私好みの"わがまま”トースト!喫茶店の原点・食パンを堪能
たくさんの市場がならび、東京の台所とも言われる築地。そんな築地で働く人々が長年仕事の合間に立ち寄ってきた喫茶店が、今若い女性や海外からの観光客の人気を集めているんだそう。みんなのお目当ては自分好みにアレンジしてくれる“わがまま”トースト! 50年以上愛されるその味わいを求めて、いざ築地へ足を運んでみました。【2019年9月現在閉店しています】
カウンター越しに談笑が楽しめる!まるでバーのような喫茶店
朝7時、街が目覚め始めるころですが、築地市場内ではすでに寿司屋の前に観光客が長蛇の列をなしています。その隣にそっと店を構えているのが、喫茶店「愛養」。昭和へタイムスリップしたような懐かしさを感じるたたずまいに、カメラのシャッターを切る人もちらほら見えます。
扉を開けてみると、長いカウンターとその奥にテーブル席が2つ。お客さんと店員さんが楽しそうに談笑しながら、カウンター越しにトーストやコーヒーが出される様子は、喫茶店というよりもバーのよう。築地で働く人々が、仕事の合間にお腹を満たしながら会話を交わして仕事に戻っていく、そんな風に築地をずっと見守ってきた歴史ある店でもあるのです。
お客さんの数だけオーダーの種類がある“わがまま”トースト
愛養の名物といえばこの「トーストセット」(750円)!このトースト、なんと切り方や焼き加減、ジャムの塗り方などの細かすぎるカスタマイズが可能。写真のように八切りで半分だけジャムにしたり、耳はすべて切り落として4つ切りなどそれぞれの好みのオーダーに応えてくれるのです。
こちらのカスタマイズは、「耳あり8つ切りのハーフ」。ツウはバターとジャムが半々になっていることをハーフと呼ぶそうです。
カットされたパンを口に運ぶと、ふんわり広がるバターの香りと、懐かしさを感じるいちごジャムの味わいが口いっぱいに広がり、思わずにんまり。ジャム味、バター味と交互に食べようかな〜なんて楽しみながらいただくのも、わがままトーストならではの楽しみです。
愛養のカウンターに50年以上立ち続ける鈴木さんは「今はSNSを見て、半分だけジャムのオーダーをするお客さんが大半だけれど、昔はお客さんの数だけトーストの種類があったんだよ」と話してくれました。
築地内で働く常連さんは「パンの耳は食べたくないけれど手を汚さずに急いで食べたい」と言って、上下だけ耳をカットしたものをよく頼んだのだとか。
トーストのお供に、食べ歩きの合間に。愛養のコーヒーでホッとひと息
トーストで注目を集めていますが、もともとは“珈琲の店”と謳っている「愛養」。食べ歩きの途中にコーヒーを飲みにくるという方も多いようです。
こちらの「アイスミルク」は甘さの加減を無糖、ちょっと甘め、甘めの3つから選べるので、今回は「甘めのアイスミルク」をオーダー。シロップを入れて出してくれますよ。たっぷりミルクの中に珈琲の苦味もしっかりと感じられるので、コーヒー好きも大満足の味です。
ここにも築地ならではのこだわりがあります。忙しい仕事の合間を縫ってやって来る築地市場で働く人たちを待たせることなく、おいしいネルドリップのコーヒーが飲めるようにと、ホット珈琲は味が劣化しない専用のウォーマーで保温しています。淹れたてのおいしさがキープされ、いつでもすぐにおいしいコーヒーが提供できるのです。
築地で働く人たちの活力となってきた、このトースト。その背景にはたくさんの人のわがままに応えたいという、店の優しさとこだわりがありました。ひと口頬張れば、きっと笑顔になること間違いなし。築地に行ったら、ぜひあなた好みにわがままオーダーして召し上がれ!
Text:柴山たき(エフェクト)
●記載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
【2019年9月現在閉店しています】