迷える女子の駆け込み寺。都心の古刹・博多「妙楽寺」で座禅体験
にぎやかな大博通りから一歩入った閑静なエリアに佇む博多の古刹「妙楽寺」。ういろう伝来の場所としても知られるこのお寺では、一般の観光客や住民でも「座禅体験」ができます。住職の指導のもと行う座禅タイムは、日頃の悩みを忘れ、頭を空っぽにして自分と向き合えるスピリチュアルなひととき。終わったあとには不思議な安らぎと爽快感が感じられます。
ビジネス街から一歩入ると現れる美しい禅寺
「妙楽寺」は、臨済宗大徳寺派の禅寺。聖福寺や東長寺をはじめ、数多くの寺社仏閣が立ち並ぶ界隈に佇んでいます。御供所通りに面する山門をくぐって境内にはいると、ビジネス街の近くであることが嘘のように、静かで清らかな空間が広がっています。
妙楽寺の創建は鎌倉時代後半。当時は商都・博多の海ぎわに位置し、元、明、朝鮮との貿易拠点のひとつとして、外国からやって来た外交使節や外国への渡航を控えた日本人の宿泊所としての役割も担っていました。その後戦国時代に焼失するものの、江戸初期に現在の場所に移転し、今に至ります。
一般の観光客も申し込むことができる座禅体験は、ご本尊の釈迦如来像が安置されている本堂で行われます。
昔の本堂は福岡大空襲で被害を受けたため、今の本堂は、古さはないものの、伝統的な日本建築でありながらどこかモダンな雰囲気も感じる素敵な場所です。
座禅に挑戦。あえて叩かれてみるのもアリ
頭から全ての雑念を消し去り、何も考えず穏やかな状態に保ちます。いつもより長くゆったりとした呼吸を心がけて。足は半分組み(半跏趺坐・はんかふざ)、遠くを見据えるような姿勢で視線だけ落とし、手で印を結ぶ…ちょっと、仏像になった気分!
スタートの合図である「引金(いんきん)」のよく透る音が静寂を破り、長い余韻を引きながらやがて消えると、本堂の空気が一変。凛と張り詰めた雰囲気に変わります。
座禅は休憩を挟んで20分ずつ、計40分が基本。座禅には、「居眠りをしたら棒(警策・けいさく)でパシッとしばかれる!」というイメージがありますが、わざわざ居眠りなどしなくても大丈夫。叩いて欲しければ、住職が前を通ったときに合掌し、胸の前で手を組み一礼すると、丁寧に上品にしばいてもらえます。
叩かれると、驚くほど大きな乾いた「パーン」という音が響き渡るのですが、痛みは伴いません。この辺りは住職が色々加減しているそうです。
歯を食いしばって闘魂注入的な熱血なノリを想像していたのですが、全くそんなことはなく、むしろ叩かれることで悪い心を飛ばしてもらえたようで、スッキリした気分になりました。
座禅体験後は、ご住職自ら点てた抹茶をいただきながら、簡単に悩み相談など受けてもらえます。「当寺は私で40代目です」という言葉にも、お寺の歴史を感じます。
それにしても座禅体験、もっと辛くて痛い、精神修行のようなものかと想像していたのですが、全くそんなことはなく、スッキリとリラックスできる時間でした。日頃のストレスも軽くなり、気分転換できたようです。
こうした効果は本堂の雰囲気あってこそという気もしますが、ここでやり方を覚えて帰り、家でやってみるのも悪くなさそうです。
境内は見どころ多数。まるで映画のワンシーン
座禅体験が終わったら、境内を散策してみましょう。基本的に境内は、座禅をしてもしなくても、自由に拝観できます。
ういろう伝来の地であることを伝える石碑も、見どころの一つ。元から博多に来た陳延祐が作っていた薬「透頂香」と接待用の甘い菓子が、ういろうのルーツなのだそうです。「ういろう」は、陳延祐の元での役職名。
境内には「博多塀(はかたべい)」もあります。博多塀は豊臣秀吉の博多太閤町割の際、戦火で焼けた街の復興を願って、焼け石や焼けた瓦を塗り込みながら作られた土塀で、格好の撮影スポット。
本堂裏手の墓所には、近世に活躍した博多の豪商たちも眠っています。
境内にはそのほかにも大きなヒマラヤ杉や鐘楼などの見どころが点在しています。毎年秋に行われる博多旧市街のライトアップイベント「博多千年煌夜」の際には、夜の様子を楽しむこともできますよ。
座禅は、悩みやストレスを抱える人はもちろん、ただ気分転換したい!日本の文化をもっと知りたい!という人にも、とってもオススメの体験でした。
場所は、聖福寺や東長寺のすぐ近く。ほかにも数多くの寺社が密集するエリアです。最寄の地下鉄祇園駅からはすぐですし、JR博多駅から歩いても15分ほどで到着できるので、観光や出張のついでに足を運んでみてはいかがでしょう。
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