「蕎麦・菜食 一如庵」はミシュラン掲載の奈良にある名店!古民家でそばを味わう
青々とした山や森に囲まれた奈良県宇陀市。美しい自然が残るこの地に、自家製粉のおいしい手打ちそばと、土地の野菜や山菜をたっぷり使った旬菜で仕立てるそば懐石を楽しめるお店「蕎麦・菜食 一如庵」があります。建物は築150年の古民家。流れる空気もゆるやかで、心からほっとくつろげる空間です。
宇陀の里、築150年の古民家をお店に
神話や万葉集のふるさととしても知られる奈良県宇陀市。「蕎麦・菜食 一如庵」は、奈良と伊勢をつなぐ歴史ある伊勢街道沿いにたたずむお店です。風情ある和の建物は、店主の桶谷一成さんの生家で築150年。各地で料理修行をされた後、2006年にオープンされました。
古い家具や建具を大切に生かした店内は、木の温もりが心地よい静かで落ち着いた空間。モダンな椅子席のほか、いろりを囲んでくつろげる座敷席もあります。窓の外に広がる緑も美しく、時間の流れがゆったりと感じられるよう。
予約制の「昼の膳」で、季節の息吹を感じて
名物のそばは、桶谷さんが国産のそばの実を自家製粉し、手捏ね・手打ちで仕上げたこだわりの一品。昼の献立では、もりそばやおろしそばなど単品のほか(冬場はかけそばも)、予約制の「昼の膳」でも味わうことができます。こちらは肉や魚を使わず、そばと季節の野菜や野草、自家製豆腐などで仕立てる、目にも麗しい全6品の菜食懐石コースです。上の写真は夏の料理の一例で、涼やかな碗に盛られているのは、自家製くみあげ湯葉とオクラのあんかけ。
ほかに、みょうがずし、コリンキーの山椒オイル浸しのほか、庭で採れたというヤブカンゾウの花の甘酢漬も。春は山菜のほろ苦さ、夏は太陽をたっぷり浴びて育った野菜の甘み、秋はきのこのコクや旨み、冬は根菜の滋味…と、旬の素材の持ち味を桶谷さんが丁寧に引き出し、清々しい香りや食感も含めて存分に楽しませてくれます。
盛り付けにほれぼれしてしまうこちらは、新じゃがの甘辛煮、吉野産ぜんまい、大和丸なす、モロッコいんげんのクミン炒め、とうもろこしと白キクラゲなど。材料はどれもフレッシュな採れたて、作りたてなので、口いっぱいにみずみずしい甘みや香りが広がり、体の中にもやさしくしみ渡っていくよう。
〆はのどごし抜群の手打ちそば
「昼の膳」の〆に登場するそばは、更科そばもあれば、挽きぐるみの十割そば、ぶっかけそばもあり、その時々のお楽しみ。そばの実は茨城産や北海道産など4種類を仕入れて、桶谷さんが打ちたいそばによって使い分けているというこだわりぶりです。
もちろん、そばつゆのおだしの材料や引き方も、そばの種類に合わせて変えているそう。香り豊かで、ツルリとのどごしの良いそばを味わう時間は、至福のひとときです。
奈良市内からお店までは車で約50分。少し離れてはいるけれど、豊かな自然のなかで味わう食事は最高のおいしさで、わざわざ訪ねるだけの感動や発見があります。歴史ある街ゆえに、界隈には古い神社や巨樹群もあってのんびりドライブを楽しめるのも魅力です。
おみやげには桶谷さんの奥さまが焼いているそば粉クッキーもおすすめです。いちじくや酒粕、チョコレート、チーズなどの多彩なフレーバーと、素朴なそば粉の風味が絶妙!熱いお茶にもコーヒーにもよく合いますよ◎。
text:ヤマグチノリコ
photo:マツダナオキ
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。