【日光】日光土産の定番「ひしや」。売り切れ必至の幻の羊羹とは|栃木
江戸時代中期に売られるようになったとされる日光の羊羹は、当時から日光東照宮や周辺寺社の参詣客の定番土産でした。現在でも日光市内には羊羹を扱う店が多く点在していますが、なかでも売り切れ必至、「幻の羊羹」とささやかれる老舗の名店があります。なかなか手に入らないという羊羹、気になりますよね。そんな幻の羊羹にスポットを当て、長年愛されている理由や確実に購入できる時間などを探ってみました。
老舗和菓子店「ひしや」の幻の羊羹

売り切れ必至でなかなか手に入らないといわれる羊羹をつくっているのは、日光街道沿いにある明治元年(1868)創業のひしや。当時のままの手づくり製法を現在の五代目が受け継いでいます。羊羹はもちろん、店舗建物や包装紙、今では珍しい竹皮包なども当時のままです。

羊羹の包装紙に描かれている菱(ひし)の形のなかの眠り猫の図柄は、日光東照宮より特別に許可を得たもの。店舗の屋根を見上げると、同じ図柄である眠り猫の彫り物が2枚あります。蔵にしまわれていたものを見つけて飾ったそう。その昔は店内に置かれていたようですが、今は店のシンボルとして、屋根の上で眠っています。

「ひしや」でつくる羊羹は、創業当時から変わらず、「袮り羊羹」(ねりようかん)1種類のみです。時代の流れとともに機械を導入する店も多いなか、今でもすべて手づくりを貫いています。そこに幻の羊羹といわれる理由がありそうですね。
「袮り羊羹」の味と製法に迫る

ひしやの「袮り羊羹」に使用するのは北海道産の小豆と角寒天、砂糖のみ。薪を焚べ、釜で炊いた小豆を石臼で挽いてこしあんにしたものを練り上げます。機械を使わずすべて手作業で、手間を惜しまず、丁寧に。そのため、大量生産ができず、1種類を一日一釜分の羊羹しかつくることができないのだそう。小豆を炊く薪も包む竹皮も近年は手にいれるのが難しくなっているものの、「ひしやさんのためなら」と協力を得られているといいます。そこにも150年以上の歴史が継なぐ信頼がうかがえますね。

つくりたてをひと口食べると驚くほどなめらか! 保存料や添加物を一切使用しないため、小豆の風味と砂糖の甘みがダイレクトに伝わってきます。最小限の材料だからこそ、味にごまかしが効かない。それが老若男女に好まれる所以なのでしょう。この味を求めて各地から足を運ぶ理由も、納得です。
一日一釜でどれくらいの羊羹ができるのか、気になるところですが、おかみに伺うと「みなさんそれが知りたいのだとは思いますが、その日の気温や湿度などによって加減が変わるのでね」という返答でした。それは秘密、ということなのかもしれませんね。
竹皮包羊羹を日光土産に
現在、多くの店では羊羹の保存性を向上させるため、アルミを使用した密封包装をするのが主流になっていますが、ひしやでは創業当時からの竹皮包を守っています。保存料を使用せず、密封性の低い竹の皮に包まれた練り羊羹は、あまり日持ちがしません。一般的なもので1年ほどですが、ひしやの羊羹は14日ほど。
竹の皮は水分を吸うため、時間が経つにつれ、羊羹の表面から水分が抜けてしゃりしゃりとした砂糖へと戻りはじめます。つくりたてのなめらかさは格別ですが、数日経ってからの、周りがしゃりしゃりしているのに中はなめらかな食感への変化も楽しみのひとつ。手土産にするなら、ぜひ「自分好みの食べ頃を見つけてお楽しみください」このひと言を添えてお渡ししてみてくださいね。
購入時間・営業時間・アクセスまとめ

「ひしや」があるのは日光街道沿い、神橋の近くです。東武日光線東武日光駅・JR日光線日光駅からバスで約10分ですが、徒歩でも20分程度。日光の街並みを眺めながらお散歩気分で歩くのもおすすめです。

朝9時にお店がオープンすると、絶え間なく買い物客が訪れ、自分用に土産用にとどんどん売れていきます。午前中で売り切れてしまうことも多いのだとか。羊羹がなくなると店先に「本日売り切れ」の木札がかかり閉店します。この木札を見て残念そうに引き返す人の姿も。取材は平日でしたが、お昼を前に売り切れの木札がかかりました。幻の羊羹を手に入れたいなら午前中、早い時間に行くのがベストです。
まとめ
時代が変わり、伝統を維持するのも難しくなってきた昨今。変わらぬ味を届けるため、「ひしや」では昔ながらの製法と包装を貫いています。多くの人を魅了する「幻の羊羹」は、こうして150年以上守り続けてきた、シンプルだからこそ妥協ができない、丁寧な手仕事が生み出すやさしい味でした。
■ひしや
住所:栃木県日光市上鉢石町1040
TEL:0288-54-0623
営業時間:9時~売切れまで
定休日:不定休
Text:大滝慶子 Photo:田村裕未
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
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