3か月待ちでも食べたい!「ケンズカフェ東京」のとろ~り焼きたてガトーショコラ
イタリア料理店のオーナーシェフ氏家健治さんが、コース料理のデザートとして作っていた焼きたてのガトーショコラ。そのあまりのおいしさから「売ってほしい!」とリクエストが殺到し、ガトーショコラの専門店になったというのが「ケンズカフェ東京」というお店。20周年を機にレシピを見直したというので、買いに行ってみました!
Summary
箱の底がほのかに温かい!当日の焼きたてが買えるのはこの店だけ
「ケンズカフェ東京」の店名には“カフェ”とついていますが、これは以前イタリア料理店を営業していたときの名残り。現在飲食営業は一切しておらず、お店ではガトーショコラ1種類だけの製造と販売をしています。訪れたこの日は12月初めでしたが、3か月後まで予約はいっぱい。しかもホワイトデーの3月13日、14日の分は先に完売してしまう人気ぶりです。
店内に入るとキッチンでガトーショコラを作っている模様。予約が殺到する有名店なのに、イタリア料理店時代のままの小さなキッチンでハンドミキサーさえ使わず、すべて手作業で作っているとは驚きです!
オーナーシェフ氏家さん曰く、あくまで個人店の規模を広げず機械化や冷凍保存をしないのが信条。5年ほど前には通販もやめて、需要が増える年末年始やバレンタインでも数を増やさず、無理をしないで続けられる1日300本のみを製造しています。
「ケンズカフェ東京」はガトーショコラの専門店となった今でも“レストランの焼きたてデザート”という原点にこだわっているそう。箱の底を触ると温かい熱が伝わってきます!
一部のデパートにも卸していますが、焼きたてのままだとやわらかすぎて配送中に崩れてしまう可能性があり、やむなく冷蔵しているそう。つまり温かい焼きたてを買えるのはこのお店だけなのです。
20周年を機に、苦さと甘さをおさえたフルーティな味にレシピを変更!
こちらが「特撰ガトーショコラ」(1本280g・3000円)です。お店で購入してから持ち帰るまで約2時間。それでもまだ箱の底はほんのり温かなぬくもりを保っていて、ふたを開けると香りがふわっと立ち込めます。今までこんなに焼きたてが実感できるガトーショコラに出会ったことがありません!
いざ、包丁を温めてカットします。断面を触ると外側はしっかり焼き固められていますが、内側はプリンみたいにぷるぷるの弾力。中心は半熟状態でしばらく形を保っていましたが、みるみるうちにとろ~っと溶け出し、まるでフォンダンショコラのよう。
ほんのり温かさが残るガトーショコラを口に入れると、卵のうまみとチョコレートの香りが広がり、さらっと溶けてなくなります。濃厚そうに見えましたが、ふんわり軽やかでキメこまやかな口当たり。これは間違いなくガトーショコラの最高峰です!
実は「ケンズカフェ東京」の20周年を機に、氏家さんは今の時代に合った苦みがやさしくフルーティな味を目指そうと一大決心。2017年6月から材料のチョコレートをドモーリ社からヴァローナ社に変更し、1年がかりでレシピを微調整したそうです。
「ケンズカフェ東京」が秀逸なのは、ガトーショコラに使う製菓用チョコレートをオリジナルの焙煎とブレンドで作ってもらっていること。「KEN’S」という名前までつけて、世界の一流パティシエが認める高級チョコレート会社と取引しているのは、おそらく国内唯一です。
翌日以降は常温、冷やして、温めての3通りの食べ方を楽しんで
買った翌日に食べるならと氏家さんに紹介してもらったのは、お客様から教えてもらったという①温めて、②常温で(上写真)、③冷やしての3通りで楽しむ食べ方。当初は「焼きたてがおいしいのにわざわざ冷やすなんて!」と思ったそうですが、やってみると口どけや香りの立ち方が変わっておいしいのだそう。
さらに、焼きたて当日ならでのこんな食べ方も。「ケンズカフェ東京」のレストラン時代には焼きたてのガトーショコラを、お客様の前で縦長にザクっと切れ目を入れて、熱いチョコがぶわ~っと流れ出る演出をしていたとか。それがいちばん大胆でおいしそう…。次に焼きたてを買ったときには、絶対に真似してやってみたいと思います。
※テイクアウト専門。カフェレストランの営業はなし
Text&Photo:松本いく子
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