京都・円山公園の隠れ家的甘味処で、ふっくら上品な福蜜豆と日本茶で贅沢な時間

京都・円山公園の隠れ家的甘味処で、ふっくら上品な福蜜豆と日本茶で贅沢な時間

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夜桜が美しい「祗園のしだれ桜」で有名な京都の円山公園の一角にひっそりと立つ「茶菓円山」。上品でおいしい甘味が味わえる人気のお店です。お店のある円山公園は、京都で最も古い公園。八坂神社の東、知恩院の南、東は東山三十六峰につながっており、静かな雰囲気は旅の疲れを癒すのにもおすすめ。おいしい甘味を味わったら、公園散策も忘れずに。

Summary


京都旅の気分を高めてくれる最上のロケーション

京都の中心街、四条通りの東端にある八坂神社。朱色の鳥居をくぐり、神社を抜けて境内を歩けば、ゆるやかに円山公園へと繋がります。

京都で一番有名な1本桜ともいえる「祇園しだれ桜」とひょうたん池が見えたら、「茶菓円山」は、すぐそこ。

迷いやすい人は、知恩院の南門から入ると左手に看板を見つけることができます。

涼しげに打ち水された石畳から梅見門をくぐり、格子戸を開けると、目に飛び込んでくるのが、奥行きのある漆塗りのカウンター。

ところどころ布目が覗くのは溜塗でしょうか。上質な空間に背筋が伸びます。

茶室さながらに掛け軸があり、季節の和花が品よく飾られています。こちらのお店、日常の風景に寄り添ういけばなを集めた「京都日常花」という本にも紹介されていて、山野草や和花好きの間でもよく知られています。

お店では月に1回ずつ、先生を招いて生け花や書道のレッスン、座禅会もされているそうなので、興味のある方は公式Facebookをチェックしてみて。

好みの茶器を選んで、最高位茶師のお茶で一服

さて、お店でいただけるのは、お茶、お菓子に加えて軽いお食事やアルコールも。お茶を注文すると、まずは使う茶器を選ばせてもらえます。

棚には東京でスタイリストをされているオーナーの目利きで選ばれた作家ものの器がずらり。岡本作礼さんの佐賀県・唐津焼。猪飼祐一さんの京焼・清水焼など全国の窯元から集められたのは、強い主張はしないのに個性がにじむ美しい器たち。その日の気分で選んでみて。

深蒸煎茶(温・冷)800円 お湯を足してもらい、3煎ほど楽しめます
深蒸煎茶(温・冷)800円 お湯を足してもらい、3煎ほど楽しめます

メニューには、「深蒸煎茶(温・冷)祥玉園 茶菓円山 別製合組」の文字が。祥玉園といえば、「マツコの知らない世界」でテレビにも登場されていた、日本に13人しかいない茶師十段の小林裕さんがいらっしゃるところ。

小林さん自ら、茶菓円山の菓子、八坂神社の境内で汲む御神水、作家ものの器の3つの要素にしっくりと合うお茶を特別に合組されたそう。

深蒸煎茶50g 3000円(税込)
深蒸煎茶50g 3000円(税込)

茶葉の販売もされているので、おみやげにもいいですね。八坂神社本殿向かって右手に御神水(力水とも呼ばれる)が湧き出ていますので、できれば一緒に持ち帰り、この水でお茶を淹れてみてください。

いまの気分にぴったり、甘くない和菓子「福蜜豆」

福蜜豆1200円、小サイズは1000円
福蜜豆1200円、小サイズは1000円

さて、お楽しみの「福蜜豆」。小豆だけではない、何種類もの豆がゴロゴロと盛られています。

いちばん大きな豆は、紫花豆。高級料亭のおせち料理にも入る豆。白いものは、豆自体に自然の甘みがある白花豆、えんどう豆は赤ではなく青えんどうが使われています。それぞれに個性のある豆。種類ごとに味付けを変えて焚きわけているそう。

茶菓円山の流儀は、料亭のようにできたての味を提供すること。器の温度、寒天の大きさとやわらかさと舌にやさしい冷たさ、ふっくら炊かれた豆の塩気とほのかな甘味。みつ豆の概念をはるかに超えて洗練された「福蜜豆」は、名前のとおり、食べると福々しい気分になれます。

“甘くない”と書きましたが、お盆に白蜜と黒蜜が添えられて、甘みを調整できます。豆も寒天もそれぞれに味がつけられているので、そのままでも十分に美味しいですが、白蜜をかけると豆のエッジが立ってきて新たな味覚が現れます。そのまま垂らしかけても、さじにすくった豆に直接かけて味の違いを楽しむのもご自由に。

茶菓円山の季節の味をご紹介

いちじくと豆腐餡  1600円
いちじくと豆腐餡 1600円

「茶菓円山」では、定番のお菓子のほかに、季節限定のものも用意されています。例えば、秋は「いちじくと豆腐餡」。朝夕の空気に涼しさを感じるようになる9月初旬から出始めます。生の果実感が残るいちじくのコンポートに豆腐に餡を練り込んだ豆腐餡を添えたもの。

煮麺 1400円
煮麺 1400円

年中食べられますが、とくに秋から冬にかけて恋しくなる「煮麺」。寒くなり、霜が降りるにつれてヌメリが強く、甘みが増す九条ネギがたっぷり。

冷やし素麺 1800円
冷やし素麺 1800円

猛暑にさっぱりといただきたいのが、「冷やし素麺」。海老、湯葉、どんこ椎茸、山芋、三ツ葉、みょうが。具材の一つひとつが一品料理のようなしっかりとした存在感を放つ冷やし素麺。麺の茹で具合、締め具合も抜群。

みつ豆といい、素麺といい、ごくごく身近にあるメニューがここまで極まるのかと感動します。

メニュー名と金額だけを見ると、庶民感覚では、うわぁ…と思いますが、時間、空間を含めて値段以上の価値を体感できる「茶菓円山」。次の京都旅行の目的地のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

Photo:瀬田川勝弘
text:小西尋子

●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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