時代の広告としても効果を発揮した「番付」など、ひとりでじっくり眺めてみましょう。
お気に入りの広告を見つけたら、撮影しておくのもおすすめです。あとから写真を見返すと、自分が好きな言葉やデザイン、色の傾向が見えてくることも。感性を振り返るきっかけにもなるはずです。
【鑑賞方法③】ライブラリーで本や映像資料に“沼る”
展示を見て気になるテーマが見つかったら、地下1階のライブラリーへ。ここには、広告やマーケティングに関する本を中心に、約3万冊の蔵書が揃っています。
テーブルに設置されたタブレットでは、デジタルアーカイブの検索も可能。展示で見た企業や商品、気になった時代、好きなデザインやコピーなどを手がかりに、さらに深く調べることができます。
また、デジタルアーカイブでは国内だけでなく海外の広告作品にふれられるのも魅力。国ごとの社会課題や価値観の違いが広告に表れていて、海外の暮らしや考え方をのぞくような感覚で楽しめます。

本棚の前で気になる一冊を探したり、映像資料を見たり。展示で心に引っかかったものを、ライブラリーでさらに深掘りできるのも、「アドミュージアム東京」ならではの楽しみ方です。
デザイン好きに刺さる。オリジナルグッズみやげ6選
展示を楽しんだあとは、ミュージアムグッズもチェック。「アドミュージアム東京」のグッズは、既製品にロゴを入れたものではなく、スタッフのみなさんが「自分たちも使いたい」と考えて開発したオリジナル商品ばかりです。
モチーフになっているのは、館が所蔵する図案やマッチラベル、広告資料など。昔の広告に使われていたデザインが、日常で使えるアイテムに生まれ変わっているのが魅力です。
例えば、江戸時代の看板文化を思わせる杉玉モチーフの小物や、レトロなビジュアルが楽しいオリジナルコーヒー、昭和初期のマッチラベルを生かしたお香など、デザイン好きなら思わず手に取りたくなるものが並びます。
ポストカードは、気に入った広告ビジュアルを気軽に持ち帰れるおみやげにぴったり。館内で無料体験できる「重ね押しスタンプ」で完成したシートも、訪れた記念になります。
一度に館内すべてを網羅しなくても大丈夫。入館無料なので、気になる展示や資料を目当てに何度でも訪れることができます。次の休日は汐留で、広告を通じて時代や自分の記憶をたどる小さな旅へ出かけてみませんか?
■アドミュージアム東京(あどみゅーじあむとうきょう)
住所:東京都港区東新橋1-8-2 カレッタ汐留B2
TEL:03-6218-2500
営業時間:12~18時
定休日:日・月曜、展示替え等による休館あり(要確認)
Text:山田裕子(editorial team Flone)
Photo:斉藤純平(editorial team Flone)
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。




