甘くて絹のようになめらか!アルカリイオン水で作る銀座の高級食パン専門店
2018年9月のオープン以来、行列が絶えない「銀座に志かわ本店」は、毎日食パン500本が完売するという人気店です。販売は食パン1種類のみ。現在“食パン激戦区”になっている銀座のなかで、ひと際目を引くこだわりどころは、なんと水!そんなに味が変わるものなのか、確かめに行ってみました。
パン業界の常識をくつがえす、アルカリイオン水でこねた食パン
「銀座に志かわ本店」の食パンは、三重県や愛知県で人気を博し、伊勢神宮に奉納するほどの実績をもつ「513ベーカリー」が、長年の研究の末に開発した食パンがベースになっています。この食パンに素材のうまみを引き出すために着目したのが、アルカリイオン水でした。
「銀座に志かわ本店」の紙袋には“水のしずく”がデザインされ、ここにも水へのこだわりが!パン職人歴50年の超ベテラン製造長にお話をうかがうと、開発当初はアルカリイオン水を使ってパン作りをするなんて「ありえない!」と思ったそうです。
そもそもパン業界ではパンに弾力のあるコシを出すために、やや硬水の弱酸性の水を使うのが一般的。その酸性とは真逆のアルカリイオン水を使ってパンをこねると、生地がだれてしまうため、こね方から徹底的に再調整する必要がありました。
凛とした風格さえ感じる!まずは生食でみずみずしさを味わう
そんな試作を重ねて完成した「水にこだわる高級食パン」(1本864円)がこちら。サイズは11cm角×24cm長さの小ぶりですが、持ってみると意外にズシリと重みがあります。焼き上がって1時間は休ませないと腰折れしてしまうほど、やわらかな状態で焼き上がります。
焼き色はほどよく控えめ。食パンの角のラインは丸みを帯びていて、薄っすら白い線が入っています。これは上手に焼けたときに現われる「おいしい証」、通称“ホワイトライン”。食パンなのに凛としていて、どこか風格を備えたたたずまいです!
「買った当日はそのまま食べてみてください」とお店からのアドバイス。まずは大胆に割ってみると、ものすごくふんわり。触っているだけでみずみずしさが伝わってきます。
口に入れるとほわっとナチュラルな甘みが広がります。食感は絹のようにきめ細やかで口溶けのよさに絶句…。生クリームやバター、はちみつ、練乳などリッチな食材が入っているとはまったく感じないほど、さらっと軽やかな後味です。製造長曰く、この繊細な甘さと口溶けこそアルカリイオン水の成せる業なんだそう。お見事!
翌日はトーストにして楽しんで。粉が落ち着くからより甘みが強くなる!
買った当日に食べきれない分はカットして冷凍保存してもいいのですが、ひと晩おいてトーストで楽しむのがおすすめ。トースターをしっかり予熱して、表面を一気にカリッと焼くのがコツ。小麦粉の味が落ち着いてきて、生地の甘みがより強くなり、バターをつけなくても十分においしい!
「銀座に志かわ本店」の食パンは小麦粉の風味の主張があまりなく、ほんのり甘みを含んだやさしい味わいなので、きんぴらや焼きのりなど和風食材ともよく合うそう。そんなおかずにも合う、白いごはんのような食パンは日本人だから作れた味なのかもしれません。
購入できるのは1人2本まで。予約をすれば並ばずに買うことができます。ぜひ一度食べてみてください!
Text&Photo:松本いく子
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