京都・祇園で雅な茶詠み体験。老舗茶問屋のお茶と一口菓子の魅惑のペアリング
京都市に景観を守られたもっとも祇園らしい場所、祇園町南側。情緒あふれる町並みに、まるで存在を消すかのようにひっそりと小さな暖簾がかかるお店が、今回ご紹介する『祇園 北川半兵衞』。150年以上昔からある宇治の老舗茶問屋「北川半兵衛商店」が満を期してオープンした日本茶カフェの、茶問屋だからこそのこだわりメニューをご紹介します。
見逃し注意!祇園町の風景に溶け込む奥ゆかしい店構え
八坂神社から四条通りを河原町方向にまっすぐ行く途中、左に曲がるとあたりは時代が止まったような木造二階建ての建物が並ぶ、昔のままの景色が広がります。着物姿が映える町並み。
老舗の茶問屋が営むカフェ『祇園 北川半兵衞』があるのは、祇園町南側の東端。ちょうど「漢字ミュージアム」の裏手になります。近くまで行かないとわからないくらい、控えめな暖簾が、唯一屋号を示すもの。
店内は、照明を落としたモダンな雰囲気。1階は手前がテーブル席、奥がカウンター席になっています。
2階はゆったりとくつろげるソファ席になっていて、ラグジュアリーな雰囲気。
古い茶箱の木を割ってブラインドように仕上げた特徴的な壁がおしゃれ。
特徴的な壁の間を覗き見ると、文久元年創業の宇治茶問屋「北川半兵衞商店」の屋号紋のついた古い茶箱が、古い京町家に収まりよく並んでいます。
看板メニューの「茶詠み」で平安貴族気分
改めて価値が見直されている日本茶の真髄を感じたいのであれば「茶詠み」をオーダーしてみてください。こちらのメニューは昼夜を通して注文可能。5種類のお茶とそれぞれのお茶に合わせた菓子とともにゆったりと味わえます。
お茶は左から抹茶、煎茶、ほうじ茶、和烏龍茶、和紅茶と並びます。抹茶は、普段お茶席で亭主が点てているものをグラスで提供。お作法など気にせず、気軽に、純粋に味を楽しめます。
和洋を問わず、京都の通人の間で話題になっているお店の菓子や、専属パティシエがそれぞれのお茶に合わせて作った贅沢なお菓子とともにペアリングを楽しむ時間は、まさに「茶詠み」の時間。京都好きの方にも、日本茶好きの方にも一度は体験していただきたいメニューです。
そして、京都に来たら、抹茶スイーツは欠かせないという方にオススメなのが、「抹茶のデグリネゾン」。デグリネゾンとは、フランスの料理用語で、ある一つの素材を、調理法を変えてさまざまな味で楽しむこと。『祇園 北川半兵衞』が七変化させるのはもちろん抹茶。シーズンで少しずつ内容が変わりますが、今回のものは、抹茶アイス、濃茶のチーズケーキ、グリーンベルト、抹茶とミルクのジュレ、ころほろ抹茶ボウルの5種類。
5種類の菓子には、すべてこちらのお茶席用の抹茶が使われています。一般的に抹茶には「うまみ」「渋み」「苦み」の3つが感じられるといわれますが、本当に上質な抹茶はうまみの中にほのかな渋みが感じられる繊細なもの。
「抹茶のデグリネゾン」は、上質な抹茶のほのかな渋みが感じられるように、極限までたっぷりと高級抹茶を使ったとても贅沢な一皿です。なかでも違いがわかりやすいのが、抹茶のアイス。舌で溶け広がる高級抹茶の味わいの違いを感じてください。
夜はお酒も。『祇園 北川半兵衞』で大人のカフェバータイム
祇園の夜をしっぽりと過ごす夜の時間もおすすめです。京町家の特徴である坪庭に向かうた一枚板のカウンターが特等席。窓枠にはリキュール類がずらりと並んでいます。
夜カフェタイムには、しっぽりとカクテルなどいかがでしょうか。こちらは「芙蓉妃」と名付けられた和紅茶のカクテル。ハイビスカスのシロップがほのかに香る気品あふれる1杯。同じフレーバーでノンアルコールにチェンジすることも可能。
夜にしか食べられないデザートも。「Gateau KAGUA “ROUGE”」は、グラスには煎りたての焙じ茶のアイスクリーム、プレートは山椒のケーキが添えられています。こちらの山椒のケーキ、柚子と山椒入りのクラフトビールを使った大人味。いま、祇園で夜を過ごしているという至福感が高まる一品です。
今回は、少しだけ背伸びして楽しみたい、祇園の日本茶カフェをご紹介しました。営業時間も長いので、観光の行き帰りや、夜ごはんを楽しんだあとのシメのどちらにも使えそうですね。この1軒をコースに加えるだけで、京都旅がワンランクアップしそうです。
Photo:瀬田川勝弘
text:小西尋子
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更、消費税率変更に伴う金額の改定などが発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。