「大極殿本舗 六角店 栖園」の琥珀流しに注目!お土産も人気の京都の甘味処
儚げで美しく、ひんやりと喉を通る和スイーツ「琥珀流し」が食べられるのは、なんと大政奉還の2年前に建てられたという、歴史ある和菓子屋の一角。季節が変わるたびに訪れるという人も多い人気店「大極殿本舗 六角店 栖園」の奥深さに迫ります。
京都市の歴史的意匠建造物
「大極殿本舗 六角店 栖園」の建物は、京都市の歴史的意匠建造物にも指定されている、慶応元(1865)年の建築。
足を踏み入れるのも躊躇するほどの立派な店構えですが、のれんをくぐれば、手頃な価格帯のお菓子が並びます。
もともと住まいだったお屋敷は、当主の美意識が隅々まで行き届いていて、どこを見ても素晴らしいものばかり。なかでも主役に据えられているのが、特別に作ったショーケース。
ショーケースの上にある年代物の菓子箱は、今でも現役で使われていて、年末、お得意様に御用聞きにいくための菓子が入っています。
漆塗りに文様が描かれた菓子箱の蓋をあけると、美しい上生菓子が。「大極殿本舗」には年の瀬になると、新年を迎える菓子を用意するお得意様のために、菓子箱を持って回り、注文を受けるという習慣がまだ残っているそうです。
毎月蜜が変わる!宝石のような「琥珀流し」
「大極殿本舗 六角店 栖園」といえば、春は桜、夏は朝顔や菖蒲と、軒先に飾られるのれんが変わることでも有名です。喫茶の看板メニュー「琥珀流し」も、毎月蜜が変わることで、日本の四季を感じさせてくれます。
初めてメニューに登場した「琥珀流し」は、4月の桜蜜。塩漬けにした桜の香りまで楽しめる、はんなりと美しい桜蜜は、春の訪れの喜びを表現しているようです。
新緑がまぶしい5月には抹茶蜜の「琥珀流し」を。琥珀のうえの抹茶は、抹茶を丹念に練ったもので、甘みはゼロ。
日を置くと味が変わるため、練りたての抹茶がかけられています。しっとり甘い蜜と絡めて、さわやかな初夏の味。
6月になると「大極殿本舗」直伝の梅酒を使った梅蜜に変わります。熟成された古い梅酒と味に尖りのある新しい梅酒を混ぜて、琥珀に似合うシロップに味を整えているそう。雨降る季節にしっとりと溶けていきそうな味わい。
京都の暑い夏に一服の清涼感を与えてくれるのが、7月のミント蜜。ミントのリキュールとペパーミントのゼリーの色も美しく、清々しい一品です。
京都に来ないと手に入らない、夏だけの美しいおみやげ
おみやげにも、夏限定の商品があります。レモンの琥珀流しを四角く固めたような、透きとおる和菓子、「レースかん」。琥珀流しと同じく、原料は寒天です。
レモンリキュールの香りが爽やかな錦玉羹に、キュッと酸っぱいレモンの輪切りを並べた「レースかん」は、5月~9月中旬までの期間限定で、店舗に足を運ばないと購入できない逸品。見た目の美しさも、京都に来ないと手に入らない特別感もあり、おみやげに喜ばれそうです。
こちらも夏限定の、「桂川 若あゆ」。ほかにも、毎月「平安神宮」に献上されている献上菓子「大極殿(白あん)」(1個108円)、「春庭良 カステーラ」(ハーフサイズ594円~)など魅力的なお菓子が揃い、京都みやげ選びにもおすすめです。
「大極殿本舗」は、四条烏丸にある本店でも2019年6月初旬から喫茶スペースがオープン。そちらでは六角店とは違う、月替わりの蜜の「琥珀流し」が登場するそうです。京都には、和のスイーツを味わう楽しみが尽きません。
Photo:瀬田川勝弘
text:小西尋子
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