幸せのヒントは仏教にあった!?大人気「坊主バー」に行くと明日が少し変わる理由
仕事に追われて休みがない、彼氏とうまくいかない、遊びたいけど時間がない。女性は何かと蓄積する悩みが多いもの。たまにはバーで呑んですっきりしたい日もありますね。そんな日は、四ツ谷三丁目駅で降りて徒歩5分の「坊主バー」に行ってみては?線香の香りがただよう階段をのぼれば、そこには生きるヒントとおいしいお酒が待っています。
このバーは“出張寺”。毎晩恒例の読経タイムは必聴
ずらりと並ぶ酒のボトルとおしゃれなジャズサウンド。その傍らには穏やかな表情の仏像。そこはバーなのに仏様に見守られる不思議な空間。
「ここは“出張寺”みたいなものです。今のお寺はなかなか若い人が訪れる機会がないですから。ここに訪れるお客さんも、説法が聴いてみたいという方が多いですよ」そう語る店主の藤岡善信さん。
坊主バーではほぼ毎日読経の時間(1日1~2回、時間不定)があり、その日の担当坊主によってワークショップ形式の読経や、その日のお客さんの悩み相談をテーマとした説法など貴重な体験ができます。
仏の教えを聴きながら酒を楽しむ時間。日々足を運ぶ人が絶えないのは、その説法を求める人が多いからなのです。説法にはさまざまな悩みや疑問の答えを導くヒントが詰まっていて、その場で聴いた人の何かしらの課題解決に紐づいているのが魅力。心の奥底に抱えた悩みも、説法がするりとほどいてくれるかもしれません。
カウンターに置かれた店主直筆の味のある絵と文章は、悩んでいることの大半をクスッという笑いに変えてくれます。
坊主ならではのオリジナルカクテルとメニューが秀逸
メニューは折本形式。全メニューが「お経」のように連なっているところまでこだわりが!日々の悩みをお酒の力を借りて忘れたいので、まずはおすすめのオリジナルカクテルを一杯。
その名も「極楽浄土」800円。死後の“幸福のあるところ”とされる極楽浄土は、こんな美しい世界なのかしら…と見惚れながらいただきます。極彩色の正体は、フルーツリキュール「ヒプノティック」とマンゴージュース、クランベリージュースのグラデーション。果実の香りが爽やかに広がり、飲みやすい一杯です。
調子に乗って「愛欲地獄」800円にもチャレンジ。濃い紅色をしたオリジナルカクテルを味わうと、ハブ酒の力強い薬草のような香りが広がった後、コアントローの甘さとレモンのエッセンスが飲みやすさを加えてくれます。どんどんお酒を進めていると、『酒を飲むと酔います』という格言が視界に入りました。はい、自重します…。
精進料理をモチーフにした、こんにゃくや麩のおつまみも要チェックです。坊主バーならではのおつまみとともに、毒にならない程度のお酒を楽しみましょう。
少しだけ明日が変わる、仏様が教えてくれること
「イライラしていると真理が見えないですから、立ち止まって内省する時間も時には必要なんですよね」。店主の決して押し付けない謙虚な言葉に、何度もうなずき共感しながら酒をちびり。ろうそくに灯る火のゆらめきが、心を和らげます。
ついつい怒りっぽくなってしまう日々のことを話していると、店主は“無我”という考え方について教えてくれました。私というものはない、と思ったら日々の怒りなんてどうでもよくなれる。おお…そんな解決方法があったのか。
「仏様の教えを学ぶと、余計な気を使わずに生きられます」。坊主バーにこれから来る方への店主からのメッセージが、深く心に響きます。最後の一杯とメニューを開き、冒頭に引用された親鸞の言葉「酒はこれ、忘憂の名あり」に目が留まります。
憂いを忘れられるくらい、酒を飲んだら明日へ向かおう。「坊主バー」は、おいしい酒と説法、そして明日への力を授けてくれるでしょう。
Text:宿木雪樹
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。