3年に1度のお楽しみ!アートの祭典「あいちトリエンナーレ」で今しかない景色を切り取ろう
3年ごとに開催されるアートの祭典「あいちトリエンナーレ」。4回目の開催となる今回は、国内外から90組以上のアーティストが参加。名古屋市と豊田市で作品展示やイベントなどが繰り広げられています。作品のほとんどは撮影フリー。今、ここにしかない景色に、カメラ片手に会いに行こう!
メイン会場「愛知芸術文化センター」へ
「あいちトリエンナーレ2019」は8月1日に開幕し、10月14日まで開催中です。
会場となるのは5エリア。名古屋市の愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、四間道&円頓寺、そして豊田市美術館と豊田市駅周辺で展開しています。
この記事では、名古屋市内の会場から一部をご紹介します。
※会場の一室「表現の不自由展・その後」は現在展示中止中です。これをうけ、ほかの参加アーティストからの抗議として、展示辞退や展示内容変更が発生しています。
愛知芸術文化センターの地下吹き抜けがいつもと違う景色に。
高さ12mの巨大な幕に近づいてみると…
何枚ものバンドTシャツ!物々交換で集めた古着Tシャツが縫い合わされ、埋め込まれたスピーカーからは音楽が。アメリカ大陸の経済というシリアスなテーマが潜んでいます。
※現在、幕の一部が上がり音楽は一時停止中
特大スマホのように見える2台のモニター。そこに映る人物は別々に撮影されたものなのに、合わせることで関係性を想像してしまう!?作品です。
11階の展望回廊からは、「オアシス21」など名古屋の観光名所が見下ろせます。芝生広場の手前地面に、航空機の形の白いラインが。白線の正体は無人偵察機の実物大の影。
サイケな衣装に身を包んだピエロが45体。本物なの?彫刻なの?探りながら一体一体の顔を見ていくと、みんな目を閉じて静かな表情。人間が24時間のうちに家で行う孤独なふるまいを示しているとのこと。
10億年後には地球の自転速度が低下して、1日が34時間になるという予想に基づき制作されました。
裏側。時間になると、時計の下に空いた穴から「何か」がポトリ。よく見ると地球を模した球。月が落ちてくることもあります。
古い建物とアートが出合う「四間道・円頓寺」
作品展示は美術館だけにあらず。名古屋駅の北東、歴史的な建物が残る「四間道(しけみち)」と、レトロな商店街がある「円頓寺」へ。
古い建物を利用した展示が多いエリアです。普段は公開されていない蔵の中に入ることもできます。
江戸時代から残る蔵の中に、古い家具や道具がぎっしり。その上には、戦争により焼け野原となった名古屋が再現されています。
和室の中に、木枠、鏡、映像。どれが実在するものなのか、頭の中が「???」。境界のあいまいさを表現しています。
昭和モダンな衣装の人物写真。会場にあるスナップ写真と照合してみて。
自分の名前「葛宇路」を使って道路名を示す案内標識にしてしまった作家の作品。
円頓寺では日替わりで野外ライブも開催(木~日曜の19時スタート)。
愛知の作家、鷲尾友公さんの壁画が会場を彩ります。
出演アーティストは公式HPでご確認を。
ジェンダーやフェミニズム問題に触れる「名古屋市美術館」
今回のトリエンナーレでは、参加アーティストの男女比がほぼ半々。実はこれ、国際芸術祭ではとても珍しいことなんだとか。ジェンダーや女性をテーマとした作品も多く、それをいちばん体感できる会場が名古屋市美術館です。
ピンク色ベースの作品。「女性であるがゆえに苦しんだこと」「セクハラ・性暴力」についてのアンケートが掲示されています。
現在は展示内容が変更されました。「表現の不自由展・その後」中止への抗議として、来場者の記入用紙が撤去され、替わりに未記入のカードが床に散りばめられた状態(「沈黙のClothesline」)に。
シャーレのような透明アクリル枠の中には、オーガンジーの布とアップリケ。妊娠を機に、生命をテーマに取り入れた作家の作品。
布の隙間を覗くと、中はラメ糸刺繍で作られた部屋。人工授精で産まれた作家が「選択された生」について考えます。
パッと見の第一印象で興味がわいた作品はありましたか?
その作品のコンセプトや背景を探ると、より魅力的に感じたり、予想外の視点が見えてきたりして一層楽しめますよ。
そして、名古屋市を飛び出て、豊田市会場へもぜひ足を運んでみてくださいね。
■「あいちトリエンナーレ2019」
10月14日(月・祝)まで(会期中休館日あり)
会場:愛知芸術文化センターほか
時間:会場により異なる
料金:1DAYパス一般1600円、大学生1200円、高校生600円、ほかフリーパスなどあり
Text&Photo:石崎幸子
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