料理もインテリアもハイセンス!ブロカントが彩る話題のダイニング
気軽な立ち飲み屋から、各国料理店、バーなどが並び、京のグルメたちが夜な夜な集う“西院”エリア。この街に2017年に加わったのが、巧みなハーブやスパイス使いで、香り豊かで独創的な料理を楽しませてくれる「Maker(メーカー)」です。ヨーロッパの古い家具や照明を取り入れたインテリアもお洒落。親しい人の家を訪ねたように、気取らずくつろいだ気分で過ごすことができます。
築60年の質屋を改装し、オープンキッチンのレストランに
大きなケヤキのテーブルをぐるりと囲む座席と、そこに繋がるように設けたオープンキッチン。2017年2月にオープンした「メーカー」は、友人の家のようにリラックスした気分で過ごせる相席スタイルのレストランです。
店主の吉岡慶さんとともに店を切り盛りする奥さま、そしておいしい料理を囲んで、ゆるやかで心地よい時間が流れます。
むき出しのコンクリートの天井、壁の電気配線をインテリアに生かしたラフな店内は、元は築60年の質屋さん。大学で彫刻を学んだ吉岡さんが、約3年をかけてセルフリノベーションしました。
ヨーロッパの工場で使われていた巨大なライトや、イギリス軍愛用の折りたたみ椅子「ローバーチェア」など、個性的なヴィンテージ家具を大胆に組み合わせながら、ハイセンスで居心地の良い空間に仕上げています。
こちらは、質屋さん時代の鉄製の金庫の扉!長い時を経て生まれた風合いがかっこいい。
お皿は18〜19世紀初頭のフランスのものが中心。時にはアフガニスタンの絵鉢が登場することもあるそう!
醍醐味は旬の野菜やハーブで仕立てる、ボーダレスな料理
6月からはじまった金・土曜限定のランチ、カフェ営業も話題ですが、こちらの醍醐味はなんといってもディナーにあります。吉岡さんが生まれ育った京丹後産の旬の野菜をたっぷり使い、野菜でおだしをとったり、多彩なハーブやスパイスをきかせたり、意外な食材を組み合わせたり…。ルールにとらわれず、素材のおいしさを自由に引き出すボーダレスなスタイルが魅力です。食べるたび爽やかな香りが鼻腔をくすぐり、新鮮な感動に包まれます。
写真は春の前菜の一例、「オレンジのスパイスマリネ」。甘酸っぱいオレンジにタラゴンの葉と、クリームチーズやシナモン、ピンクペッパーなどを散らして。こだわりの自然派ワインと合わせても美味です。
メインの一例「豚肩ロースのグリル」は、グリルパンで芳ばしく焼き上げたジューシーで軟らかなお肉が絶品! 写真は、パクチーとキウイを合わせたエキゾチックなソースに、野生のクレソンのサラダとノビルを添えて。野草ならではの清々しい辛味が、最高のアクセントに。
もちろん、ハーブを使ったデザートも美味。見た目も愛らしくてうっとり。
古道具を生かした遊び心あるインテリアにも注目
「昔から古いものを集めるのが好きで」と吉岡さん。店内のあちこちで、古い時計や子ども用の椅子など、吉岡さんがコツコツ集めたというブロカントやアンティークたちが活躍中です。
写真は、タイプライターでおなじみ、米レミントン製の70年代のレジスター。なんと現役で、お会計の時にはカタカタと味のある音が響きます。
キッチンにあるコーヒードリッパーや花器は、よく見ると古いろうとやビーカー、フラスコ。理科系アイテムに、こんな素敵な活用法があったとは。
質屋さん時代の受付カウンターを、ドライハーブや古い英国チェアで飾った2人席。
店内のどのコーナーを眺めても、絵になります。唯一無二で、実験的ともいえる吉岡さんのスタイルは、お料理好きはもちろん、インテリア好きの人にも素敵なお手本になりそうです。
text:ヤマグチノリコ
photo:マツダナオキ
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